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喘息外来

喘息外来について

当院では、喘息外来を開設し、小児・成人の喘息の専門的な治療を行っております。
喘息は、気道の慢性的な炎症によって、気道が狭くなり咳、喘鳴、呼吸困難などの発作的な症状を繰り返す病気です。
赤ちゃんからご高齢の方まで誰にでも起こり得る、私たちにとって身近な病気です。
その歴史は長く、平安時代の書物にも「喘息」という言葉が載っているそうです。
気道が過敏になる原因が慢性的な炎症にあることが分かったのは今から50年ほど前のことであり、その発見により予後は大幅に改善されています。
それ以前はたくさんの方が、喘息によって命を落としていました。
ただ現在もなお、喘息発作によって気管支が完全に詰まり、亡くなってしまうというケースが見られます。
治療開始後も、定期的にお薬を見直し、正しく管理していくことが大切です。年齢と問わず発症し得る病気ですが、子どもの場合は乳児期に、大人の場合は中高年での発症が目立ちます。

喘息の症状や重症度

喘息の症状

喘息の主な症状には、以下のようなものがあります。
症状が辛く、動けなくなるということもあります。

  • 長引く咳
  • 発作的な咳
  • 息苦しさ
  • 息切れ
  • 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸)
  • 胸の苦しさ

喘息の重症度

重症度は、発作の頻度、強さ、夜間の症状などに応じて、以下のように分類されます。
軽症
間欠型
軽症
持続型
中等度
持続型
重度
持続型
頻度 1回未満 1回以上 毎日 毎日
強度 軽く短い 1回以上、
日常生活・睡眠に影響する
1回以上、
日常生活・睡眠に影響する
日常生活に制限が生じている
夜間症状 2回未満 2回以上 1回以上 たびたび

喘息の原因

喘息は、アレルギーを原因とするアトピー型、非アトピー型に分けられます。
アトピー型については5歳未満の小児を中心とした若い世代での発症が目立ちます。
成人の場合は、非アトピー型としての発症が多くなります。
原因としては、主に以下のようなものが挙げられます。

アレルギー

ダニのフンや死骸、ペットのフケや毛、真菌(カビ)などのハウスダストがアレルゲンとなり、その吸入によって喘息を起こします。

気道の刺激

煙や粉塵などアレルゲンではない物質、冷気、蒸気などを吸入した場合、気道が刺激を受け収縮し、発作が起こることがあります。

薬の副作用

アスピリンなどの酸性の消炎鎮痛薬、高血圧治療で使用されるβ遮断薬、ヨード造影剤などの副作用として、発作が起こることがあります。
その他、アルコール、添加物(色素・防腐剤)なども発作の誘因となることがあります。

遺伝的要因

アレルギーのなりやすさ(アトピー素因)、気道の過敏性といった体質を親から受け継いでいる人は、そうでない人と比べると、喘息になりやすいと言えます。

大人の喘息

喘息は、年齢を問わずすべての年代で起こり得る病気です。
子どもの病気というイメージがあるかもしれませんが、大人になって初めて発症するということもあるのです。
実際に、20~45歳のうち5~9%が、大人になって初めて発症した喘息(成人喘息)を持っています。
長引く咳や痰、息苦しさなどがある場合には、成人喘息の可能性を考慮した検査・診断が必要です。

完治は難しいけれど、
適切な治療によって長く症状を抑えることが可能

成人喘息では、アレルギー以外の原因によって発症する「非アトピー型」が多くなります。
そのため、「アトピー型」が大半を占める小児喘息と比べると、完治は難しくなります。
さまざまな物質、刺激が原因となり、すべてを排除することは現実的に困難であるためです。
ただ、長期管理薬と発作治療薬を用いた適切な薬物療法、正しい自己管理によって、症状をコントロールしながら日常生活を送ることは十分に可能です。
完治しないからと諦めたり悲観的になったりするのではなく、ぜひ一度当院の喘息外来にご相談ください。

喘息の検査

長引く咳、痰、息苦しさなどがあり喘息が疑われる場合、以下のような検査を行います。

血液検査

気道の炎症の程度、アレルギーのなりやすさ(アトピー素因)、原因となるアレルゲンなどを調べることができます。
喘息の多くは、アレルギーを原因として発症します。

呼吸機能検査

マウスピースを咥えて、息を吸ったり吐いたりしてもらう検査です。
肺活量、1秒あたりに出せる息の量を測定し、気道の狭窄の程度を評価します。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)との鑑別にも役立ちます。

呼気NO検査

呼気に含まれる一酸化窒素の量を調べる検査です。
喘息の場合、一酸化窒素の量が多くなります。
この結果により炎症の程度を把握できます。

画像検査

器質的な肺疾患、心疾患を調べるためには胸部レントゲン検査やCT検査が有効です。
難治性喘息を伴う呼吸器疾患の診断にも役立ちます。

喀痰検査

痰を採取し、顕微鏡で観察する検査です。
喘息の場合、痰の中に好酸球が多く含まれるため、特異的な物質が認められます。
結核を除外するという意味でも有用な検査です。

喘息の治療法

長期管理薬

発作が起こらないように、発作の予防を目的として使用するお薬です。
吸入ステロイド薬や抗ロイコトリエン薬、テオフィリン製剤、長時間作用型β2刺激薬、長時間作用型抗コリン薬などを単独で、もしくは組み合わせて使用します。
難治性喘息については、経口ステロイド薬やオマリズマブ(ゾレア®︎)、メポリズマブ(ヌーカラ®︎)、ベンラリズマブ(ファセンラ®︎)、デュピルマブ(デュピクセント®︎)といったお薬を組み合わせます。

発作治療薬

発作が起こってしまった時に、その症状を和らげることを目的として使用するお薬です。
即効性の高い短時間作用型β2刺激薬を主に使用します。
ひどい発作が起こった場合には、テオフィリンの点滴投与、ステロイドの全身投与、アドレナリンの皮下注射などを行います。
会話ができない、横になるのも辛いといった場合には、緊急の治療が必要になります。