【胃カメラと大腸内視鏡検査は麻酔で同時にできる!】

検診目的や人間ドックで胃カメラや大腸内視鏡検査を受けようと考えておられる方へ。
周りの人が癌にかかったりしたり、年齢が上がってきたりすると「まさか自分も…」と不安になりますよね。
実は胃カメラと大腸内視鏡検査は麻酔で同時にできるのを知っていましたか?
今回は胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受けるときは具体的にどういった方法があるのか、どういった手順なのかを丁寧に解説します。
さらに、費用なども含め気になる疑問に全てお答えします。
それでは、どうぞ!
(この記事は消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)
「胃カメラと大腸内視鏡検査。嫌な検査はまとめて同時に受けちゃいましょう!」
【目次】
1.胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受ける場合はどっちが先なの?
2.胃カメラと大腸内視鏡検査を両方麻酔でするなら2回麻酔をかけるの?
3.下剤を飲まずに胃カメラと大腸内視鏡検査を同時にできる究極の「スマート内視鏡」
1.胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受ける場合はどっちが先なの?
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受診する場合は、どっちが先なのでしょうか。
その前に、まず事前の準備について説明します。
一般的な方法では、胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受ける場合でもまず通常の大腸内視鏡検査の前処置と同じようにモビプレップやマグコロールP、ニフレックといった下剤(腸管洗浄液)を飲んで腸をきれいにします。
家で腸の中の便を外に出して腸の中をきれいに空っぽにした後に病院やクリニックにいきます。
胃カメラと大腸内視鏡検査を両方麻酔で受けたいという方はクリニックについた後に麻酔用の点滴をとります。内視鏡で使う麻酔は「静脈麻酔」という麻酔です。
ではいよいよ検査の説明です。
検査の準備ができると検査室に案内されます。検査の順番ですが、一般的には大腸内視鏡検査を先に行う施設が多いと思われます。
その理由ですが、検査の時には腸や胃の中をしっかり見るために、ある程度、空気や二酸化炭素を入れて腸や胃を膨らませて観察します。もし胃カメラを先に、つまり胃を先に観察すると、胃を観察するために入れた空気が腸の方に流れてしまうのです。
大腸内視鏡検査は、おしりから内視鏡(大腸カメラ)をいれて盲腸という小腸と大腸のつなぎめの一番奥の大腸まで挿入して観察します。この時に胃に入った空気が大腸の方に流れていくと大腸は胃と違って、蛇腹(じゃばら)のような臓器なので、挿入のときに空気が入った状態だと、アコーディオンのように伸びるのです。
大腸は空気を入れない状態だと80cmくらいなのですが、空気が入って拡張すると倍の150cmくらいまで伸びてしまうのです。
そのため、胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に行う場合は胃カメラを先にするのです。
2.胃カメラと大腸内視鏡検査を両方麻酔でするなら2回麻酔をかけるの?
最近、やはり胃カメラも大腸カメラも楽に受けられる方がよいので、胃カメラも大腸カメラも両方、麻酔で受けたいという方が増えています。
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時にする場合は、2回麻酔を使わないといけないのでしょうか?
