下剤を飲まない大腸検査

下剤を飲まない大腸検査とは、麻酔を使って下剤なしで胃カメラと大腸内視鏡検査を受けられる検査のことです。
従来、大腸内視鏡検査を受けるには腸をきれいにするための下剤を2L程度も飲む必要がありました。
「下剤を飲まない大腸検査」では、胃カメラの時に下剤を腸へ直接送ることで下剤なしで腸をきれいにできます。当院のアンケート調査では94.3%の患者さまに「検査は楽だった」と回答頂きました。
当院では、下剤を飲まない大腸検査は全て専門医と専任看護師が行います。検査手順に習熟したスタッフが検査を行うので、安心して内視鏡検査をうけることができます。麻酔を使って眠ったまま行うので楽に検査を受けることができます。
- 従来、約2時間で2Lもの下剤を飲む必要がありました。そのため、途中で強い吐き気などに襲われて飲めなくなり、検査を断念したり体調を崩してしまう方が少なくありませんでした。
- 腸がきれいになるまでの時間も長く、下剤内服開始から4時間以上かかることもありました。
- 胃カメラの検査中に腸から下剤を注入する「下剤を飲まない大腸検査」では、下剤を飲む必要がありません。また、腸洗浄の効果が高いため、注入量も1L強と半分程度で済み負担が軽くなります。
- 腸がきれいになる時間も80分程度と従来法の半分の時間ですみ、検査を受けるまでの時間が大幅に短縮できます。
- 下剤を飲まない大腸検査の胃カメラも大腸カメラも麻酔(鎮静剤)を使って眠ったまま行うので楽に終わります。
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下剤を飲まない大腸検査の利点
「下剤を飲まない大腸検査」では口から2Lの下剤を内服する従来法に比べ、以下のようなメリットがあります。
- 口からの下剤内服が0になる。
- 体内への下剤の総投与量が1L弱少ない。
- お通じがきれいになるまでの時間が2時間弱短くなる。
- 麻酔(鎮静剤)を使って眠ったまま行うので楽に検査ができる。
※必要な下剤内服量には個人差があり、あくまで目安です。
※必要な下剤投与量には個人差があり、あくまで目安です。
※お通じがきれいになるまでの時間には個人差があり、あくまで目安です。
下剤を飲まない大腸検査のデメリット
「下剤を飲まない大腸検査」のデメリットとしては、下剤注入のために必ず胃カメラも同時に受ける必要があることです。
しかし、逆にいうと、胃カメラと大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を午前だけで同時にうけることができるため、メリットとにいえます。
下剤を飲まない大腸検査のこだわり
中村診療所・内視鏡内科の「下剤を飲まない大腸検査」の下剤注入法には4つのこだわりがあります。
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麻酔を使って
眠ったまま下剤注入法は終了中村診療所・内視鏡内科の下剤を飲まない大腸検査は、麻酔(鎮静剤)にも対応しています。ご希望の方には、下剤注入時(胃カメラ)から鎮静剤を使用しますので、眠っている間に胃カメラと下剤注入が完了します。
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従来よりも50%も細い
直径約5mmの細径内視鏡を使用中村診療所・内視鏡内科の下剤を飲まない大腸検査は、原則として全て、直径約5mm(通常約10mm)の細径カメラを使用しています。そのため、検査中はもちろん、検査後の違和感も抑えます。
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炭酸ガスを使って
検査後も楽に胃や腸の観察のときには、病気を見逃さないために原則として送気する必要があります。
一方、炭酸ガスは、胃腸に送気したときに空気に比べて約200倍もの速さで体に吸収されます。
そのため、送気のときに炭酸ガスを使用すると空気を使用した場合に比べて検査中はもちろん、検査後のお腹の張りを抑えます。
