【喉に何か張り付いている感じ・詰まる感じ】はコロナの初期症状?がん?

最近、喉に何か張り付いている感じ、喉が詰まる感じ、喉がつかえる感じがある、と不安な方へ。

 

「喉に何か張り付いている感じ」「喉が詰まる感じで息苦しい」「唾を飲み込むと喉に違和感がある」「喉にできものがある感じ」「コロナじゃないか」と、私が外来をしていると、これらの症状を訴えてこられる患者さんが大勢います。

 

喉の痛みや違和感というと、特に新型コロナウイルス(COVID-19)の初期症状なのではないか。がんではないか。とやはり気になりますよね。

 

今回は、喉の痛みや違和感があるときに、考えられる病気とその対応について、医師が徹底解説します。

 

また、それぞれの病気の見分け方のポイントについても説明していきたいと思います。

 

それでは早速どうぞ!

(この記事は消化器病専門医認定内科医の中村孝彦医師が執筆しています)

「マスクしてるのに喉に違和感。放置して大丈夫なのでしょうか

 

【目次】


1.喉に何か張り付いている感じ・詰まる感じはコロナの初期症状?

2.喉の違和感・喉のつかえる感じの原因は逆流性食道炎?

3.喉に違和感、喉につかえる感じがある人には漢方が効く?

4.喉のできもの、咽頭がんの初期症状をチェック!

5.内視鏡(胃カメラ)で口、喉、首の癌は診断できる!

1. 「喉に何か張り付いている感じ・詰まる感じ」はコロナの初期症状?


 

コロナの症状として、頻度が高いのは、発熱、空咳(からぜき)や痰(たん)、倦怠感(だるさ)ですが、喉の痛みや違和感が初期症状として現れることがあります。

 

喉の痛みや違和感が現れる頻度は、20%程度と考えられています。

 

おそらく、喉の痛みや違和感で、多くの人はまず「風邪かな」と思うと思います。

 

しかし、コロナウイルスの影響でほとんどの人が常時マスクをしている状態であり、コロナ前と比べて、ただの風邪をひく確率はひくくなっています。

 

実際、約2000人を対象としたアンケート調査では、「風邪(かぜ)」を経験した人は、コロナ前の4割以下に減少しているというデータもあります。

 

コロナウイルスの初期症状かどうかを見極めるポイントは、「喉の痛みや違和感以外にある症状」にあると思います。

 

新型コロナウイルスの合併症状としては、90%以上の方で発熱、70%以上の方で咳やだるさがあるので、これらの症状がある方は、コロナ陽性の方への濃厚接触など思い当たることがなくても、今の時期はまずコロナの可能性を考えなければなりません。

2.喉の違和感・喉がつかえる感じの原因は逆流性食道炎?


もしかしたら、あなたの喉の違和感・喉がつかえる感じの原因は食道かもしれません。

 

こう聞くと、え!とほとんどの方が意外に感じると思います。

 

このことはあまり知られておらず、実は医師でも知らない人がいるほどです。

 

その食道の病気の名前は、「逆流性食道炎(ぎゃくりゅうせいしょくどうえん)」です。

 

逆流性食道炎は、ごはんを消化するために存在する胃酸が食道の方に逆流する病気です。

 

もともと、ごはんを消化するくらいの強力な胃酸のため、逆流すると食道の粘膜を障害してしまいます。

 

多くの方は、胃酸の逆流は食道までに留まるのですが、中には喉(医学的には咽頭:いんとう、や喉頭(こうとう)と呼びます)の方まで逆流する方がおられます。

 

喉まで逆流すると、喉が炎症をおこして腫れぼったくなり、炎症が続くと喉にポリープができることもあります。

 

3.喉に違和感、喉がつかえる感じがある人には漢方が効く?


