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トイレットペーパーに血がつくけど痛くないのは痔?大腸癌?

ある日トイレットペーパーでおしりをふいたら、血がついてビックリすることありますよね。
痛くないから大丈夫と思う人がいるかもしれませんが、放置は原因です。
こういった時にそもそも何科にいけばいいのか分からない方もいるかもしれません。
正解は、大腸もしっかり見てくれる肛門科です。
大腸内視鏡検査と肛門科診療の両方を行っているクリニックにいきましょう。
さて、トイレットペーパーに血がつくけど痛くない原因は、結論からいうと痔か大腸癌の可能性が高いでしょう。
これらについて、どこよりも分かりやすく専門医が解説していきます。
それでは早速どうぞ!
(本稿は堺なかむら総合クリニック・肛門科の中村孝彦医師・中村玲佳医師が執筆しています。)

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「痔と思い込むのは原因です。大腸癌を見逃すと命に関るので医師に相談しましょう」


トイレットペーパーに血がつくけど痛くない原因はいぼ痔?


トイレットペーパーに血がつくけど痛くない原因はいぼ痔(痔核)の可能性があります。
1988年にある製薬会社が行った調査によると成人の約36%が痔の自覚症状があるという結果でした。
また、ドイツのある解剖学者の報告によると、成人の70%に痔核があるという結果でした。
そんな隠れ痔主が多い痔の病気ですが、実は肛門の内側にできた痔は痛くないのです。
正確にいうと、肛門のふちから1.5cmくらい奥に歯状線という線があって、この歯状線よりも内側にできた痔は内痔核とよびます。

歯状線よりも内側にできる内痔核は、大腸と同じ自律神経に支配されているので痛くない痔になります。
一方、歯状線よりも外側にできた痔は外痔核とよびますが、皮膚と同じ神経に支配されているので痛い痔です。
内痔核は痛くはないのですが、出血することがあります。
というのは、そもそも痔の正体というのは肛門の周辺にできた静脈のうっ血(血の巡りが悪くなって、血がたまること)です。
血管の塊なので、こすれたりするだけで簡単に出血してしまうのです。
内痔核のもう一つの大きな症状が脱肛です。
内痔核は初めは排便後に自然に元に戻りますが、症状が進行すればするほど大きくなり、最終的には指で押し込まないと戻らなくなります。
脱肛の原因の多くは、排便時に強くいきむことです。
一方で、外痔核の場合は、排便に関係なく出血して痛くなったり、重いものを持ちあがるときなど、急にお腹に力を入れた時に痛む傾向にあります。

トイレットペーパーに血がつくけど痛くない原因は大腸癌?


トイレットペーパーに血がつくけど痛くないときに、絶対に見逃してはいけないのが大腸癌です。
トイレットペーパーに血がついたけど、痔だと思い込んで放置していて、診察をうけたら大腸癌だったという例は、当院でも沢山経験します。
大腸癌は、肛門からの出血や血便などの症状が、痔と非常によく似ていることから放置されやすく、発見が遅れやすい病気といえます。
実際に、ある肛門科クリニックのデータによると、患者さんが痔と思い込んで受診した患者さんのうち、実は大腸癌だったというケースは4.4%でした。
一般の集団検診で発見される大腸癌の割合が0.15%であることを考えると、一般患者さんの30倍もの頻度です。
いかに過小評価されているのかがよく分かると思います。
国際的にも2年に1回大腸内視鏡検査を受ければ大腸癌の見逃しがないといわれていることから、出血や痔がない人でも40歳を超えたら2年に一度は大腸内視鏡検査を受けることを推奨します。
検便でもいいのでは、と思われる方もいるかもしれません。
実は検便は非常に検査キットが安価なために広く普及しているという側面があり、実際に欧米では検便は行われておらず、大腸内視鏡検査が大腸がん検診として行われています。
検便は安価な反面、大腸癌の46%を見逃してしまう、精度の粗い検査です。
つまり検便陰性でも大腸癌がないとは言い切れないのです。
その結果、日本人の大腸癌罹患率は欧米よりはるかに上回り、いまや、全癌腫の中で罹患率は1位の病気となりました。

切れ痔は痛くてトイレットペーパーに血がつく


痔の中ではいぼ痔(痔核)の次に多い切れ痔(裂肛)ですが、痛みがないことが多い内痔核と違い、トイレットペーパーに血がつくものの裂肛は激しく痛むのが特徴です。
切れ痔は、お腹に圧をかけて硬い便が肛門から出る時に、歯状線より外側にある肛門上皮が裂けることによって起こります。
切れ痔のもう一つの原因は、激しい下痢です。水下痢が繰り返し勢いよく肛門部を通ることで肛門に炎症と外傷を起こし、ついには肛門が裂けてしまいます。

 

 

どうして痔になるの?


実は痔は人間にしかならない病気だということを知っていましたか?
唯一の二足歩行生物である人間は心臓がおしりよりも高い位置にあるので、おしりから心臓へ血液を戻すのに大変な圧力が必要になります。
足には筋ポンプといって、重力に逆らって筋肉の力で血液を心臓に戻す働きがあるのですが、おしりには残念ながらそういったシステムはなく、血がたまりやすく(うっ血しやすく)なります。
もともとこういった事情でうっ血しやすいおしりに、刺激が加わることで痔を発症します。
痔の原因には①便秘、②下痢、③飲酒があります。

①便秘

便秘対策としては、水分をしっかりとることと、食物繊維をとること、腸内環境をよくすることです。
水分は1日2L、食物繊維は1日20gを目安にしましょう。
意外に見落とされがちなのは、食べ物からしっかり水分をとることです。
主食がパン派の人は、1日3食全て白米にすることで、炊いた白米に含まれる豊富な水分をとることができます。
さらに白米を玄米などにチェンジすることで、主食から水分と食物繊維を一石二腸でとることができます。

②下痢

ストレスを感じると女性は便秘になる人が多く、男性は下痢になる人が多い傾向にあります。
また、夜遅い時間に、お酒や脂っこいものを食べるのも下痢の原因になります。

③飲酒

お酒の飲みすぎは明確に痔の腫れを悪化させます。
お酒の適量はビールなら中瓶(500ml)まで、日本酒は1合、ワインはグラス1杯までです。
ビール、日本酒、ワインといった醸造酒にはアルカロイドという炎症物質が含まれているため、どうしてもお酒を飲みたいなら、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にしましょう。

トイレットペーパーに血がついたら女性医師の肛門科外来へ!


いかがでしたでしょうか。

トイレットペーパーに血がついたのが分かっていても「痔」と思い込んだり、「恥ずかしい」という気持ちで、がまんして受診を控えたり、市販薬でごまかしてしまう方が多いと思いますが、まずは肛門科を受診してください。
肛門科ときくと、受診のハードルが高くなったり負担を感じる方もいるかもしれませんが、心配いりません。
肛門科では服を脱いだり、恥ずかしさを感じるような体勢はとりません。
診察の際どのような格好になるのか、若い女性の方はとくに不安かもしれませんが、診察は、診察台に横向きに寝ていただいて行います。
特に女性の患者さまは、それでも不安を感じられるかもしれませんが、大阪の堺なかむら総合クリニックでは、ご希望の方には女性医師が診察を担当させて頂きますのでご安心ください。

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