【十二指腸潰瘍・十二指腸腺腫の症状をチェック!】医師ブログ

十二指腸潰瘍という病気をご存知でしょうか。

 

潰瘍(かいよう)というと胃潰瘍が有名ですが、十二指腸潰瘍は重症化すると胃潰瘍よりも大変な病気なのです。

 

そんな十二指腸潰瘍の症状などをチェックしていきましょう!

 

こんにちは。なかむら内視鏡センターのDr.くまでございます。

 

大阪のなかむら内視鏡センター女性医師常勤のクリニックで、麻酔を使った楽な胃カメラや、下剤を飲まない大腸内視鏡検査を行っています。

 

さて、今回のブログは十二指腸潰瘍のお話です。

 

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症にはピロリ菌や鎮痛薬(ロキソニン)には関わっていることがわかっています。

 

衛生環境の改善や、ピロリ菌の除菌療法の普及により、ピロリ菌の陽性率は低下傾向にあります。

 

しかし、十二指腸潰瘍は胃潰瘍に比べると、胃酸の影響が強いと言われており、胃潰瘍が40〜60代にできやすいのに比べて、十二指腸潰瘍は胃酸の強い20〜40代にできやすいです。

 

今後、ピロリ菌にかかっていない若い人でもなりうる十二指腸潰瘍。

 

その症状や癌化、十二指腸癌や十二指腸炎との関係について、どこよりも詳しく解説したいと思います。

 

それではどうぞ!

「十二指腸のことをもっともっと知りたいのです!」

 

【ブログ目次】


1.十二指腸潰瘍の症状をチェック!

2.十二指腸潰瘍の原因は?

3.十二指腸潰瘍は癌化する?十二指腸癌とは?

4.十二指腸腺腫は癌化のリスクあり!

5.十二指腸炎って何?十二指腸潰瘍と違うの?

1.十二指腸潰瘍の症状をチェック!


まず十二指腸というのは、どこにある臓器かご存知でしょうか。

 

十二指腸は胃と小腸の間にある臓器で、名前の通り、十二本分の指ほどの長さがある臓器です。

 

胃と十二指腸はともに、みぞおちのあたりに存在する臓器ですが、胃はお腹側、十二指腸は背中側に存在します。

 

そのため、十二指腸に潰瘍ができると、胃潰瘍と同様に、みぞおちの痛み、胸やけ、お腹の張りといった症状が出る他に、背中の痛みを感じることがあります。

 

また、十二指腸潰瘍から出血すると、“タール便”と呼ばれる海苔の佃煮のような黒い便が出ます。

 

出血したときの血液は赤いのですが、便として外に出る過程で酸化されて黒くなるのです。

 

出血量が多いと吐血(口から血を吐くこと)が生じることもあります。

 

吐血も、真っ赤な血を吐くというよりもむしろ、“コーヒー残渣様”と表現される、赤黒いイメージです。

 

十二指腸潰瘍は放置すると、潰瘍がどんどん深くなります。

 

十二指腸の壁は3mmと薄いので、そのまま放置すると穴があく(穿孔)ことがあります。

 

十二指腸潰瘍かも、と疑ったら、早めにクリニックを受診することが大切です。

2.十二指腸潰瘍の原因は?


 

口から入った食べ物は、胃酸や胃の消化酵素により分解され、胃の蠕動(ぜんどう)運動により攪拌(かくはん)された後、十二指腸に入ります。

 

十二指腸では、肝臓から胆汁、膵臓から膵液といった強力な消化液が分泌され、糖質やたんぱく質、脂質を分解していきます。

 

つまり、十二指腸は、胃から流れてくる胃酸と、強力な消化液である胆汁や膵液にさらされる、化学的に非常に悪い環境なのです。

 

健康な状態では、これらの十二指腸粘膜に対する攻撃因子から粘膜を守るための粘液やホルモンなどの防御因子が上手く働いているのですが、このバランスが崩れて、攻撃因子の方が強くなると十二指腸潰瘍ができます。

 

このバランスを崩す二大原因は、ピロリ菌と鎮痛剤(ロキソニンなど)です。

 

そのため、ロキソニンなどの痛み止めを習慣的に内服している方は、痛み止めの中止や変更をまず考えるべきです。

 

さらに、ピロリ菌検査で陽性となった場合はピロリ菌を除菌することで潰瘍を治癒させたり、再発を予防するのに効果を発揮します。

 

しかし、ピロリ菌や鎮痛剤の内服にあてはまらない方でも十二指腸潰瘍になってしまうことがあります。

 

実は、胃潰瘍の好発年齢が40~60歳代なのに対して、十二指腸潰瘍の好発年齢は20~40歳代とやや若年であることがわかっています。

 

20~40歳代でピロリ菌に感染していない方は胃粘膜が萎縮していないので、元々胃酸の分泌が盛んなのですが、それにお酒やタバコ、ストレスなどの胃酸の分泌を亢進させる要因が加わると十二指腸潰瘍が発生してしまいます。

3.十二指腸潰瘍は癌化する?十二指腸癌とは?


