【大腸憩室炎はコーヒーやチョコレート、ヤクルトで予防できる?】

大腸憩室炎(だいちょう-けいしつえん)という病気を聞いたことはあるでしょうか。

 

大腸憩室炎は、虫垂炎(俗にいう“もうちょう”)と並ぶ、下腹部の痛みの原因として頻度の高い病気です。

 

下腹部が痛くなることが多い方、その正体はもしかすると大腸憩室炎かもしれません。

こんにちは。なかむら内視鏡センターのDr.くまでございます。

 

大阪のなかむら内視鏡センター女性医師常勤のクリニックで、麻酔を使った痛くない大腸カメラや、下剤を飲まない大腸内視鏡検査を行っています。

 

さて、今回のブログは大腸憩室炎のお話です。

 

このブログでは、大腸憩室炎の痛みの場所や症状・原因などについて、どこよりもくわしく解説します。

 

また、大腸憩室炎の食事メニューは何がよいのかなどについてお話します。

 

大腸憩室炎はコーヒーやチョコレート、ビオフェルミンやヤクルトなどの乳酸菌製剤で予防できるのでしょうか?

 

それではどうぞ!

「くまは、コーヒーもチョコレートもヤクルトも大好物なのです!」

 

【ブログ目次】


1.大腸憩室炎の痛みの場所は?いつまで続く?症状をチェック!

2.大腸憩室炎の原因はストレス?

3.大腸憩室炎の入院期間は?入院しないとどうなる?

4.大腸憩室炎はコーヒー、チョコレート、ヤクルトで予防できる?

5.大腸憩室炎の食事メニューは何がいい?

 

1.大腸憩室炎の痛みの場所は?いつまで続く?症状をチェック!


大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)は、大腸憩室という腸にできた穴ぼこに炎症がおきた状態です。

 

そのため、大腸憩室炎が起きる場所は、当然、大腸憩室がある場所になります。

 

大腸憩室は、頻度が高い病気で、全年齢での頻度は、約25%です。

 

大腸憩室があるだけだと、6割くらいの人は無症状ですが、3割くらいの方は、便秘や下痢、腹痛、腹部膨満感などを自覚します。

 

大腸憩室ができると、腸の壁が固くなり、腸の稼働性が悪くなるので、こういった症状がおきると考えられます。

 

大腸憩室症の頻度は年齢とともに上昇することが明らかになっており、40歳以下では10%以下ですが、50歳代では30%、70歳代では50%以上と、頻度が上昇します。

 

この大腸憩室の約2.5%に大腸憩室炎が起きるとされます。

 

ちなみに、大腸憩室から出血することもあり、その頻度は約4%となっています。

 

大腸憩室ができるのは上行結腸(お腹の右下の腸)とS状結腸(お腹の左下の腸)とされているので、大腸憩室炎の痛みの場所は「お腹の右下」か、「お腹の左下」になります。

 

お腹の右下の痛み、というと「虫垂炎(俗にいう盲腸)」が有名ですから、大腸憩室炎が虫垂炎と混同されることも良くあります。

 

大腸憩室の診断は大腸内視鏡検査で簡単にでき、腸の中からみると「ほら穴」のような見た目をしています。

大腸内視鏡写真:(図の穴ぼこが大腸憩室)

 

大腸内視鏡検査で「大腸憩室」と診断された方が、「右下腹部」もしくは「左下腹部」の痛みを感じたら、大腸憩室炎の可能性を考えた方がよいでしょう。

 

もし「血便」があれば「大腸憩室出血」の可能性は常に念頭におくべきです。

 

逆に、大腸内視鏡検査で大腸憩室と一度も言われたことのない方が右下腹部や左下腹部の痛みを感じた時は、虫垂炎や、尿路結石などの他の病気を考えた方が良いでしょう。

 

2.大腸憩室炎の原因はストレス?