中村診療所・内視鏡内科では、大腸内視鏡検査の全例で炭酸ガスを使用していますが、下剤注入のときにも炭酸ガスを使用しています。そのため、下剤注入の胃カメラが終わった後も胃腸の不快感なく過ごすことができます。
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従来法よりも
2時間弱も洗浄時間が短縮従来の大腸内視鏡検査は、口から下剤を飲みはじめてからお通じがきれいになるまで、平均3時間程度かかっていました。
下剤を飲まない大腸検査では、直接十二指腸から下剤を注入するため、口から下剤を飲む従来法と比べてお通じがきれいになる時間が短縮されます。
当院ではさらに、腸の動きをよくするお薬を検査前に飲んでいただいたり、炭酸ガスを使用して腸の動きに合わせて下剤注入をサポートすることで従来法よりも2時間弱もお通じがきれいになる時間が短縮されます。
それによって、早い方だと来院してから胃カメラ・下剤注入・大腸内視鏡検査・結果説明まで3時間ほどで全てが完了することが可能になっています。
下剤を飲まない大腸検査の安全性
「下剤を飲まない大腸検査(経鼻内視鏡的注入法)」は、東京大学医学部附属病院の後藤利夫先生らによってに考案され、すでに日本全国10万件以上の実績があります。
この方法は、通常の経口内服法での前処置可能な方であれば、高齢者や狭窄を伴う大腸癌患者にも安全に施行できることが2015年にYukiらによって報告された安全な方法です。
この報告によると前処置所要時間は注入群は91.5分、内服群136.6分より有意に短い結果でした(p<0.001)。70歳以上のみの検討でも内服群より注入群の前処置時間が有意に短く、安全に施行できたと報告されており(p<0.05)、高齢者でも安全な検査法といえます。Gastroenterological Endoscopy 57, Suppl.1 Page647(2015.04)
当院でも平成30年から下剤を飲まない大腸内視鏡検査を行っており、すでに計2,000名以上の多くの患者さんが受診されました。
そのうち100%の患者さまで、胃カメラ(細径内視鏡)を使用した下剤注入が安全に完了し、大腸内視鏡検査をうけることができました。
胃カメラと下剤注入を合わせた検査時間は13分程度でした。胃カメラ+下剤注入の終了後、平均約80分(通常の下剤を飲む方法だと、平均約3時間)で大腸内視鏡検査をおこなうことができました。
75歳以上のご高齢の方も多数受診されていますが、検査を中断せざるをえないような吐き気や腹痛を訴えられた方や、誤嚥などの合併症を起こされた方は皆無で0%でした。
下剤注入後に軽い違和感をおっしゃられた方は数名おられましたが、30分以内にはいずれも治まりました。
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下剤を飲まない大腸検査でわかること
こんな方は下剤を飲まない大腸検査がおすすめです
- 短時間ですべての検査を終わらせたい
- 下剤の味が口に合わない
- 胃カメラと大腸カメラを一回で同時に受けたい
- 下剤を2Lも飲めない
- 女性で比較的小さな体型の方
- 水分をたくさん飲む習慣がない方
下剤を飲まない大腸検査の実績
選択率
きれいになるまでの時間
お通じの回数
- 中村診療所・内視鏡内科では年間3,000名以上の患者様に内視鏡検査を受けて頂いております。
- 当院「下剤を飲まない大腸検査」を受診頂いた方は、計2,000名以上おられます。75歳以上のご高齢の方も多数受診されていますが、入院等の誤嚥等の合併症はこれまで0件です。
- 96%の方が大腸は完全洗浄状態になり、残りの4%の方のみ追加内服が必要でした。
- 当院での麻酔(鎮静剤)の選択率は80%でした。
- 35名の患者さまのデータの中央値は以下の通りでした。
胃カメラ検査時間:13 分/大腸内視鏡検査時間(ポリープ切除含む):25 分
