【胃カメラは鼻から?口から?】どっちが楽?ブログで医師解説

検診などで引っかかり、胃カメラを鼻からと口から、どっちから受けるか悩まれている方へ。
口からの胃カメラをして反射が強かったりする経験をお持ちの方は鼻からの胃カメラを受けたくなりますよね。
胃カメラを受けるのなんか絶対無理だと思っている方でも、鼻から受けると案外楽に検査が終わったりします。
実は、私くまも口からの胃カメラ(経口内視鏡)が苦手でいつも鼻からの胃カメラにしてもらっているのです。
この記事を読めば、鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)について詳しくなれます。
それではどうぞ!
(この記事は、消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)
「胃カメラが絶対無理だと思ってる人でも、麻酔で鼻から受けると楽にうけれるよ!」
【目次】
2. 鼻からの胃カメラは、口からの胃カメラに劣る点はあるの?
5. なかむら内視鏡センターの経鼻内視鏡が楽な理由①「右手は添えるだけ」
1. 胃カメラは鼻から?口から?楽なのはどっち?違いは?
皆さんは胃カメラには「鼻から入れる胃カメラ」と「口から入れる胃カメラ」の2種類があるのをご存知でしょうか。
この「鼻から入れる胃カメラ」をことを私たちは「経鼻内視鏡(けいびないしきょう)」、「口から入れる胃カメラ」のことを「経口内視鏡(けいこうないしきょう)」と呼んでいます。
経鼻内視鏡は直径5mmという鉛筆よりも細いそのカメラの細さのため検査の苦痛が少なく、近年非常に広まってきています。
経鼻内視鏡は、鼻からカメラが入っていくので、のどの奥の「おえっ」となる咽頭反射をおこす部分に触れることなくカメラが入っていけるのです。
経鼻内視鏡は鼻から胃カメラを入れる点で、口から入れる従来の経口内視鏡と大きな違いがあります。
まずはカメラの太さについてです。
経鼻内視鏡の直径は約5mmであり、通常径の経口内視鏡の直径約10mmと比較して約半分の細さとなります。
現在、この経鼻内視鏡はオリンパス社、フジフイルム社、ペンタックス社の3社から発売されています。
この半分の細さの経鼻内視鏡でも、経口内視鏡と同様にCCDカメラ、ライトガイド、送気孔、吸引孔を有しており、内視鏡観察において同等の性能です。
以前の経鼻内視鏡は、左右アングルが無いものであったり、ライトガイドが1つしかなかったり、多くの問題がありました。
また、経口内視鏡に比べて画質が劣るのが欠点でした。
しかし、技術の進歩とともに近年の経鼻内視鏡は改良がすすみ、経口内視鏡と同等の性能となり画質も全く遜色ないようになってきています。
2.鼻からの胃カメラは、口からの胃カメラに劣る点はあるの?
内視鏡の基本性能は経口内視鏡と同等ですが、個々のスペックは経口内視鏡に比べやや劣る点もあります。
通常の胃などの観察をする際には特に大きな差は感じませんが、内視鏡手術の場合は経鼻内視鏡では処置具を通す鉗子孔などが小さく手術用処置具の通過が難しく使用しないのが一般的です。
また、経口内視鏡の一部の機種には光学100倍ズームができる拡大観察機能がついたものがありますが、経鼻内視鏡には拡大観察機能がついていないのが一般的です。
拡大観察機能がついていると微小な血管や表面の構造を観察することができ、早期がんの精密精査に有用です。
しかし、拡大観察機能がついている胃カメラは概して太いことが多いのが欠点です。
そのため、大阪のなかむら内視鏡センターでは、スクリーニングの内視鏡検査は「麻酔を使って楽な経鼻内視鏡」で検査を行い、そこで異常があった場合は「拡大観察機能の内視鏡」を麻酔を使って行っています。
そうすることで、楽に、かつ精度の高い検査を可能にしています。
3.鼻からの胃カメラの方が喉の病気を見つけやすい!
実は経鼻内視鏡には経口内視鏡にはないメリットがあります。
それは、「のどの病気を観察しやすい」ことです。
「のど」は医学用語で言うと、咽頭(いんとう)や喉頭(こうとう)と言います。
簡単に説明すると、咽頭は食事の通り道、喉頭は息をする空気の通り道と考えて頂いて結構です。
咽頭は細かく分類すると上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つの部位に分かれます。
経鼻内視鏡は、鼻からカメラを挿入するので上咽頭・中咽頭・下咽頭の全てを観察できるのに対し、経口内視鏡は中咽頭・下咽頭の2か所しか観察できません。
さらに鼻から内視鏡を入れる方が喉の奥に接触しないので「おえっ」という咽頭反射が起こりにくいのと、内視鏡自体が直径5mmと細くのどの壁に触れにくいので、のどの観察は経鼻内視鏡の方が見やすいことが多いのです。
4.胃カメラが絶対無理な人は「麻酔で鼻から」がおススメ!