 

大腸憩室炎の原因はストレスなのでしょうか。

 

大腸憩室炎は、大腸憩室という大腸にできた穴ぼこの中に、便などが入り込むことによってバイ菌が繁殖して、炎症を引き起こすことが原因となります。

 

食事でいうと食物繊維の摂取量が少なく、赤身肉や脂肪分が多い西洋型の食事がリスクになります。

 

食物繊維の摂取量が少ないと便秘になりやすくなり、便を出す時に力を込めてふんばるようになるので、腸の中の圧力が上がります。

 

もともと腸の壁の中で、腸を栄養する血管が通っている部分は構造的に弱くなっているので、その腸管の壁の弱い部分が腸の外に押し出されてしまい憩室ができるといわれています。

 

最近、日本でも食生活の欧米化に伴って、どんどん大腸憩室炎の方が増えています。

 

肥満や喫煙も憩室炎のリスクを高めることがわかっているので、これらに当てはまる方は要注意です。

 

スウェーデンの研究では、憩室炎の重症化リスクは、1日15本以上喫煙する人は喫煙しない人と比べ2.7倍、BMI30以上の女性はBMI20-25の女性と比較して憩室炎発症リスクが33%上昇すると報告されています。

 

もちろん、ストレスもよくありません。

 

ストレスがかかる状態が慢性的に続くと免疫力が下がるので、憩室炎の悪化させる恐れがあります。

 

食事や排便習慣、ストレスに気をつけて、大腸憩室炎を予防しましょう。

3.大腸憩室炎の入院期間は?入院しないとどうなる?


大腸憩室炎は、腸にできた穴ぼこ(憩室)に、バイ菌が繁殖し炎症が起こった状態です。

 

そのため、バイ菌を退治して炎症を鎮めるのが治療になります。

 

このバイ菌は多くは大腸菌という細菌なので、大腸菌をメインターゲットとした抗生物質(オーグメンチンという薬など)の投与をおこないます。

 

また、腸の中が便まみれで圧力が上がると治療の妨げになるので、食事量を減らして消化の良い食事にしたり、絶食で点滴をおこなったりします。

 

また、大腸憩室炎による炎症で血管が破綻し、出血がおこることがあります(大腸憩室出血といいます)。

 

出血が起こった場合は、大腸内視鏡検査を行い、クリッピングなどの止血処置をを行います。

 

大腸憩室炎の治療期間は、少なくとも抗生剤投与が1週間程度必要です。

 

中途半端に数日で抗生剤投与をやめてしまったり、効き目の弱い抗生剤を使ってしまうと慢性憩室炎(憩室の中で炎症がくすぶる)になってしまいます。

 

大腸憩室炎は軽症であれば外来で治療できますが、悪化することもあるので、悪化の兆候を見逃さないように、数日おきに通院してもらいながら慎重に経過を見ます。

 

悪化の兆候があった場合は、入院で絶食の上で点滴治療を行います。

 

その場合、 入院期間は1週間~2週間くらいになります。

 

大腸憩室炎を放置すると、どうなるのでしょうか。

 

憩室炎は悪化すると、炎症がひどくなり、最悪の場合は腸に穴があきます(穿孔といいます)。

 

腸に穴が開くと、細菌まみれの腸液がお腹に漏れて、腹膜炎を起こして激痛を生じます。

 

腹膜炎まで起こしてしまうと、外科的な緊急手術が必要になり、命に関わるときもあります。

 

このように大腸憩室炎は、悪化すると入院や手術が必要になる病気ですので、早期発見・早期治療が重要になります。

 

4.大腸憩室炎はコーヒーやチョコレート、ヤクルトで予防できる?


「大腸憩室炎はコーヒーで予防できるのですか」

 

くまが外来をしていると、そういった質問を受けることがあります。

 

コーヒーは、腸の運動を活発にする働きがあります。

 

また、コーヒーの成分には、抗酸化作用を持つカフェインや、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が含まれており、炎症を抑える働きがあります。

 

このため、大腸がんに関しては発生を抑制できる可能性が示されており、コーヒーを3杯以上飲むグループで大腸がんの発生リスクが3割低下したというデータがあります。(Int J Cancer. 2007 Sep15;121(6):1312-8. )

 

さらに女性の浸潤結腸癌に限ると、発生リスクを56%抑制できたという結果でした。

 

一方、残念ながら、大腸憩室炎に関しては、そういったデータはありません。

 

