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【胃に穴が開くとどうなる?症状は?】専門医が詳しく解説!

ストレスでお腹がキリキリ痛くて「胃に穴が開く!」と心配な方へ。
その原因は胃潰瘍で、胃に穴が開きかけているかもしれません。
また、もし胃に穴が開くとどうなるのでしょうか?
胃潰瘍で胃に穴が開く症状と前兆について、わかりやすく解説します。
それでは、早速どうぞ!
(このブログは日本消化器病学会・消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)

「胃に穴が開いたと心配な方。とにかく病院に行ってみましょう」

 

 

胃に穴が開く!ストレスだけじゃない胃潰瘍


胃潰瘍のことは皆さんイメージがつきやすいのではないでしょうか。
ストレスでおこるものというイメージがありますよね。
医学的にいう胃潰瘍とは胃の粘膜がただれて、胃の壁が傷ついた状態のことを指します。
イメージ通り胃潰瘍は悪化すると最悪の場合、胃に穴が開きます。
なぜ胃潰瘍ができるのでしょうか。胃潰瘍ができるのはストレスだけが原因ではないのです。
むしろストレスはあくまで一因といえます。
胃潰瘍は胃酸と、胃の壁を守る粘液の分泌のバランスが崩れることで生じます。
そのため、ピロリ菌への感染や、ロキソプロフェンなどの解熱鎮痛剤などが胃潰瘍のリスクとなります。
前述の原因の中でも、悪玉菌として有名なピロリ菌によって発症する人が多い状況です。
ピロリ菌は衛生環境が今ほど整備されていなかった時代に子供時代を過ごした世代、すなわち50歳代以上の方が持っていることが多いとされます。
ピロリ菌は親から子への感染である母子感染も多いですが、汚染されたものを摂取して感染することもあります。
子供の頃に感染したピロリ菌でも、除菌しないとほとんどが胃の中で生き続けることになります。
そのピロリ菌がつくる物質が、胃の粘膜を傷つけて胃潰瘍が発生するのです。

胃に穴が開く症状は?みぞおちの激痛に注意!



胃に穴が開く原因である胃潰瘍の症状で多いのは、みぞおちから左の脇腹にかけての鈍い痛みです。
すきっ腹の時や食後のみぞおちの痛みを訴える方が多いです。
胃潰瘍を患った患者さんは胃酸の分泌が低下していることが多いとされます。
そのため、吐き気や胸焼け、食欲低下などの症状を訴えられる方もいます。
胃潰瘍は放置すると出血を起こすことがあります。
出血をおこすと、血を吐いたり、黒い便が出たりといった症状が現れます。
この黒い便はイカ墨や海苔の佃煮のような真っ黒なタール便といわれるものです。
出血を起こすまで重症化すると、腹痛や冷や汗、血圧低下、貧血を起こすこともあります。
さらに進行すると胃に穴が開くことになります。
胃に穴が開くと、胃の中身がお腹の中へ漏れ出て、腹膜炎を起こして強烈な腹痛がおそいます。
この時の痛みは強烈で、思わずお腹をかかえて、歩けないほどです。
逆にお腹を軽くたたいたり、お腹を伸ばしたり歩いても痛くないなら、胃に穴が開くまでは至っていないと思われます。
ここまで重症化すると速やかに入院して治療を行わないと命に関わる場合もあります。

胃に穴が開く前兆は?



胃に穴が開く前兆はどんな症状がでるのでしょうか?
胃に穴が開く時、大量にお酒をのんで急に穴があくブールハーフェ症候群という病気もありますが、一般的には、先に胃潰瘍があって、胃潰瘍の悪化により胃に穴が開きます。
そのため、基本的には、胃潰瘍の症状の前兆があります。初めは、みぞおちの強い痛みとは感じずに、「お腹が張る感じ」「みぞおちの不快感」「胃もたれ」のように感じます。
胃に穴が開く数日前から、徐々に、みぞおちの痛みが強くなっていき、穴が開いた瞬間は、さらに一段階、痛みが急激に強くなります。

胃に穴が開くとどうなる?



