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お腹がゴロゴロ鳴るのは大腸がんの初期症状?おならも臭い?

あなたは大腸がんに対してどんなイメージをお持ちでしょうか。
日本では、ピロリ菌やC型肝炎の減少により胃がんや肝臓がんが急速に減少している一方、大腸がんによる死亡数は増加傾向です。
大腸がんは、日本全国で1年間に約158,000人が診断される非常に多い病気です。
なんと、女性ではがん死亡の1位、男性でも3位となっています。
今回のブログは大腸がんのお話をしたいと思いますが、特に周囲に大腸がんをわずらった人がいる方は、自分も大腸がんじゃないか、と不安になる方もいるのではないでしょうか。
特に「お腹がゴロゴロ鳴る」「おならが臭くて硫黄のにおいがする」という方は、大腸がんの初期症状ではないかと不安になりますよね。
しかし、そんな些細な事が大腸がんに気づいたきっかけになることも少なくないのです。
そんな方の不安を解消すべく、大腸がんについて詳しく解説していきたいと思います。
それでは、どうぞ!
(この記事は日本消化器病学会・消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)

「お腹がゴロゴロずっと鳴る方、おならの臭いが気になる方。必見です!」

大腸がんって?初期症状など基本からチェック!


大腸がんの初期症状の解説の前に、まず大腸や大腸がんの基本からお話します。
口から入った食べ物は、食道・胃・小腸を通って大腸へ到達します。
大腸は、口から入った食べ物の最後の通り道です。
大腸はお腹の中のどこにあるのでしょうか。
大腸は小腸に続いて始まります。
大腸の始まりの場所は盲腸と呼び、右下腹部に位置します。
盲腸は「虫垂炎(俗に盲腸炎とも呼ばれています)」でなじみのある場所ですよね。
大腸は右下腹部の盲腸から始まり、おなかの中をぐるりと大きく時計回りに回って、肛門につながります。
大腸の長さは1.5mから2mほどです。
大腸は口側から盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸の6つに名前が分かれています。
口から入った食べ物は、小腸で栄養を吸収され、その残りが盲腸→上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸と回っていき肛門から体の外へと排出されます。
では、大腸の働きはなんでしょうか。
大腸は主に水分を吸収する臓器で、小腸のように栄養の消化吸収作用はほとんどありません。
小腸で消化吸収された食物の残りは大腸に入った時は、水のようなシャバシャバの便の状態です。
しかし、大腸に入った後、お腹の中をめぐっていく過程で徐々に水分を吸い取られ、肛門に至るまでにだんだんと固形の便の形になっていきます。
一方、大腸での水分の吸収が不十分だと、便がゆるくなったり、下痢をおこしたりします。
大腸がんとは、大腸の粘膜に発生するがんで、ほとんどが腺腫または鋸歯状病変という良性のポリープががん化して発生します。
つまり大腸がんを予防するためには、がん化する前の良性のポリープの段階で治療することが重要です。
がん化する前の段階の良性のポリープ、もしくは早期大腸がんであれば大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で取りきることができます。
日本人では肛門の出口に近い左側の大腸であるS状結腸と直腸にがんができやすいといわれています。
大腸の粘膜に発生した大腸がんは、放置すると進行し、次第に大腸の壁に深く侵入していきます。
やがて大腸の壁を食い破っての壁の外まで広がりお腹の中に散らばったりします。
さらには大腸の壁の中のリンパ液や血液の流れに乗って、リンパ節や肝臓、肺など他の臓器に転移したりするのです。
次の項では大腸がんの初期症状などを詳しく説明していきます。

大腸がんの初期症状はおなら?