しかし、大腸憩室炎は便秘による便の滞留や、慢性炎症によって起きやすくなることを考えると、コーヒーの腸の動きの活性化や抗炎症作用により、理論的には大腸憩室炎に良い作用があると考えられます。

 

また、ビオフェルミンやヤクルトといった、乳酸菌製剤は大腸憩室炎の予防に効果があるのでしょうか。

こういった乳酸菌製剤いわゆる「整腸剤(せいちょうざい)」は、医学的にはプロバイオティクスとよばれますが、これと抗生剤を組み合わせることで憩室炎の再発に効果があったという報告があります(Riv Eur Sci Med Farmacol 15 (1): 29-34, 1993)。

 

プロバイオティクスは、非常に安全な製剤なので、再発予防として定期摂取するのは効果的である可能性があります。

 

他に、納豆やヨーグルトなどの発酵食品も腸内環境を整える働きがあるので、プロバイオティクスと同様の効果が期待できそうです。

 

高カカオのチョコレートはどうでしょうか。

 

高カカオのチョコレートには、抗炎症作用、動脈硬化のリスク低下など様々な健康効果が実証されています(J. Nutri. 141, 1982-1988.2011)。

 

さらに、帝京大学の古賀淳教授のグループが、高カカオチョコレートに含まれるカカオプロテインにより腸の動きがよくなり、便通改善作用があると報告しています。

 

動脈硬化のリスク低下と便通改善効果の両方が期待できる高カカオチョコレートを適度にとるのもよさそうです。

5.大腸憩室炎の食事メニューは何がいい?


下腹部が痛くて、まさに大腸憩室炎の炎症が起こっている時期(炎症の急性期)には、腸に負担が少ない消化のよい食事メニューが良いです。

 

消化のよいメニューの覚え方としては、“白いもの”で覚えて頂くのが分かりやすいかと思います。

 

具体的には、うどん・白米・麺類・白パン・牛乳・ヨーグルト・チーズ・豆腐・白身魚などです。

 

全て白い食べ物ですよね。

 

ちなみに、予防に効果がある可能性のあるコーヒーやチョコレートは腸を動かす作用により症状が悪化する可能性があるので、腹痛のある急性期は摂取をやめておいた方が良いです。

 

一方で、炎症が治まってお腹が痛くなくなった後の食事は、逆に食物繊維の多いものがおススメです。

 

食物繊維には、便のカサを増して腸を刺激し、腸の動きを活発化させる働きがあります。

 

この働きによって、便やガス(おなら)が腸の中に滞留するのを防ぎ、便秘解消に効果があります。

 

これだけでなく、便やガス(おなら)が速やかに外に排出されるようになるため、腸の中の圧力が下がり、大腸憩室症や大腸憩室炎の予防になります。

 

具体的なメニューとしては、ごぼう・ダイコンといった根菜類、しいたけ・えのき・まいたけなどのキノコ類、ひじき・わかめなどの海藻類、納豆などの大豆製品などの食物繊維が豊富に含まれているものです。

【 まとめ 】


いかがでしたでしょうか。

 

今回は大腸憩室炎について、お話しました。

 

40歳を過ぎると、大腸憩室、大腸憩室炎のリスクは上昇します。

 

腹痛や、便秘や下痢などの便通異常を自覚されている方は、大腸がんだけでなく、大腸憩室の可能性も考えて、一度、大腸内視鏡検査でチェックしてみてはいかがでしょうか。

 

大腸憩室を持っている方は、ほら穴のような憩室に宿便がたまり、腸内細菌叢のバランスがくずれ、腸内環境が悪化しがちです。

 

大腸内視鏡検査では、検査の時に使う腸管洗浄液で、憩室にたまった宿便が解消しやすくなります。

 

大阪のなかむら内視鏡センターでは、この腸管洗浄液を胃カメラから注入することで、下剤を飲まずに大腸をきれいにできる下剤を飲まない大腸内視鏡検査を行っています。

 

大腸憩室が気になる方はお気軽にご相談ください。

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 下剤を飲まない大腸内視鏡検査

 

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