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【LDLコレステロールが高いと大腸がんに?】中性脂肪は?

血液検査や健康診断で「コレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と指摘された方へ。

実はコレステロールや中性脂肪の値が高いと大腸がんのリスクが上がることをご存知でしょうか。
さて、今回のブログはコレステロールや中性脂肪のお話です。
コレステロールや中性脂肪の正常値や、原因と治療、さらに大腸がんとの関係を、どこよりも分かりやすく解説していきたいと思います。

それでは、早速どうぞ!

(この記事は消化器病専門医の中村孝彦医師により執筆されています)
「私は、中性脂肪だけ高くて300以上!薬を飲んでます」


LDLコレステロールが高いと大腸がんに?中性脂肪は?


健康診断などで引っかかったLDLコレステロールの値や中性脂肪の値が、最近増えている大腸がんのリスクと関係あるのか、気になりますよね。

LDLコレステロールの値が高いと大腸癌のリスクが上がるという明確なエビデンスはないのですが、中性脂肪に関しては、中性脂肪の値が高いと大腸癌のリスクが上がるという日本のデータがあります。
日本の国立がん研究センターのグループが発表した1520人を対象とした中性脂肪と大腸ポリープの関連を調べた研究によると、中性脂肪が高いグループ(>128mg/d)の人は、3個以上の大腸ポリープが生じる可能性が、中性脂肪が低いグループの2.3倍あるという結果でした(1)。
中性脂肪が高くてかつ喫煙している人で見てみるとさらに差が大きくなり、3個以上の大腸ポリープが生じる可能性は3.4倍になる結果でした。

また、450人を対象とした大腸癌のリスクを調べた研究によると、1cm以上の大腸ポリープを有するグループは有意に悪玉のLDLコレステロールが高いという結果でした。

大腸ポリープは一定の確率で癌化することが分かっており、1cm以上のポリープには1割ほど癌が含まれています。
中性脂肪が高い方や、喫煙している方、コレステロールが高い方は、大腸癌を予防するために、大腸内視鏡検査で大腸ポリープを早期発見して治療することが重要といえます。

出典
(1)Cancer Causes Control.Dec;17(10):1245-52.2006
(2)Journal of Gastroenterological Cancer Screenig. Vol.45(3)May.2007 

コレステロールの正常値は?


コレステロールの正常値を知る前に、コレステロールの基本をおさらいしましょう。

コレステロールは細胞を包む膜やホルモンの原料になるのですが、大きく分けてLDLコレステロールとHDLコレステロールに分類されます。
LDLコレステロールが高くなると動脈硬化を引き起こすので、悪玉コレステロールと言われています。
一方、HDLコレステロールは、血管の余分なコレステロールを回収する働きがあるので、善玉コレステロールと言われています。
つまり、悪玉コレステロールのLDLが低くて、善玉のHDLが高いといいわけですね。

悪玉コレステロールのLDLの正常値は、120mg/dl未満です。
ちなみに悪玉のLDLコレステロールが140mg/dl以上になると脂質異常症と診断され、120-139mg/dlの値は「境界域」とされています。「脂質異常の予備軍」と言い換えても構いません。

一方、善玉のHDLコレステロールの正常値は、40mg/dl以上です。
こちらも善玉のLDLコレステロールが40mg/dl未満になると脂質異常症と診断されます。

悪玉のLDL、善玉のLDLともに、朝食を抜いて測った採血の値(空腹時)でないといけないので、注意してください。
悪玉のLDLコレステロールの治療目標値は、患者さんのリスクによって異なります。

60歳以上の高齢の方なら、LDL<140mg/dlが目標
糖尿病、心臓病、腎臓病などのいずれかの持病があればLDL<120mg/dlが目標
これらのいずれにもあてはまらなければLDL<160mg/dlが目標

と、概ねこう捉えて頂ければOKです。

ちなみに、コレステロールや中性脂肪の値が高い脂質異常症の方は治療と並行して動脈硬化の程度をチェックすることで脳梗塞や心筋梗塞を予防できます。
動脈硬化の検査として代表的なものには「ABI」と「頸動脈エコー」があり、当院・大阪の堺なかむら総合クリニックでもこれを取り入れています。

ABI(えーびーあい)

ABIは英語のAnkle Brachial Indexの略で、日本語では足関節上腕血圧比と訳されます。
ABIとは足首の血圧に対する上腕の血圧の比のことです。
健康な人では上腕の血圧は足首の血圧よりやや高くなっていますが、動脈硬化のある人は逆に足首の血圧の方が低くなります。

頸動脈エコー

頸動脈エコーは、その名の通り、首にエコーをあてて、首の血管(頸動脈)をチェックする検査です。
悪玉のLDLコレステロールの値が高くなると血管にコレステロールがたまり(このコレステロールのたまりのことをプラークとよびます)血管が狭くなります。
頸動脈エコーでは、血管の壁にコレステロールがこびりつくことで分厚くなった血管壁を評価したり、プラークを確認することで、動脈硬化の治療を行います。  

コレステロールを下げる食事レシピは?


肉の脂身、肉の内臓、皮(ホルモン)、乳製品、卵黄にはコレステロールが沢山含まれるので、これらを控えるようにしましょう。
逆に食べた方が良い食事のレシピは、野菜や大豆食品、青魚です。
野菜に含まれる食物繊維はコレステロールや中性脂肪を包みこんで便とともに体の外へ排出する働きがあります。
大豆や納豆に豊富に含まれる植物性タンパクには、コレステロールの吸収を抑える働きがあります。
イワシ・サンマ・マグロなどの青魚には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれ血液中のコレステロールや中性脂肪を減らして血液をサラサラにしてくれる効果があります。 

コレステロール下げる薬、動脈硬化の治療とは?