その場合、麻酔が深くなって、なんだか麻酔の副作用が出やすくなるんじゃないかと不安になる方もおられるのではないでしょうか。
安心してください。胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受ける場合は、麻酔を使うのは1回ですみます。
どういうことでしょうか。
実は、大腸カメラはおしりから、胃カメラは口から内視鏡を挿入するのですが、当然入れる方向は逆になります。
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に行える施設は、移動できるベッドを備えており、大腸内視鏡検査をまず行ったあとに180度ベッドを反転させて、連続して胃カメラを行います。
その場合、1回麻酔を行っただけで、連続して2つの検査を行えるので、麻酔は1回ですむのです。
3.下剤を飲まずに胃カメラと大腸内視鏡検査を同時にできる究極の「スマート内視鏡」
実は、胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受診できて、かつ大腸内視鏡検査の前処置である下剤内服をしなくていい究極の「スマート内視鏡」があるのをご存知でしょうか。
大腸内視鏡検査は、直接腸の中を人間の目で見るため精度が高く、ポリープや癌(がん)などがあった場合は検査と同時に治療ができるので優れた方法なのですが、その検査前に1.5L~2Lもの大量の下剤を飲まないといけないのが高いハードルとなっていました。
「スマート内視鏡」別名「下剤を飲まない胃大腸内視鏡検査」では、この悩みを一気に解決できます。
この方法では、朝ごはんを抜いて頂いた状態(絶食)で来院頂いた後、まず胃カメラを受けて頂きます。胃カメラで胃の中を一通り観察し終わった後に胃の先にある十二指腸に胃カメラを使って本来口から飲むのと同じ下剤を1.2Lほど注入する方法です。
下剤の注入が終わった後は30分ほどしてお通じが始まり、お通じがきれいになったら大腸内視鏡検査を行います。
大阪のなかむら内視鏡センターでは、この「下剤を飲まない胃・大腸内視鏡検査(スマート内視鏡)」を行っているのですが、下剤を飲まずに麻酔で胃カメラと大腸内視鏡検査を同時にできるので、大変好評を頂いております。
関連記事:【下剤を飲まない大腸内視鏡検査】が大阪で人気の理由とは?
当院では、概ね院内の滞在時間は3時間程度で、下剤を口からの飲むことなしに初めの胃カメラ開始から大腸内視鏡検査の終了まで完了いたします。
また、この方法のメリットとしては、通常の2Lの下剤を口から飲む方法だとお通じが10回ほど出て綺麗になるのに3時間程度かかるのに対して、スマート内視鏡の場合お通じが出るのが5回ほどですみ、半分の1時間半ほどでお通じがきれいになります。
大阪のなかむら内視鏡センターの【下剤を飲まない大腸内視鏡検査】
4.胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受ける場合の費用は?
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受けた場合の費用はどれくらいになるのでしょうか。
結論から申し上げますと、同時に受診した場合でも(胃カメラ)+(大腸内視鏡検査)の費用がかかるだけで、個別に受けた場合と費用は原則的に変わりません。
費用は概ね、3割負担の方で約15,000~35,000円、1割負担の方で約5,000~12,000円となります。
ただし、病理組織検査をした場合その部位の数により費用が変わり、ポリープ切除をした場合もその部位の数と大きさにより費用が変わるので上記はあくまで目安です。
なお、大阪のなかむら内視鏡センターでは「下剤を飲まない胃・大腸内視鏡検査(スマート内視鏡)」の下剤注入法に関する特別なコストは取っていませんので、スマート内視鏡の場合でも通常の(胃カメラ)+(大腸内視鏡検査)の費用となります。
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に【まとめ】
いかがでしたでしょうか。今回のコラムでは「胃カメラと大腸内視鏡検査は麻酔で同時にできる!」についてご紹介しました。
胃カメラと大腸内視鏡検査を行えば、食道・胃・十二指腸・回腸・結腸・直腸の6つの臓器の評価ができ、それぞれの臓器の炎症性の病気や、がんやポリープを早期発見・早期治療することができます。
検診で引っかかったりして、胃カメラと大腸カメラを麻酔で同時に楽に受けたい、と考えている方にとってこの記事が参考になれば幸いです。
この記事を書いた人

- 中村診療所・なかむら内視鏡センター 副院長
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消化器病専門医|認定内科医
大阪大学医学部卒。住友病院、JCHO大阪病院を経て、大阪国際がんセンターで消化器癌の内視鏡手術を担当。現在、下剤を飲まない大腸検査・無痛内視鏡を行うなかむら内視鏡センター副院長。「抗血栓薬の特徴と内視鏡時の対応(消化器内視鏡33)」等の著書あり。二児の父。
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