お通じ回数:5回(従来法:約 10 回)/お通じがきれいになるまでの時間:80 分(従来法:約180分) - 94.3% の方が「検査が楽だった」「次回も当院で検査をしたい」と回答されました。
中村診療所・内視鏡内科を実際に受診した患者様の声です。
下剤を飲まない大腸検査の流れ
STEP1 診察(前日まで)
- 検査前日までにご来院頂き、医師の診察を受けます。診察後、前処置薬を受け取ります。
- 前日19時までに夕食をとります。夕食は消化の良い白いもの(白米、うどん、白身魚、豆腐など)とします。
- 前日21時にセンノシド2錠を内服します。
STEP2 当日受付(朝)
- 当日の朝食は抜きます。飲水は検査1時間前までとしてください。
- 検査1時間前にプリンペラン2錠、モサプリド2錠を内服します。
- 予約時間にご来院頂きます。健康保険証、診察券をご準備ください。受付後、スタッフが検査のご案内をします。
STEP3 胃カメラ(経鼻内視鏡)
- 受付後、麻酔(鎮静剤)を使って胃カメラ(経鼻内視鏡)を受けます。食道、胃、十二指腸をしっかり観察した後、下剤を1Lほど注入します。
- 下剤注入を合わせても検査は10-15分程度で終わります。
- 下剤注入による違和感はほとんどありません。当院では内視鏡で確認しながら下剤注入するため、現在まで特に合併症なく安全に下剤注入できています。
STEP4 大腸内視鏡検査の準備
- 胃カメラ終了後、リカバリーチェアへ移ります。
- 胃カメラが終わって約30分後からお通じが始まります。トイレは完備しておりますのでご安心ください。
- 約1-2時間でお通じが5回ほどあります。お通じがきれいになったら、大腸内視鏡検査用の検査着に着替えます。
STEP5 大腸内視鏡検査
- 準備が整ったらスタッフが検査室にご案内し麻酔を使って大腸内視鏡検査を行います。当院では腸への挿入は内視鏡の画面を見ながら行い、直接おしりを見ることはないのでご安心下さい。
- 検査は通常約15分ですがポリープがある場合は都度時間を頂戴します。
- 切除すべきポリープはその場で切除します。切除に伴う痛みは通常ありません。
STEP6 帰宅・結果説明(後日)
- 検査終了後、15-30分程度休んで頂いた後、帰宅可能となります。
- 組織検査やポリープ切除を行った場合は、検査結果が出るのに1-2週間要するため後日ご来院頂き、検査画像を見ながら組織検査の結果をご説明いたします。
- 検査後、昼食は問題なく食べて頂けますが消化の良い白いもの(白米、うどん、白身魚、豆腐など)が望ましいです。
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下剤を飲まない大腸検査の費用
下剤を飲まない大腸検査の費用= 胃カメラ+大腸内視鏡検査の費用 |
1割負担 | 3割負担 |
---|---|---|
約5,000~13,000円 | 約15,000~39,000円※1,2 |
※1 ポリープ切除をした部分の数と大きさにより費用が変わります。
※2 令和4年4月の診療報酬改定に伴い、当院では大腸ポリープ切除手術をより安全に行えるよう、短期滞在手術等基本料1の施設基準を近畿厚生局より正式に認定されました。令和5年4月1日より短期滞在手術等基本料1(2718点 1割:2,718円、3割:8,154円)が算定されています。
当院では内視鏡を使った下剤注入に関する費用は、一切頂きませんのでご安心下さい。
通常の下剤を口から内服して行う大腸内視鏡検査と費用は変わりません。
下剤を飲まない大腸検査を受けた患者様の声


当院は現在、年間3,000名以上の患者さまに内視鏡検査を受けて頂いておりますが、より良い医療を受けて頂くことを目的として、アンケート調査を実施しました。ご協力くださった患者さまには、厚く御礼申し上げます。
- 対象・・・「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」を受診した35名の患者さま
- アンケート実施期間・・・2020年6月1日から8月31日
- 対象年齢・・・30代:3名 40代:3名 50代:4名 60代:6名 70代:15名 80代:3名 90代:1名