コレステロール・動脈硬化の薬の治療はタイプ別に分けると分かりやすくなります。

LDLコレステロールが高いタイプ

まず、悪玉であるLDLコレステロールが高い方には、「スタチン」という種類のお薬を使います。
スタチンは脳梗塞や心筋梗塞の予防効果が明確に示されているお薬です。
アトルバスタチン(リピトール)、ピタバスタチン(リバロ)、ロスバスタチン(クレストール)などが代表的なお薬です。
5-10%くらいの方に筋肉痛の副作用があるとの報告があり、その場合、血液検査でもチェックする必要があります。

中性脂肪が高いタイプ

中性脂肪が高いタイプには「フィブラート」というお薬を使います。
ベザフィブラート(ベザトール)、フェノフィブラート(リピディル)などが代表的なお薬です。

動脈硬化のリスクが高いタイプ

糖尿病、心臓病、腎臓病などを持っている動脈硬化のリスクの高い方には、EPA・DHA製剤を併用して使います。
特に善玉のHDLコレステロールが低くて、中性脂肪が高いタイプの人に効果が高いとされています。
代表的なEPA・DHA製剤として、イコサペント酸エチル(エパデール)、オメガ-3脂肪酸エチル(ロトリガ)があります。
EPA・DHA製剤には血液をサラサラにする効果があります。
これは反面、少し出血リスクが上がるということなので、手術などの前には休薬することもあります。

コレステロールと中性脂肪の違いって?


コレステロールと中性脂肪の違いをご存知でしょうか。

コレステロールは髪や皮膚を滑らかにし、細胞を包む細胞膜・ホルモン・脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の原料となっているのです。
一方で中性脂肪は、運動するときのエネルギー源として必要です。運動するときには、まず糖質が使われますが、不足すると中性脂肪が使われます。
また、体温を一定に保つのも中性脂肪の大きな役割です。

中性脂肪の数値が300以上!中性脂肪だけ高い原因は?


コレステロールと中性脂肪の違いについてご説明しましたが、血液検査を見てみると、コレステロールだけ高い人、中性脂肪だけ高い人、両方が高い人の3タイプありますよね。
これらのタイプ別に原因を見ていきたいと思います。

コレステロールだけ高いタイプ

脂質異常症の人の約4割がコレステロールだけ高いタイプの人です。
この中でも、悪玉コレステロールのHDLの値が180mg/dlの人は危険水準なのですぐに治療が必要です。
どちらかというと女性に多いタイプです。
このタイプの人はの原因、肉の脂身、ホルモン、乳製品、卵黄などのコレステロールを多く含んだ食べ物を摂りすぎることです。

中性脂肪だけ高いタイプ

脂質異常症の人の約3割が中性脂肪だけ高いタイプの人です。
男女差はあまりありません。
中性脂肪の正常値は150mg/dl未満ですが、中性脂肪の値は直近の食事に影響をうけやすく食後12時間程度は高くなりやすくなります。
前日の夕食を食べすぎたり、夕食の時間が遅かったりすると中性脂肪の値が高くなることがよくあります。

そのため、健康診断などでは、中性脂肪の値が300mg/dl以上の場合に、クリニックなどへの受診対象とされています。
中性脂肪だけ高い原因は糖質の摂りすぎです。
ご飯などの主食を摂りすぎただけでは、あまり高くならず、間食として糖質を摂りすぎると中性脂肪の値が高くなります。
糖質が入った飲み物である清涼飲料水やアルコール、甘い洋菓子や和菓子、果物の摂りすぎなどで上がります。もちろん、脂質の過剰摂取でも中性脂肪は上がります。
アルコールは中性脂肪に合成されやすいので、禁酒によって中性脂肪の値を低下させられます。お酒のおつまみとして食べる、脂っこい唐揚げやポテトなども中性脂肪高値の原因となるので要注意です。

中性脂肪の値が高くなると膵炎(膵臓の炎症)を引き起こすことがあります。
特に中性脂肪の値が500mg/dl以上の方や、もともと糖尿病を持っている方やアルコールを常飲している方は急性膵炎のリスクです。
急性膵炎は重症化すると10-30%の高い死亡率となる怖い病気です。
中性脂肪も油断すると膵炎のリスクになるため、要注意です。

 

 

コレステロールと中性脂肪の両方が高いタイプ

脂質異常症の人の約2割が、コレステロールと中性脂肪の両方が高いタイプです。
このタイプの方は肥満の方や、糖尿病の方に多くみられるタイプです。
このタイプの方の原因は、肉の脂身、ホルモン、卵黄などのコレステロール、主食以外の糖質、そして脂質、場合によってはアルコールも含めて全体的にカロリーオーバーのタイプです。
対応としては、全体的なカロリー制限、あるいは減量(ダイエット)を行うのが有効です。

【 まとめ 】


いかがでしたでしょうか。

今回のブログでは、健康診断の血液検査で気になるコレステロールと中性脂肪について解説しました。

大阪の堺なかむら総合クリニックでは、コレステロールや中性脂肪を下げる食事指導や薬物治療はもちろんのこと、コレステロールや中性脂肪が高い方がリスクになる大腸がん・大腸ポリープに対して、大腸内視鏡検査を使った早期発見・治療、超音波検査を使った膵臓癌や肝臓がんの予防を行っています。

コレステロールや中性脂肪が高くて脂質異常症が疑われている方や、大腸癌の合併が気になっている方はぜひお気軽にご相談ください。

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