もし胃潰瘍が悪化して胃に穴が開くとどうなるのでしょうか。

胃に穴が開くと、まず、今まで味わったことのないような強い痛みをみぞおちに感じることが多いと思います。
立っていられないような痛みで思わず、うずくまってしまうような痛みです。
空いた穴からは胃液がもれて、胃穿孔とよばれる状態になります。
胃穿孔ではお腹の中に胃液がもれることで、大やけどのような状態である「腹膜炎」になり命にかかわることがあるので、緊急治療が必要になります。

緊急治療の方法は2つあり、内視鏡治療と、外科手術です。

内視鏡治療

基本は外科手術が良いのですが、全身状態が安定していて胃に開いた穴が小さい場合、あるいはごく早期の場合は、内視鏡治療で治療できることがあります。
内視鏡治療の方法は、クリップ閉鎖術といって、内視鏡から出したクリップとよばれる縫合装置で胃に開いた穴を閉じるものです。
他にはネオベールという、創傷保護剤を胃に開いた穴の部分に充填して穴をふさぐ方法があります。

外科手術

外科手術は全身麻酔を使って、お腹の外から穴をあけて腹腔鏡という装置をいれて、開いた穴を縫う治療法になります。
そのときに、大網充填といって、胃の周りの組織を一緒に開いた穴のところに縫合してくこともあります。
しかし、胃に穴があいて、ここまで悪化する前に早期発見して、内服治療やピロリ菌の除菌治療を行うのが非常に重要といえます。
検査をご希望の方は、堺なかむら総合クリニックにお任せください。

楽な内視鏡検査は
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胃潰瘍の検査は胃カメラ!




胃潰瘍かなと疑ったときの検査は、まずは胃カメラです。
胃カメラ(内視鏡検査)では、胃の粘膜の状態や胃潰瘍の深さ、出血の有無などを確認します。
血液検査で貧血の程度を見たり、CTで胃潰瘍の場所の見当をつけたり合併症の有無を調べることもあります。
しかし、胃カメラは人の目で胃潰瘍の状態を直接見て把握することで、胃潰瘍の診断だけでなく、進行度を調べ、そのまま治療につなげることができます。
胃カメラは潰瘍の状態を確認するだけでなく、胃の生検(組織検査)も同時に行うことができるため、形が非常に似ている陥凹型の胃がんとの鑑別もできます。
胃カメラで胃の粘膜を観察することでもピロリ菌の有無がわかることが多いです。
しかし、ピロリ菌の診断をつけるには、血液検査や迅速ウレアーゼ試験、尿素呼気試験などが必要です。
お気軽にスタッフまでご相談下さい。

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胃潰瘍の治療は薬とピロリ菌の退治




治療としては、胃に出血がある場合はまず止血術を行い、出血がないときは薬による治療を行います。
胃潰瘍の治療でまず行うのは胃酸の分泌を抑える薬で、PPI(ピーピーアイ)といわれるものです。
他に胃粘膜を保護する薬を併用することもあります。
また先にお話した通り、胃潰瘍の原因としてピロリ菌の感染が疑われるときは、ピロリ菌の除菌を行います。
胃潰瘍の原因になるロキソプロフェンなどの解熱鎮痛剤を服用しているときは、内服を中止してほかの薬に変更することがあります。
胃潰瘍から出血が生じているときは、止血術を行いますが、内視鏡を用いて止血できる場合がほとんどです。
内視鏡の先についている鉗子口といわれる穴から、出血点を焼いて止める装置や出血している血管を止めるクリップ装置を胃の中に入れて出血を止めます。
出血している部分に止血剤を注射したりすることもあります。
薬で治療できた場合でも、止血術を行った場合でも胃潰瘍が再発することがあるため、定期的に胃カメラを受け、胃潰瘍の傷の治りや再発の有無をチェックすることが重要です。

胃潰瘍:まとめ


いかがでしたでしょうか。今回のコラムでは胃潰瘍についてご紹介しました。
胃潰瘍のことを知らなかった方、胃潰瘍じゃないかと不安だった方にとって参考になれば幸いです。
大阪の堺なかむら総合クリニックにお気軽にご相談ください。

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「胃潰瘍になった人は、ピロリ菌を必ず調べてみましょう」