【大腸内視鏡検査の前日にコーヒー・牛乳・おやつ・お酒はOK?】
大腸内視鏡検査を初めて受けられる方へ。
初めての大腸内視鏡検査は不安ですし、特に前日の飲み物(コーヒー、牛乳、お酒を飲んでしまったら大丈夫なのか)や、おやつを含む食事メニューを食べていいのかは気になりますよね。
さて、今回のブログでは大腸内視鏡検査の前日の飲み物や食事、下剤といったテーマを、どこよりも分かりすく解説していきたいと思います。
それでは、どうぞ!
(執筆:消化器病専門医 中村孝彦)
「大腸内視鏡検査の前日に牛乳を飲んでしまった!大丈夫かな?
- 大腸内視鏡検査の前日にコーヒー・牛乳を飲んでしまったら?
- 大腸内視鏡検査の前日におやつはOK?
- 大腸内視鏡検査の前日にお酒(アルコール)はOK?
- 大腸内視鏡検査の前日に禁止のものを食べてしまったら?
- 大腸内視鏡検査の前日の食事をコンビニでそろえたい
- 大腸内視鏡の前日の下剤が効きすぎたら?
- まとめ
大腸内視鏡検査の前日にコーヒー・牛乳を
飲んでしまったら?
大腸内視鏡検査の前日にコーヒーを飲んでしまったら大丈夫なのでしょうか。
砂糖やミルクを混ぜても良いのでしょうか。
結論から申し上げますと、大腸内視鏡検査の前日の19時頃までにコーヒーや紅茶を飲むのは全く問題ありません。
コーヒーや紅茶に砂糖や牛乳を入れるのもOKです。
そんなコーヒーですが、前日の19時以降と、検査の当日の朝だけは、さすがにやめておきましょう。
胃液や腸液が着色して検査に支障が出るためです。
また、牛乳や乳製品は胃や腸の粘膜に残りやすく、内視鏡検査をするときに支障が出る可能性があるため、コーヒーと同様に前日の19時以降と、検査の当日の朝はやめておきましょう。
前日の19時以降や、検査当日の朝に牛乳やヨーグルトをとってしまうと内視鏡検査時に残るためやめておきましょう。
検査の当日の朝は、水やお茶など、無色透明に近い飲み物だけとします。
他に注意すべき飲み物としては、野菜ジュースや果肉入りのフルーツジュース、青汁、スムージーなどです。
こういった飲み物は食物繊維が多く、摂取後そのまま消化されずに腸の中に残っていることが多いです。
これらの飲み物は検査前日・当日ともに避けましょう。
大腸内視鏡検査の前日におやつはOK?
大腸内視鏡検査の前日に食事制限しないといけないものの、そういう時だからこそ、口さみしくなりますよね。
大腸内視鏡検査の前日に食べてもよいおやつと、食べてはいけないおやつがあります。
まず食べてはいけないおやつとしては、脂質の多いおやつ、すなわちケーキやドーナツ、ポテトチップスなどのスナック菓子が挙げられます。
チョコレートも油分が多いのでやめておきましょう。
脂質の多いものは、胃を通過するだけでも7-8時間かかり、排便されるまでに24時間近くかかります。
そのため、前日に脂質の多いケーキなどを食べてしまうと、確実に逆に食べてもいいおやつとしては、プリン、ゼリー、カステラ、クッキー、あめなどがあります。
果物で食べてもいいものとしては、リンゴやバナナ、桃、なし、柿、すいかなどです。
ただし、果物の皮や種を食べてしまうと、消化されずに腸の中に確実に残ってしまうので、そこだけは注意しましょう。
大腸内視鏡検査の前日に
お酒(アルコール)はOK?
お酒(アルコール)を飲むのは大腸内視鏡検査の前日から禁止としてください。
ピール、日本酒、焼酎、ウイスキーなど、お酒には腸の運動を活発化させ、血管を拡張する作用があります。
そのため、大腸内視鏡検査の検査中に出血しやすくなります。
また、お酒には脱水になる作用などもあり、ただでさえ脱水気味になりやすい大腸内視鏡検査のリスクが上がります。
さらに大腸内視鏡検査で麻酔(鎮静剤)などを使用する場合は麻酔の効きや、その後の体調に影響を与える可能性が高いです。
どうしても飲みたい場合は、検査前日はノンアルコールビールなどにしておきましょう。
大腸内視鏡検査の前日に
禁止のものを食べてしまったら?
