【食道がんの初期症状をチェック!】

家族が癌になったり、お酒やタバコが好きで食道がんのことが気になっている方へ。
あなたは「胸焼け」や「咳」があり、食道がんの初期症状ではないかと不安でしょうか?
今回のブログは食道がんの症状と治療について、徹底解説します!
お酒やタバコが好きな方は、症状を照らし合わせてセルフチェックすることが大切です。
この記事を読めば、食道がんの症状や治療・ステージについてしっかりつかめると思います。
それではどうぞ!
(このブログは消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)
「お酒やタバコが好きな人は、食道がんに注意です。食道がんの治療は体の負担が大きいので早期発見が重要です」
【目次】
1. 食道がんとは?
食道がんとは、食道の内側をおおっている粘膜の表面から発生する癌のことをいいます。がんが粘膜下層という場所までしか広がっていないがんを表在型食道がんといいます。
一方、それより深い層まで広がっているがんを進行食道がんと呼びます。
一般的な食道がんは「扁平上皮がん」というタイプのがんで、ほとんどが、お酒やタバコが関係するタイプです。
しかし、お酒やタバコと関係なく発生する「バレット食道がん(バレット食道腺癌)」という特殊な食道がんもあります。
関連記事:【バレット食道とは?】食道がんとの関連や治療も解説!
2. 食道がんの症状は?
結論から申し上げますと、食道がんは、ごく初期には症状が出ないのが一般的です。
そのため、検診の胃カメラなどで偶然発見され、早期に「表在型食道がん」と診断されることがほとんどです。
しかし、食道がんはタバコやお酒が好きな方に多く、食道がんに合併した「逆流性食道炎」や「タバコの吸い過ぎによる咳や痰」によって「胸焼け」や「咳」が出ている可能性もあるので、医師に相談してみるのが一番でしょう。
ごく初期には症状があまり出ない食道がんですが、表在型食道がんから進行がんへと、がんが進行するに従って、症状が出てきます。
良く出る症状としては、飲んだり食べたりする時の胸のあたりの違和感があります。
また胸のあたりで食べ物がつっかえる感じや、背中や胸のあたりの痛みを訴える方もいます。
咳や声のかすれなどの症状や体重減少も要注意です。
3. 食道がんの治療方法には、どんな種類があるの?
食道がんの治療方法は、がんの進行具合い(ステージ)や体の状態(体力)などを考慮し決定します。
がんの進行具合いは、ステージとして分類します。
ステージは、がんが縦方向にどれだけ広がっているか、つまり食道の壁のどの深さまで広がっているかを示すT因子、どれくらいリンパ節に転移しているかを示すN因子、他の臓器へ転移しているかを示すM因子を組み合わせて治療方針を決定します。
食道がんの治療には、大きく分けて内視鏡的切除、手術、放射線治療、化学療法の4つがありますが、それぞれの治療法を単独もしくは組み合わせて治療を行います。
治療法は主にステージで決まりますが、患者さんの希望や体の全体的な状態を考慮して治療を決めていきます。
4. 食道がんの内視鏡手術について具体的に教えて!
食道粘膜にとどまった食道がんはステージが0期とよびます。
このステージでは食道を取ることなく温存できる内視鏡的切除術が標準治療として推奨されています。
しかし、病変の範囲が広かったり、食道の上の方(頸部食道)であったりする場合には、内視鏡的切除後に食道が狭くなる可能性が高く、放射線治療や手術、化学療法を行う場合もあります。
内視鏡治療は、上部消化管内視鏡を用いて食道の内側からがんを切除する治療法です。
切除方法には、大きく分けてEMR(イーエムアール:内視鏡的粘膜切除術)とESD(イーエスディー:内視鏡的粘膜下層剥離術)があります。
内視鏡治療の対象は、リンパ節転移のない0期の表在型食道がんです。
EMRは食道がんの下の粘膜下層という組織に生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどの液体を注射して病変を持ち上げ、輪っか型の電気メスでしばった後、通電して切除する方法です。
EMRは比較的簡便で小さな病変に対しては良い適応となります。
しかし、欠点としては病変が大きくなると一度にまとめて切除(一括切除とよびます)できなくなる可能性が高くなります。その結果として癌を取り残す可能性があります。
一方ESDは、病変を含めた組織を電気メスを使って切開および剥離していく治療法です。
病変の大きさにかかわらず、病変を一括切除することができます。
癌を取り残す可能性は低くなり、一括切除した病変を詳細に組織検査することによって、がんの深さや転移のしやすさを正確に診断することができます。
5. 食道がんの内視鏡手術はこわいの?
内視鏡手術の合併症として代表的なものは、治療中の出血と穿孔(食道の壁に穴があくこと)です。
また食道は狭い管のような形をした臓器のため、3/4周以上ある範囲の広い病変を治療すると治療後に管腔が狭くなることがあります。
切除された食道がんを含む組織は、細かく切り出して切片とし、顕微鏡検査で詳しく調べます。
内視鏡治療後の部位にがんが残っている可能性や、治療後にリンパ節転移の可能性が高いと考えられるときは、手術や化学放射線療法などを追加することもあります。
【食道がん:まとめ】
いかがでしたでしょうか。
今回のブログでは食道がんについてご紹介しました。
食道がんの症状や、内視鏡手術のことを知らなかった方にとって参考になれば幸いです。このコラムが明日からのご自身のご健康にお役立て頂けることを願っています。
食道がんも、遺伝子的に食道がんになりやすい方とそうでない方がいるので、御自身の親や家族が癌を患ったことのある方、癌家系の方は是非、検査を受けてみて下さい。
関連記事:【家族が癌になったら絶対してはいけないこと】とは?
大阪の中村診療所・内視鏡内科では、当日予約・当日胃カメラ検査ができる「クイック内視鏡」を行っています。
食道がんが気になる方は、お気軽にご相談ください。
関連記事:【胃カメラは全身麻酔がいい?】楽な姿勢は?疑問を解説!
「食道がんの外科手術は大手術で体力をすごく落とします。早期発見して内視鏡手術で治療するのが重要です」
この記事を書いた人

- 中村診療所・なかむら内視鏡センター 副院長
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消化器病専門医|認定内科医
大阪大学医学部卒。住友病院、JCHO大阪病院を経て、大阪国際がんセンターで消化器癌の内視鏡手術を担当。現在、下剤を飲まない大腸検査・無痛内視鏡を行う中村診療所副院長。「抗血栓薬の特徴と内視鏡時の対応(消化器内視鏡33)」等の著書多数。
『女性医師が常勤の当院は女性の方でも安心です。以下の地球マークのHPリンクから、お気軽にHPをご覧下さい!』
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