胃カメラなんて絶対無理だ!嘔吐反射が強く出て検査できない!と思っている方は、鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)がおススメです。
経口内視鏡(口から胃カメラ)に比べて経鼻内視鏡(鼻から胃カメラ)は、内視鏡本体が舌の根元に接触しないために嘔吐反射が少なくすみ、カメラの径が細いため検査中も比較的スコープを気にせずにすみます。
検査中の身体への負担に関しては経口内視鏡はカメラの径が太い分、検査中に心拍数が高くなったり、血圧が上がることが多いので身体への負担は増加する傾向にあります。
その点、経鼻内視鏡は検査中も心拍数や血圧もそれほど変わらないため、体への負担も少なくて済みます。
身体に酸素を取り込めている指標である酸素飽和度は、経鼻内視鏡では口で呼吸が可能なために著変ありませんが、経口内視鏡では口がふさがれてしまうため鼻で呼吸することになり、経鼻よりも酸素飽和度が低下する傾向にあります。
つまり、経鼻内視鏡の方が経口内視鏡より楽で身体への負担も少ないといえます。
それでもやっぱり不安な方は、経鼻内視鏡に加えて、麻酔(鎮静剤)を使って胃カメラを受けると、眠ったまま検査を終えることができます。
実際に当院、大阪のなかむら内視鏡センターでも、「胃カメラは絶対無理」という方でも、鎮静剤を使って鼻から胃カメラを行い、100%問題なく完遂できています。
ほとんどの方は「もう、終わったんですか?」とびっくりされるので、胃カメラが絶対無理、と思っている方でも、大阪のなかむら内視鏡センターにお気軽にご相談ください。
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5.大阪のなかむら内視鏡センターの経鼻内視鏡が楽な理由①「右手は添えるだけ」
鼻から入れる胃カメラのことを経鼻内視鏡(けいびないしきょう)といいます。
経鼻内視鏡は一般に、鼻から先端5mm程度の細径内視鏡を挿入することをいいます。
経鼻内視鏡は一般的には経口内視鏡よりも楽だとされますが、なかむら内視鏡センターでは、さらにいくつかのポイントにこだわることで、さらに楽で質の高い検査を追求しています。
鼻から内視鏡を入れるときに一番注意すべきなのは、鼻腔内は非常にデリケートな部分だということを理解することです。
すこしこすれたりするだけで簡単に鼻血がおきます。
鼻血はなかなか止まらない方もおり、抗血栓薬を飲んでいる方は経鼻内視鏡を控えている施設もあるほどです。
患者さんが鼻血が出てつらいのはもちろんですが、鼻出血が咽頭・食道・胃に垂れ込んで内視鏡観察を阻害し、癌のスクリーニングという意味でも患者さんに不利益が出ます。
なかむら内視鏡センターでは、絶対に鼻出血を起こさないように、内視鏡に加える力を極限まで0に近づけています。
内視鏡は主に右手で出し入れしているのですが、その右手を「添えるだけ」にすることを意識しています。
右手は文字通り添えるだけで、わずかに内視鏡を前後する動作だけに集中し、あとは左手による管腔とスコープの軸合わせだけで内視鏡をすすめていきます。
鼻腔と内視鏡の摩擦で進まない時だけ、わずかに送水したりして内視鏡を進めるようにしています。
6. ②「アングルをかけすぎない」
これは経鼻内視鏡に限らないことですが、一般に内視鏡検査というものは、胃であれ腸であれ、くねくねの柔らかい臓器の中を進んでいく検査になります。
「くねくね」ということは、言い換えると「屈曲」が多いということになります。
この屈曲をこえるために、内視鏡には「アングル」という機能がついており、左手のダイヤルを回すことで内視鏡先端を上下左右に自由に動かせるような仕組みになっています。
この便利な「アングル」機能ですが、患者さんに負担の少ない「やさしい」内視鏡をするためには、アングルを必要以上に強くかけすぎない方が良いのです。
つまり、あまりアングルをかけすぎると内視鏡の曲がりが強くなり、患者さんが苦痛を感じてしまうのです。
さて、一般的に内視鏡においては屈曲を前にしたとき、屈曲に近づけば近づくほど、強くアングルをかけないと屈曲を超えづらくなります。
これは、車の運転などと同様の理屈です。
そのため屈曲が見えれば、近づくのではなく、まずは遠めで屈曲をとらえて、そこから徐々にアングルをかけていくのが正しいアングルの使い方といえます。
近くでアングルをかけると、アングルが強くなるだけでなく、内視鏡のPush操作のエネルギーが前方に伝わりづらくなる、全体像がとらえられなくなる、などのデメリットもあります。