大腸内視鏡検査の前日の食事メニューとして推奨されるのは、うどん、白米、豆腐、卵・乳製品、白いパン、白身魚、鶏肉、じゃがいも、などの消化が良い食事です。
消化に良いものは、見た目が白いものが多いので、「白いものは大体、消化によい」と思っていただいても構いません。
逆に大腸内視鏡検査の前日に禁止のものは、繊維の多い野菜類(ねぎ・ごぼう・セロリ・きゅうり・トマトなど)、豆類、きのこ類、海藻類、そして脂肪分の多い豚バラ肉などの肉類や揚げ物です。
大腸内視鏡検査の前日にお腹がすいたと思って、つい禁止のものを食べてしまったら、どうなるのでしょうか。
検査前日の19時以降や検査当日にコーヒーや牛乳を飲んでしまったら、どうすればいいのでしょうか。
結論から申し上げると、禁止のものをとっただけで検査を延期にする必要はなく、ほとんどのクリニックでは大腸内視鏡検査を行うことができます。
ただし、大腸内視鏡検査の検査当日は、腸がキレイにならないと検査が開始できないため、検査前日に禁止のものを食べたり飲んだりしてしまったら、検査当日の検査開始時間が遅くなり、腸をキレイにするために追加の下剤を飲む必要があります。
どうしても腸がキレイにならずに、午前11時に検査予定だった方が、夕方16時の検査となる、というような事もあります。
いずれにしても、食べたり飲んだりしてしまったものは仕方がないので、前日の下剤や当日の下剤などをクリニックの指示通りにしっかり内服して検査の準備に臨んでください。
大腸内視鏡検査の前日の食事を
コンビニでそろえたい
大腸内視鏡検査の前日の食事をコンビニでそろえたい、という方に向けてコンビニでそろう検査前日食のメニューをご紹介します。
おにぎりは海苔を外せば食べて頂けます。おにぎりの具剤は揚げ物以外ならOKです。
パンは揚げパンや菓子パン以外ならOKです。
サンドイッチはカツサンドは避けてタマゴ、ツナサンド、ハムベーコンなどにしておきましょう。
うどん、そば(具はネギやキノコは不可)
お弁当は野菜や海藻類、キノコを抜いて食べましょう。揚げ物以外なら肉、魚もOKです。
コンビニでとれる間食としては、プリン、ゼリー、ヨーグルト、チーズなどがあります。
これらの食事を検査前日の19時までにとるようにしましょう。
大腸内視鏡の前日の下剤が効きすぎたら?
大腸内視鏡検査では腸をキレイにする必要があるため、当日飲む下剤とは別に、前日内服する下剤を処方しているクリニックが大半です。
前日に内服する下剤として一般的によく使われているのがピコスルファート(ラキソベロン)というお薬です。
このお薬は、非常に排便を促す力が強いので使用頻度が高いのですが、強制的に腸を収縮させて排便させる作用機序のため下剤が効きすぎたら合併症をおこします。
軽い合併症だと、お腹が少し痛くなるくらいですが、虚血性腸炎という病態になることが少なくありません。
虚血性腸炎の症状は左の側腹部から左下腹が痛くなることが多いです。
さらに血便が生じやすいのも虚血性腸炎の特徴です。
もし、このように持続的に続く左側腹部痛、左下腹痛を感じ、血便なども生じるときは、検査当日の腸管洗浄液(モビプレップ、ニフレック、マグコロールPなど)を飲むのをやめて、検査予定だった病院やクリニックに受診しましょう。
また、直腸やS状結腸に大腸癌などがある場合は、ピコスルファートによって腸閉塞がおこることもあります。
腸閉塞の症状は、下剤をいくら飲んでも排便がなく、その一方でどんどんお腹が張っていきます。
腹痛や吐き気を感じることもあります。
先ほどの虚血性腸炎と同様に、腸閉塞の症状が出た時も、速やかにクリニックを受診しましょう。
こういった前日の下剤による虚血性腸炎や腸閉塞の頻度は0.1%(1000人に1人)以下で稀ではありますが、可能性としては存在します。
ちなみに当院では、こういった合併症の可能性があるピコスルファートは使用せずに、前日の下剤としてセンノシドとマグコロールPを採用しています。
先ほど紹介したピコスルファートは液体ですが、センノシドは錠剤です。
センノシドは腸を動かす作用を持つ薬ですが、作用としてはかなりマイルドで、内服して8-10時間後に排便を促す作用があります。
一方、マグコロールPは前日にコップ1杯の水にとかして内服する粉薬です。
腸管洗浄液に分類される下剤で体内には吸収されずに、ゆるやかに腸内を洗浄する効果があり、10-15時間後に排便を促します。
【 まとめ 】
いかがでしたでしょうか。
今回は、大腸内視鏡検査の前日の飲み物や食事、下剤といったテーマでお話しました。
初めての大腸内視鏡検査で不安だった方、前日の準備の仕方が分からなかった方に参考になれば幸いです。
大阪の堺なかむら総合クリニックは女性医師常勤のクリニックで、下剤を飲まずに麻酔で眠ったまま大腸内視鏡検査を受けられる「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」や、麻酔を使った大腸内視鏡検査を行っています。
下剤を飲むのが辛くて、下剤を飲まない大腸内視鏡検査をご希望の方、大阪エリアで麻酔を使った楽な大腸内視鏡検査をご希望の方はお気軽にご相談ください。
「大腸内視鏡検査は工夫次第で楽に受けられる検査なのです。」