【バレット食道は心配ない?】食道がんのリスクは?医師ブログ
バレット食道が気になっている方へ。検診や人間ドックの胃カメラで「バレット食道」という記載をみたことがある人はいるのではないでしょうか。
さて、今回のブログは、「バレット食道」と「バレット食道がん」について紹介します。
実は、バレット食道という病気は日本でも増えてきており、バレット食道からの癌、つまり「バレット食道がん」も増加傾向にあるのです。
食道がんと聞くと、どのようなイメージでしょうか。
お酒やタバコを嗜む人がなりやすい病気というイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし、バレット食道から生じる癌である「バレット食道がん」は日本でもお酒やタバコを習慣的に嗜まない人でもかかる食道がんで近年、注目されています。
今回は「バレット食道」と「バレット食道がん」について、わかりやすく説明したいと思います。
それでは、どうぞ!
(この記事は日本消化器病学会・消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)
「バレットというのは発見した先生の名前らしいですね」
バレット食道は心配ない?
そもそもバレット食道とは何でしょうか?食道は扁平上皮という粘膜でおおわれていますが、食道扁平上皮が胃の粘膜に似た円柱上皮に置き換わった状態をバレット食道と呼んでいます。
バレット食道は逆流性食道炎が長期的に続くことで引き起こされるとされます。
日本では食道がんのほとんどが扁平上皮がんですが、欧米では日本と大きく状況が異なります。
欧米諸国においては食道がんの約半数はバレット食道から発生する腺がんです。
つまりバレット食道は腺がんの発生母地として注目されているのです。
先ほどお伝えした通り、日本では食道がんの90%以上は扁平上皮から発生するがんである扁平上皮がんです。
これは、ほとんどが、お酒やタバコと関係します。
しかし、生活習慣が欧米化してきていることから、将来、バレット食道がんが増加するのではないかと考えられています。
日本の内視鏡検査では通常、10~20%の症例にバレット食道を認めます。
欧米と違い、日本ではバレット食道からの発癌は極めて稀といわれているので、欧米に比べると心配ないのですが、リスクは0ではないので、1-2年に1回は内視鏡検査で定期チェックするのが無難といえます。
ピロリ菌感染の差がバレット食道の発生と関係する?
この理由の一因としてピロリ菌の感染率の差が考えられています。
つまり、日本ではピロリ菌の感染率が高いため萎縮性胃炎の頻度が高く、その結果、胃粘膜の胃酸分泌領域が減ります。
一方、欧米ではピロリ菌の感染率は低く、胃酸の分泌量が多い傾向にあります。
逆流性食道炎をひきおこす攻撃因子の違いが、欧米人と日本人のバレット食道の発生頻度の差となっていると考えられています。
バレット食道の症状は?
逆にいうと、症状がなかったとしても家族に癌の方がいたりする方や、40歳以上の方は、一度、胃カメラを受けておいた方がよい、ということになります。
バレット食道・逆流性食道炎から食道がんの発癌は?
実は欧米では、バレット食道がんの頻度が高いため、バレット食道がんの発がんを防ぐために内視鏡的焼灼術などがバレット食道に対して試みられていますが、日本ではほとんど行われていません。
バレット食道は食道がんのリスクにはなるのですが、日本では、バレット食道がんの発生頻度が少ないため、胃薬の内服だけで経過をみることが多くなっています。
一度バレット食道と診断された方は、バレット食道がんの早期発見のために年に1回程度は定期的に内視鏡検査を受診するようにしましょう。
バレット食道がんが発生した場合の治療としては、早期がんなら内視鏡治療、進行がんなら手術や化学放射線療法を行います。
これは通常の食道がん(扁平上皮がん)と同じ治療になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回のブログではバレット食道がんについてご紹介しました。
食道がんといえばお酒やタバコを嗜む人のものというイメージがあったかと思いますが、お酒やタバコをしない方は、バレット食道がんを頭の片隅においておいてください。
バレット食道がんのことを知らなかった方、バレット食道がんじゃないかと不安だった方にとって参考になれば幸いです。
このブログが明日からのご自身のご健康にお役立て頂けることを願っています。大
大阪の堺なかむら総合クリニックでは、バレット食道の検査も積極的に行っています。バレット食道が気になる方は、お気軽にご相談ください。
「私もバレット食道を持ってるので毎年胃カメラを受けています」