- 性別・・・男性:16名 女性:19名
・眠っている間に終わりました(60 代男性)
・他院で受けたときと違って楽でびっくり(50 代女性)
・先生がお上手で全然つらくなかったです(60 代女性)
・やさしく声かけしてくれてよかった(70 代女性)
・検査後に少しふらついたが付き添ってくれた(80 代男性)
・検査の説明が丁寧だった(50 代男性)
・あの辛い下剤を飲まなくて助かりました(70 代女性)
・胃カメラと大腸検査を一度にできてよかった(60 代男性)
・楽だったから夫にも勧めました(50 代女性)
・きれいな施設で検査を受けれてよかった(40 代女性)
・来年もよろしくお願いします(70 代男性)
・院長先生を信頼しています(60 代男性)
- 当院での麻酔(鎮静剤)の選択率は 80% でした。
- 35 名の患者さまのデータの中央値は以下の通りでした。
胃カメラ検査時間: 10 分/大腸内視鏡検査時間(ポリープ切除含む): 15 分
お通じ回数: 5 回(従来法:約 10 回)/お通じがきれいになるまでの時間: 80 分(従来法:約180分)
下剤を飲まない大腸検査のエビデンス
鼻から挿入する胃カメラ(経鼻内視鏡)を用いて経口腸管洗浄液(PEG)を十二指腸に注入して胃カメラと大腸内視鏡検査を同日に行う下剤注入法の有用性は、Yukiらによって示され、内視鏡の分野で最も権威のある医学雑誌の1つであるGastrointestinal Endoscopy詩に2015年に掲載されました*。
【研究の背景】
この研究が行われた背景として、日本では検便が陽性(便潜血検査陽性)であっても大腸内視鏡検査を受けない方が約4割も存在するとされることがあります。
日本において大腸内視鏡検査を受けない理由として、検査前の大量の下剤を飲まなければならないことに対する抵抗が約1割にも上るとの報告があります。
そのため、検査前の下剤内服の軽減を目的にこの研究が行われました。
【研究の方法】2011年1月から12月に大腸内視鏡検査を施行した患者さんを、ランダムに(くじ引きを引くようにふりわける)胃カメラを用いて下剤を注入する注入群と、下剤を通常通り口から内服する内服群に振り分けて、大腸内視鏡検査の苦痛軽減効果と注入法の安全性、有用性について前向き検討をおこないました。
下剤注入は経鼻内視鏡を使って通常の胃カメラ検査を行った後、十二指腸から胃カメラの中のルートを通じた自動注入器で下剤を800ml注入し、残りの 1200mlを 30分後から内服しました。
また、大腸内視鏡検査ができるくらいに便がきれいになるまでの所要時間と、下剤注入による副作用症状の調査と患者さんへのアンケート調査をおこないました。
【研究の結果】大腸内視鏡検査ができるくらいに便がきれいになるまでの所要時間は下剤注入群で146±12.6分、下剤内服群で185.4±16.2分であり注入群のほうで有意に短い結果でした。
また患者アンケートでは検査の受け入れ易さは下剤注入群で 82.2%、下剤内服群で 61.4%でした。
また次回も同じ検査方法を希望する、別の検査方法を希望する、がそれぞれ下剤注入群で89%と6%、内服群で 64%と 23%でした。
また下剤注入に伴う副作用は特に重篤なものはなく、両群で特に差はありませんでした。
特に胃カメラ(経鼻内視鏡)を同日に施行した下剤内服群でも腹部膨満感などの副作用症状の増加は認めませんでした。
【研究の結論】
下剤注入群では腸管洗浄時間が有意に短縮され、患者アンケート結果は下剤注入群の方で人気が高い傾向でした。
胃カメラから経口腸管洗浄液を注入する下剤注入法は大腸内視鏡検査の苦痛軽減効果に有用であり、安全性も同等でした。
【考察】
下剤注入法では十二指腸に経口腸管洗浄液が直接入ることで早期から小腸・大腸の蠕動運動を起こすと考えられています。
そのため、経口腸管洗浄液が胃に貯まらず、結果として腸がキレイになるまでの時間が短く、お腹の張りも軽減できたと考えられます。
下剤を飲まない大腸検査が可能なのはなぜ?