ちなみに、初めに鼻腔内へ挿入するときは、鼻毛があって視野がとりづらくなりますが、ここで私はアングルをかけずにカメラを直線にした状態で、内視鏡画面を見ずに直接内視鏡の先端を見ながら挿入するようにしています。
ここでもやはり、アングルをかけすぎないことを原則として考えています。
7. ③「レンズを汚さない」
経鼻内視鏡は、先端径が約5mmの超細径内視鏡です。
しかし、レンズの大きさは従来の胃カメラとそれほど変わりませんし、鉗子チャネルの口径も2mmほどで従来の胃カメラよりわずかに細い程度です。
つまり、通常の胃カメラと比べると内視鏡の辺縁とレンズ面との距離が近いといえます。
この距離が近いとレンズ面が汚染されやすいのです。
また、送水力や吸引力も弱いため、汚れたレンズを洗浄しにくくなります。
なかむら内視鏡センターでは、経鼻内視鏡検査の時は、粘調度の高い唾液などを無理に吸引しようとせず、なるべく触れないように観察しています。
もし、触れてしまった場合でも、粘膜に近接してガスコン水(洗浄液)を流すことで画面をクリアにします。
常にレンズをきれいに保つことで、高い精度の内視鏡検査を行うことができるのです。
8. ④「無理をしない」
経鼻内視鏡の第一選択となるルートは、中鼻甲介ルートです。
スティック法を用いて麻酔した際に鼻の通りのよかった方の鼻を選択します。
選んだ方の鼻の中鼻甲介ルート→下鼻甲介ルート(中鼻甲介ルートの下の側道)、それが難しければ反対側の鼻の中鼻甲介ルート→下鼻甲介ルート→経口ルートという風に選択します。
私の経験では、対側の鼻もしくは経口ルートを選択せざるをえない患者さんはほとんどいませんが、本当に鼻が狭い方も一定数いるので、無理をせずに柔軟にルートを変えていくのが重要です。
9. ⑤「空気を抜く」
経鼻内視鏡は細い分、通常の胃カメラと比べてコシがなく、たわみやすいといえます。
内視鏡がたわんでしまうと、その分、胃を圧迫して患者さんは苦しくなってしまいます。
では、経鼻内視鏡でたわまずに挿入するためにはどうすればよいのでしょうか。
たわまずに挿入するコツは胃の中の空気量を減らすことです。
具体的には、食道を過ぎて胃の中に入ったら、まず胃内を脱気します。
そして、内視鏡の先端を前庭部方面(十二指腸の方向)に向けて、行先が分かる程度の最小限の送気をします。
10. ⑥「呼吸を使う」
胃角部大弯(胃の中央部)に内視鏡の先端が達したら、息を吐いてもらい(呼気)、胃が平たくなっている状態で幽門輪(胃の出口方面)にすすむと内視鏡がたわまずに幽門輪に到達できます。
経鼻内視鏡は細いため幽門輪の突破は容易ですが、上記のように胃内を丁寧に進めないと、十二指腸で内視鏡の長さが足りなくなることがあるので要注意です。
内視鏡は一般に、十二指腸に到達した後に、たわんだ内視鏡を短縮する「ストレッチ操作」というのを行います。
このストレッチ操作が気持ち悪いと感じる患者さんもおられますが、ここでも息を吐いてもらう(呼気)ことで気持ち悪さを感じずに内視鏡検査を行うことが可能になります。
【まとめ】
今回のコラムでは経鼻内視鏡についてご紹介しました。
最近の経鼻内視鏡はスペックが向上しており、口からの胃カメラより楽なので、スクリーニング検査には経鼻内視鏡で十分OKといえます。
当院、大阪のなかむら内視鏡センターのように、スクリーニングは経鼻内視鏡で行い、胃がんなどが疑われる場合のみ拡大観察機能つきの高精度内視鏡を使うという2段構えの検査体制ならより安心といえます。
楽な胃カメラ検査をお求めの方は大阪のなかむら内視鏡センターにお気軽にご相談ください。
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「くまは、やっぱり楽な経鼻内視鏡がおススメなのです。」
この記事を書いた人

- 中村診療所・なかむら内視鏡センター 副院長
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消化器病専門医|認定内科医
大阪大学医学部卒。住友病院、JCHO大阪病院を経て、大阪国際がんセンターで消化器癌の内視鏡手術を担当。現在、下剤を飲まない大腸検査・無痛内視鏡を行うなかむら内視鏡センター副院長。「抗血栓薬の特徴と内視鏡時の対応(消化器内視鏡33)」等の著書あり。二児の父。
『女性医師が常勤の当院は女性の方でも安心です。以下の地球マークのHPリンクから、お気軽にHPをご覧下さい!』
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