喉にコロナウイルスや風邪や細菌感染、逆流性食道炎による炎症などがなくても、喉の違和感が出る方がいます。

 

咽喉頭異常感症(いんこうとう-いじょうかんしょう)という病気で、職場の異動やパワハラ・セクハラ、家庭内でのトラブルなどのストレスなどによって自律神経のバランスがくずれて喉の筋肉がけいれんのように収縮して喉の違和感が出ると考えられています。

 

責任感が強かったり、嫌なことを我慢しがちな方、女性に多いとされます。

 

更年期障害やうつ病などの心身症に合併することもあり、空気の乾燥などで悪化することもあります。

 

不眠やアルコール摂取、運動不足などの悪い習慣を改善することで症状がマシになることもありますが、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)という漢方が効果的な方も多いです。

 

ただし、この咽喉頭異常感症と診断するためには、他の病気の可能性を否定する必要があり、決めつけは禁物です。

 

特に、この後に説明する咽頭がんや食道がんといった癌が隠れていることも多く、必ず一度は内視鏡検査などの検査を受けて癌の可能性を否定する必要があります。

4.喉のできもの、咽頭がんの初期症状をチェック!


喉の痛み・違和感で見逃してはならないのは、やはり「がん」です。

 

特に、発熱がなくて、数日から1週間程度様子をみても改善しないようなら、がんの初期症状の可能性を考えなければなりません。

 

喉の違和感で可能性のある癌は、咽頭がん、喉頭がん、食道がんの大きく3種類になります。

 

咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)、食道というのはそれぞれ下図のような位置関係になっています。

食道がんの場合は、頸部食道という首の部分にある食道で喉の違和感の症状が出ることもあります。

 

また、口の中の癌である口腔がんや舌がんでも喉の症状が出ることがあります。

 

他にも、ごはんや飲み物の飲み込みにくさや声のかすれ、くびのしこりといった症状が出ることもあります。

 

もし、癌が原因だった場合にこれを放置すると、出血がおきたり、息苦しくなったり、食べ物が食べれなくなってしまいます。

 

また、こういった癌を早期発見することが非常に重要で、進行した状態で発見されても喉頭全摘術(こうとうぜんてきじゅつ)という大手術が必要で、声を出したりする喉の機能を失うこともあります。

 

 

5.内視鏡(胃カメラ)で口、喉、首の癌は診断できる!


では、口や喉、首(頸部食道)の癌を早期発見するには、何科を受診してどんな検査を受ければよいのでしょうか。

 

実は、消化器科(胃腸科)を受診して内視鏡検査(胃カメラ)を受けるのが最も効果的なのです。

え、胃カメラって胃を見るだけじゃないの? と思っていた方も多いのではないでしょうか。

 

最近の機械の進歩はすさまじく、特に消化器科(胃腸科)の分野は病気の数や患者数が多いため、進歩が早いのです。

 

内視鏡(胃カメラ)はどんどん画像技術が進歩し、実際、私も内視鏡で耳鼻科の先生が見つけられなかった早期の咽頭がんを発見したことが何度もあります。

 

特に煙草(タバコ)を吸っていたり、お酒(アルコール)が好きな方は、こういった癌のリスクが高いので要注意です。

 

喉に違和感・痛みがあって、喫煙・飲酒をしている方、癌と診断された家族がいる方、などは特に早めのチェックが必要です。

 

喉の違和感のまとめ


いかがでしたでしょうか。

今回のブログでは「喉の違和感・痛み」について詳しくご紹介しました。

 

まとめると、「発熱」がある方は、新型コロナウイルスの可能性があるので、まずPCR検査を受けた方がよいでしょう。

 

発熱がなく、数日から1週間程度様子をみても改善がない方は、咽頭がん・食道がんの可能性も考えて内視鏡検査を受けた方がよいと思われます。

 

内視鏡検査に関してもお気軽にご相談ください。

中村診療所・内視鏡内科の楽な内視鏡

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「喉の違和感・痛みのご相談は、中村診療所・内視鏡内科にお任せください!」

 

この記事を書いた人

Dr.Taka|中村 孝彦 医師
Dr.Taka|中村 孝彦 医師中村診療所・内視鏡内科 副院長
消化器病専門医|消化器内視鏡専門医|認定内科医

大阪大学医学部卒。住友病院、JCHO大阪病院を経て、大阪国際がんセンターで消化器癌の内視鏡手術を担当。現在、下剤を飲まない大腸検査・無痛内視鏡を行う中村診療所副院長。「抗血栓薬の特徴と内視鏡時の対応:エキスパートに学ぶ安全で楽な外来内視鏡」など著書・論文多数。

『女性医師が常勤の当院は女性の方でも安心です。以下の地球マークのHPリンクから、お気軽にHPをご覧下さい!』