結論からいうと、十二指腸潰瘍そのものが癌化することはありません。

 

しかし、十二指腸癌や、カルチノイド、GISTなどの十二指腸にできる腫瘍の一部は潰瘍を形成することがあります。

 

内視鏡の見た目だけでは十分に判断できないこともあり、その場合、生検組織での診断が必要になります。

 

十二指腸癌とは、十二指腸の粘膜から発生する癌で、胃癌などと同じ、腺癌と言われるグループの癌です。

 

実は十二指腸にできるポリープの中には、癌化のリスクのあるものがあります。  

 

次の項では、癌化のリスクのある十二指腸ポリープについて解説します。

 

4.十二指腸腺腫は癌化のリスクあり!


十二指腸ポリープの中で癌化のリスクのあるものは十二指腸腺腫(せんしゅ)と呼ばれます。

 

十二指腸腺腫は内視鏡でみると、少し白っぽい見た目をしています。

 

十二指腸腺腫は放置すると大きくなって癌化するものがあります。

 

10mm以下の小さなものでも癌化している場合があり、ガイドラインでも切除が推奨されています。

 

一般的に十二指腸腺腫は症状はありません。

 

治療の方法としては、内視鏡での切除が一般的です。

 

10mm以下の小さな病変だと、細いワイヤーのようなスネアと呼ばれる輪っかを内視鏡の先端から出して、機械的に切除します。

 

大きなものになると、通電して電気メス(スネアを含む)で切除を行います。

 

ただし、胃の壁の厚みが5mm程度なのに対して、十二指腸の壁の厚みは3mm程度と薄いため、特に電気メスで通電切除を行うときは、細心の注意を要します。

 

壁が薄いために、通電切除の際に発生した熱が十二指腸の壁の奥深くまで伝わり、血管を傷つけて出血をおこしたり、十二指腸の壁に穴が開く(穿孔:せんこう)ことがあります。

 

十二指腸は、強力な消化液である胃酸や胆汁、膵液が暴露する場所で、かつ周囲に膵臓や大血管などの重要な臓器が沢山あるため、万が一、穿孔を起こした場合には、緊急手術が必要になったりと大変な事態になります。

 

場合によっては、穿孔が治るのに数か月の入院を要することも珍しくありません。

 

そのため、大きい病変になると総合病院などへの入院が必要になります。

 

十二指腸腺腫ができる明らかな原因は分かっていませんが、家族性大腸腺腫症などの遺伝性疾患では、十二指腸腺腫が多発することが分かっています。

5.十二指腸炎って何?十二指腸潰瘍と違うの?


十二指腸潰瘍と似た言葉で「十二指腸炎」というものをご存知でしょうか。

 

もしかすると、健康診断の胃カメラや人間ドックで、
「十二指腸炎がありますね」
と指摘されたことのある方もいるかもしれません。

 

十二指腸炎とは、十二指腸の粘膜の表面がただれたようになり、傷ついた状態です。

 

写真のように、十二指腸粘膜全体が赤く腫れぼったくなり、一部に白くみえる部分があります。

 

この白い部分は粘膜の表面が削られている状態です。

 

十二指腸潰瘍と病態としては似ているのですが、違うのは「ダメージを受けている深さです」

 

十二指腸炎では、粘膜の表面だけが削られているのに対して、十二指腸潰瘍では、その下の粘膜下層、あるいは筋層という深い部分まで削られてダメージを受けています。

 

十二指腸炎の重症版が、十二指腸潰瘍と考えて頂いて結構です。

 

十二指腸炎は、軽いものだと無症状のことも多く、前述の通り、健康診断の胃カメラや人間ドックで偶然みつかることも多いです。

 

しかし、炎症の範囲や程度が強くなると、十二指腸潰瘍と同様に、みぞおちの痛みや不快感、背中の痛みを自覚します。

 

十二指腸潰瘍と同様に、ストレスによる胃酸過多や、ピロリ菌、ロキソニンなどの鎮痛薬、お酒やタバコなどが原因となります。

 

ほとんどは一時的な変化で心配ないのですが、なかにはクローン病やIgA血管炎などの自己免疫疾患が隠れていることがあり、組織検査で診断を行うことがあります。

【 まとめ 】


いかがでしたでしょうか。

 

今回は十二指腸潰瘍やについて、お話しました。

 

十二指腸潰瘍は若い方でもなる病気で、放置すると出血したり穴が空いたりして大変なことになります。

 

みぞおちの痛みを感じている方は、放置せずに早めに診断して治療につなげましょう!

 

十二指腸潰瘍が気になる方はお気軽にご相談ください。

↓↓

 なかむら内視鏡センターの麻酔を使った楽な胃カメラ

 

「十二指腸潰瘍でお悩みの方はお気軽にご相談を!なかむら内視鏡センターのDr.くまでした」