このページでご説明してきた下剤を飲まない大腸検査が可能なのはなぜでしょうか。
その前に、そもそもなぜ、通常の大腸内視鏡検査(大腸カメラ)では2Lもの大量の下剤を口から飲まないといけないかを考えてみましょう。
2Lもの大量の下剤の正体は、経口腸管洗浄剤といいます。
代表的な経口腸管洗浄剤として良く使われているものの商品名として、ニフレックやモビプレップがあります。
一般的にいう「下剤」というのは総称で、一般的にイメージされる錠剤のタイプの下剤(代表的なものとしては酸化マグネシウムやセンノシドがあります)も「下剤」と呼びますが、この経口腸管洗浄剤も広い意味では「下剤」です。
細かく分けると酸化マグネシウムやニフレック/モビプレップは浸透圧性下剤で、センノシドは刺激性下剤という分類になります。
少し難しい言葉ですが、酸化マグネシウムは便を柔らかくして出すイメージ、センノシドは腸を刺激して出すイメージ、ニフレック/モビプレップなどの経口腸管洗浄剤は洗浄液で押し流すイメージを持ってもらえたら間違いないと思います。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、大腸の便を洗い流して検査します。
排泄液をほとんど水のようにきれいにした状態で検査することで、10mm未満の小さな病変も見逃さずに観察することができるのです。
例えばニフレックという下剤を使用すると、口から何回かに分けて2時間かけてニフレックを2L程度内服します。
短い時間で一気に大量の下剤を飲まないといけないので、これがなかなか大変でつらく、飲みきれずにギブアップする患者さんもいます。
大腸内視鏡検査そのものよりも、その前に飲む下剤がつらいという声は良く聞きます。
腸管洗浄剤の味があまりおいしくないのもその原因です。
当院で行っている「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」では、口から大量の腸管洗浄液を一切飲まなくて良いのが特徴です。
ではなぜ、口から大量の腸管洗浄液を飲まなくて良いのでしょうか。
その答えは、「胃カメラの検査中に腸に直接、腸管洗浄液を送るから」です。
「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」の手順を説明します。
まず、患者さん側の準備としては、通常の胃カメラを受ける準備と同じと考えて頂いて結構です。
胃カメラを受ける準備ができたら、検査が始まります。
通常通り、胃カメラで食道・胃・十二指腸と順番に観察をしていきます。
ここで病変があったら、組織検査(生検)を行います。
観察が終わると、胃の奥にある十二指腸という腸に、腸管洗浄液を注入します。
では、どのように注入するのでしょうか。
実は、胃カメラの中には直径数mmのトンネルのようなルートがあります。
体の外から、胃カメラの中のトンネルを通って、腸まで腸管洗浄液を運ぶのです。
当院では、麻酔(鎮静剤)を使って胃カメラを行います。
そのため、眠っている間に、胃カメラ検査(食道・胃・十二指腸の観察および組織検査)と腸管洗浄液の注入が終わります。
「あれ、もう終わったの?」と、ほとんど全員の患者さんに検査が終わった後に言って頂けます。
中には胃カメラを受けたこと自体を覚えていない方もいます。
下剤(腸管洗浄液)の注入が終わると、まもなくお通じが始まります。
お通じの開始は検査終了後、約30分から始まります。
当院で2020年6月1日から8月31日に35名の患者さんに実施した「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」のデータの中央値は、お通じの回数は5回で、お通じがきれいになるまでの時間は80分でした。
従来の口から腸管洗浄液を飲む方法(ニフレック法)の場合、お通じの回数は約5回、お通じがきれいになるまでの時間は約180分であることを考えると、患者さんにとっても非常に受け入れやすい検査であることがわかります。
下剤を飲まない大腸検査Q&A よく頂くご質問
大腸検査をするのに、どうして胃カメラをするのでしょうか?