「お腹がゴロゴロ鳴る」「おならが臭くて硫黄のにおいがする」というのが大腸がんの初期症状や前兆と思っている方もいるかもしれません。
実際、そういった症状で病院を受診して、それが大腸がんに気づいたきっかけとなる方もおられます。
しかし、残念ながら、早期の段階では大腸がんは自覚症状はほとんどなく、進行してから症状が出ることが多くなります。
「おならが良く出る」のはイモ類をはじめとする食物繊維の取りすぎ、「おならが硫黄のように臭い」のは肉や卵などの動物性たんぱく質の取りすぎが原因と考えられています。
また、お腹がゴロゴロ鳴るのは、腸が活発に動いている証なのでそれほど気にする必要はありませんが、便秘や下痢などを合併している場合は過敏性腸症候群の症状の可能性があります。
話を戻します。
進行した大腸がんの症状としては、血便(便に血が混じる)、腹痛、貧血、体重減少、下痢、便秘、便が細い、残便感(便が残る感じ)、おなかが張る、などがあります。
血便は、痔などの良性の病気でもみられるため、痔だと思ってそのままにしておくとがんが進行してから見つかることがあります。
予防のためにはやはり、健康診断できっちり便潜血検査などを受けるのが基本です。
最近では、p-53抗体という血液検査で早期大腸がんが分かる腫瘍マーカーもあるので、これを利用するのも一つです。
大腸がんの早期発見のためには、早めに大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の設備を持つ消化器内科のクリニックを受診することが大切です。
大腸がんが進行すると、慢性的な出血による貧血や、腸管の内腔が大きくなった大腸がんによって狭くなることによる便秘や下痢、おなかが張るなどの症状が出ることがあります。
さらに進行すると狭くなった腸の部分で便が詰まった状態である腸閉塞(ちょう-へいそく)という状態になり、便が出なくなり、腹痛や嘔吐などの症状が出ます。
残念なことですが、肺や肝臓の腫瘤が、大腸がんの転移として先に発見されることもあります。

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お腹がゴロゴロ鳴るのは大腸がんの危険サイン?



お腹がゴロゴロ鳴るのは、腸の中にあるガスや便が腸の中を通るときに鳴る音です。
腸というのは、食事や便を送り出すために収縮しており、この収縮活動のことを蠕動(ぜんどう)といいます。
お腹がゴロゴロ鳴るのは、この蠕動が活発な時におこります。
お腹がゴロゴロ鳴ることそれ自体は健康な人でも生じるのですが、同時にお腹が張るようなら大腸がんの可能性があります。
大腸がんが進行すると、腸の中を進展していき、中を塞ぐような形になります。
すると、食べ物や便が、大腸がんによって狭くなったところで通りにくくなるため、その部分で圧力が高まって腸の蠕動(ぜんどう)が強まり、お腹がゴロゴロ鳴る場合があります。
また、便が細い、便が細長い、便が細くなったり太くなったりする、といった症状があるときも要注意です。
通常、便の太さは直径2cmから3cmくらいですが、直径1cmくらいの便がでるようなら大腸がんの危険サインです。
S状結腸や直腸といった、大腸の出口に近いところに大腸がんがある場合、腸が大腸がんに占拠されて腸が狭くなり細い便が出ることがあります。
痔のせいで肛門の出口が狭くなっている人、過敏性腸症候群などの方で便が細くなる症状が出る方もおられますが、今までと違って細い便が出るようになったら大腸がんの可能性があるので病院を受診しましょう。

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大腸がんの気づいたきっかけは?
20代・30代でも癌になる?



