【バレット食道とは?】食道がんとの関連や治療も解説!

【更新日:2021年1月1日】
こんにちは、Dr.くまです。
今回は、「バレット食道」と「バレット食道がん」について紹介します。
検診や人間ドックの胃カメラで「バレット食道」という記載をみたことがある人はいるのではないでしょうか。
実は、バレット食道という病気は日本でも増えてきており、バレット食道からの癌、つまり「バレット食道がん」も増加傾向にあるのです。
食道がんと聞くと、どのようなイメージでしょうか。
お酒やタバコを嗜む人がなりやすい病気というイメージをお持ちの方が多いと思います。
しかし、バレット食道から生じる癌である「バレット食道がん」は日本でもお酒やタバコを習慣的に嗜まない人でもかかる食道がんで近年、注目されています。
今回は「バレット食道」と「バレット食道がん」について、わかりやすく説明したいと思います。
「バレットというのは発見した先生の名前らしいのです。もしDr.くまが発見したら、『クマット食道』であります。」
【目次】
1. バレット食道とは?
食道は扁平上皮という粘膜でおおわれていますが、食道扁平上皮が胃の粘膜に似た円柱上皮に置き換わった状態をバレット食道と呼んでいます。
バレット食道は逆流性食道炎が長期的に続くことで引き起こされるとされます。
日本では食道がんのほとんどが扁平上皮がんですが、欧米では日本と大きく状況が異なります。
欧米諸国においては食道がんの約半数はバレット食道から発生する腺がんです。つまり、バレット食道は腺がんの発生母地として注目されているのです。
先ほどお伝えした通り、日本では食道がんの90%以上は扁平上皮から発生するがんである扁平上皮がんです。これは、ほとんどが、お酒やタバコと関係します。
お酒やタバコと関係する食道がん(扁平上皮がん)については以下をご覧ください
参考コラム:【食道がんの症状とは?】内視鏡手術も解説!
しかし、生活習慣が欧米化してきていることから、将来、バレット食道がんが増加するのではないかと考えられています。
日本の内視鏡検査では通常、10~20%の症例にバレット食道を認めます。
2. ピロリ菌感染の差がバレット食道の発生と関係する?
欧米の報告ではバレット食道の重症例が多くなっていますが、日本ではほとんど重症例を認めません。
この理由の一因としてピロリ菌の感染率の差が考えられています。
つまり、日本ではピロリ菌の感染率が高いため萎縮性胃炎の頻度が高く、その結果、胃粘膜の胃酸分泌領域が減ります。
一方、欧米ではピロリ菌の感染率は低く、胃酸の分泌量が多い傾向にあります。逆流性食道炎をひきおこす攻撃因子の違いが、欧米人と日本人のバレット食道の発生頻度の差となっていると考えられています。
ピロリ菌については以下をご覧ください。
関連記事:【ピロリ菌とは?】検査や除菌費用も解説!【2021最新】
3. バレット食道の症状は?
バレット食道の症状としては、逆流性食道炎にみられる胸やけなどを訴える人が多いのですが、まったく無症状の人もいます。
逆にいうと、症状がなかったとしても家族に癌の方がいたりする方や、40歳以上の方は、一度、胃カメラを受けておいた方がよい、ということになります。
関連記事:大阪の胃カメラ・大腸内視鏡検査おすすめ6クリニック【2021最新】
4. バレット食道がんの予防と治療は?
日本では、バレット食道がんの発生頻度が少ないため、胃薬の内服だけで経過をみることが多くなっています。
欧米では、バレット食道がんの発がんを防ぐために、内視鏡的焼灼術などがバレット食道に対して試みられていますが、日本ではほとんど行われていません。
一度バレット食道と診断された方は、バレット食道がんの早期発見のために年に1回程度は定期的に内視鏡検査を受診するようにしましょう。
バレット食道がんが発生した場合の治療としては、早期がんなら内視鏡治療、進行がんなら手術や化学放射線療法を行います。これは通常の食道がん(扁平上皮がん)と同じ治療になります。
【 まとめ 】
いかがでしたでしょうか。今回のコラムではバレット食道がんについてご紹介しました。
食道がんといえばお酒やタバコを嗜む人のものというイメージがあったかと思いますが、お酒やタバコをしない方は、バレット食道がんを頭の片隅においておいてください。
2. ピロリ菌の感染率の差がバレット食道の発生率と関係ある?
バレット食道がんのことを知らなかった方、バレット食道がんじゃないかと不安だった方にとって参考になれば幸いです。
このコラムが明日からのご自身のご健康にお役立て頂けることを願っています。
「くまもバレット食道を持ってるので毎年胃カメラを受けているのであります!Dr.くまでした」
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