大腸内視鏡検査は、腸の中を内視鏡(カメラ)で見て診断や治療をする検査です。大腸検査では、腸の中に便があると正しい診断や治療ができなくなるので、腸の中をきれいにする必要があります。通常の大腸検査では、腸をきれいにするために、患者様が自ら2リットル程度の下剤を口から飲む必要があります。
しかし、2リットルもの大量の下剤を飲むのは患者様にとって非常に辛く、何とかしてほしいという声が沢山ありました。当院では、この大量の下剤を、口から飲むのではなく、患者様が麻酔で眠っている間に胃カメラの先端から直接の腸に入れることで、大量の下剤を飲むことなく大腸検査ができるようになりました。
下剤を入れるために眠っている間に胃カメラをするのですが、同時に通常の胃カメラ同様、食道・胃・十二指腸の病気の診断や組織検査ができるため、患者様にとってもメリットの大きい方法です。
検査時間はどのくらいですか?
下剤を飲まない胃・大腸カメラは、①胃カメラ+腸への下剤注入の時間、②注入した下剤によってお通じがきれいになる時間(5回程度トイレに行きます)、③大腸内視鏡検査の時間、の3つの時間がかかります。このうち、②の部分はかなり個人差があり、もともと快便な方は1時間~1時間半程度でお通じがきれいになりますが、便秘がちの方は3時間以上かかる方もいます。また、③の部分もポリープ切除の有無や、ポリープ切除の個数などによって個人差があります。以上の理由で、かかる時間にかなり個人差があるのですが、おおよその目安としては①②③全て合わせて平均3時間程度です。
検査をしたその日に結果を聞くことはできますか?
組織検査(生検)やポリープ切除を行った場合は組織の結果が出るのに10日程度かかるため、原則的には後日、実際に検査画像を見て頂きながら組織検査の結果も含めて説明させて頂いております。ただし、当日の検査終了後に、担当した医師から検査結果の概要(ポリープ切除の有無や、悪性病変の有無など)を口頭でお伝えをさせて頂いております。
普段使ってる下剤・便秘薬は飲み続けていいですか?
普段お使いになられている下剤・便秘薬は、検査前日・検査当日のいずれも飲み続けて頂いて結構です。普段お使いになられている下剤・便秘薬をやめてしまうと、便秘気味になってしまい、検査当日になかなか、お通じが綺麗にならなくなる場合があります。また、便秘薬以外でも、普段飲まれているお薬等は原則、検査前日・検査当日もいつも通り内服してください。
「下剤を飲まない胃・大腸カメラ」の費用はいくらくらいですか?
「下剤を飲まない胃・大腸カメラ」の費用は、(胃カメラの費用)+(大腸カメラの費用)となります。費用は3割負担で、合わせて約15,000~35,000円となります。当院は、検査中にポリープがあった場合は、その場で切除する方針をとっているため、「ポリープ切除の有無」「ポリープ切除の個数」「組織検査の有無」などにより費用が変わってきます。
「下剤を飲まない胃・大腸カメラ」の胃カメラに、胃がん検診のクーポンは使えますか?
申し訳ございません。当院では、胃がん検診のクーポンを併用した「下剤を飲まない胃・大腸カメラ」は行っておりません。
中村診療所・内視鏡内科の「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」に特徴はありますか?
「下剤を飲まない大腸内視鏡検査(下剤注入法)」の初期のものは2005年頃に開発されましたが、日本全国でも下剤注入法を提供する施設はまだ限られています。下剤注入法を行う医療機関の体制や医師の技術面のハードルがあるためです。その限られた数の施設の中でも、当院での「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」の特徴は、圧倒的なスピードにあると思います。初期の下剤注入法に当院独自に開発した内視鏡技術を使用することで、腸洗浄時間(お通じがきれいになるまでの時間)を短縮することができました。早い場合だと9時頃にご来院頂いた患者様が、下剤を口から飲むことなしに、胃カメラ・下剤注入法・大腸内視鏡検査をうけて11時頃に帰宅される場合もあります。
・オンライン予約なら、24時間365日、診察予約できます。
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・当院は、予約外来と予約外外来を併設しているため、ご希望の予約時間がない方等は、当院にお電話頂くか、直接ご来院ください。