近年、大腸がんの患者数は増加しており、20代、30代などお若い方での大腸がんも珍しくありません。
実際、診察している中で30代などで大腸がんを発症する方も多くみてきました。40歳以上になると会社の検診などで検便があるため、検便で引っかかって大腸がんが見つかる方が多いです。一方で、20代、30代で大腸がんが見つかった人の気づいたきっかけは、検便などではなく、下痢や便秘、腹痛や貧血といった症状で大腸内視鏡検査を受けて、偶発的に見つかるケースが多い印象があります。20代、30代など若くして大腸がんになる人もいれば、100歳まで大腸がんにならない方もいます。その差はなんなのでしょうか?大腸がんの発生は、生活習慣と関わりがあるとされています。赤肉(牛、豚、羊など)や加工肉(ベーコン、ハム、ソーセージなど)の摂取、飲酒、喫煙により大腸がんの発生する危険性が高まります。そういった意味では、「おならが硫黄のように臭い」人は肉類などの動物性たんぱくのとりすぎなので、気にしすぎる必要はありませんが間接的には大腸がんのリスクといえるかもしれません。体脂肪の過多、腹部の肥満、高身長といった身体的特徴をもつ人で、大腸がんを発生する危険性が高いといわれています。また、家族の病歴との関わりもあるとされています。特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群の家系では、近親者に大腸がんの発生が多くみられます。また、炎症性の病気である潰瘍性大腸炎やクローン病を持っている方は大腸がんの発生率が高くなります。日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。大腸がんを予防するには、食物繊維を含む食品の摂取が効果的であることがわかっています。また、体を動かす運動も効果的です。

大腸癌の手遅れの症状が出る前に!
最新の内視鏡手術



大腸がんの初期症状や前兆・原因について解説してきましたが、気になるのは治療ですよね。
大腸がん、と診断されたらもう手遅れなのでしょうか。
実はそうではありません。
大腸がんは、早期のものであれば根治を目指せるのです。
血便や腹痛、腸閉塞といった大腸癌の手遅れの症状が出る前に早期発見・早期治療することが大切です。
大腸がんの最新治療である内視鏡手術について解説します。
内視鏡治療の対象となる腫瘍は、大腸ポリープ(大腸腺腫)と早期大腸がんです。
ポリープとは、「限局した大腸粘膜の隆起」と定義されており、見た目の形態を表す言葉です。
一般的に大腸腫瘍は、内視鏡的に摘除する方法と外科的な治療法があります。
内視鏡で摘除できるかどうかは、大きさや、癌の進行の深さ(深達度とよびます)によって決まります。
内視鏡手術の方法はスネアとよばれるワイヤーをかけて切除する方法(ポリペクトミーやEMRとよびます)と、内視鏡の先端から電気メスを出して切除する方法(ESDとよびます)があります。
一般的にポリペクトミーやEMRの方がESDに比べて、より簡便な方法で治療時間も短くてすみます。
一方、ESDは手術手技に熟練を要し、治療時間も長くかかります。
どの方法を選択するかは病変の大きさや形態によって内視鏡施行医が選択しますが、目安として、ポリペクトミーやEMRは長径2cm未満の病変、ESDは長径2cm以上の腫瘍などを主な対象とします。
内視鏡的治療の最大のメリットは、外科手術と違って、大腸を切らずに、大腸を温存した状態で外科手術に比べて短時間に治療が行えることです。
そのためには、なにより早期発見が重要です。
大腸がんは早期には自覚症状が無いことがほとんどため、症状がなくても定期的に検査を受ける事が大変重要です。

まとめ


いかがでしたでしょうか。

今回のブログでは大腸がんについて解説しました。
40歳以上の方は、大腸がんのリスクが高くなるので、積極的に大腸がん検診や大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けましょう。

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堺なかむら総合クリニックでは「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」も行っているので、下剤を飲むのが苦手で大腸内視鏡検査を敬遠している方も是非当院までご相談ください。

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日本人の大腸がんは増加傾向にあり、気にしすぎということはありません。
大腸がんの早期発見のためには大腸内視鏡検査が不可欠です。
しかし、大腸内視鏡は胃カメラなどと比べて技術的難度が高い検査になるため、各医師や医療機関により検査の精度が大きく異なります。
信頼できる医療機関への受診が望ましいといえます。
大腸がんのことを詳しくなかった方にとって参考になれば幸いです。
このブログが明日からのご自身のご健康にお役立て頂けることを願っています。