肝臓内科とは
肝臓内科では、肝臓の内科的な疾患、つまり急性肝炎やB型肝炎・C型肝炎、脂肪肝、肝硬変、非アルコール性脂肪性肝炎、アルコール性肝障害、自己免疫性肝疾患、胆石症などの診断と治療を行います。
肝臓は、「沈黙の臓器」と呼ばれる通り、非常に我慢強く、障害されても自覚症状が現れにくい傾向があります。
言い換えると、症状が自覚された時には病気がある程度進行している可能性が高くなります。
すでに症状が出ている方だけでなく、健康診断・人間ドックで肝機能の数値の異常を指摘された場合には、お早めに当院にご相談ください。
こんな時には、当院にご相談ください
沈黙の臓器である肝臓の病気の早期発見のため、健康診断・人間ドックの際の血液検査の肝機能の数値にも注目してください。
- 健康診断で肝機能の数値の異常を指摘された
- お酒をよく飲む
- 生活習慣が乱れている
- 倦怠感がある
- 急な体重増加
- 顔色が悪いと指摘された
- 白目や肌が黄色っぽくなった(黄疸)
- 右上腹部の痛み
お酒を良く飲む人、生活習慣の乱れがある人も、肝臓疾患のリスクが高くなります。
また、お酒を全く飲まない人でも、肝臓疾患になることがあります。
肝臓内科で診療する主な疾患
急性肝炎
ウイルス感染、自己免疫の異常、薬の影響などによって起こる急性の肝臓の炎症です。症状としては、発熱や喉の痛み、食欲不振、吐き気、頭痛などが挙げられます。多くは自然治癒しますが、約2%の割合で命の危険のある劇症肝炎へと進行します。
B型肝炎
B型肝炎は、感染者の血液や体液を介してB型肝炎ウイルスに感染することで発症します。B型肝炎ウイルスは感染力が高く、国内の感染者数は100万人以上にのぼります。以前は母子感染が主でしたが、ワクチンの普及などにより現在は性交渉による感染の割合が急増しています。
症状としては、倦怠感や食欲不振が挙げられますが、無症状のケースも少なくありません。
B型肝炎は、抗ウイルス薬による治療が可能です。重度の肝機能障害が見られる場合には、人工透析、肝移植が必要になることもあります。また、慢性肝炎、さらに肝硬変・肝がんへと進行することもあります。
C型肝炎
C型肝炎は、感染者の体液や血液を介してC型肝炎ウイルスに感染することで発症します。国内の感染者数は200万人以上にものぼり、B型肝炎と同様に慢性肝炎、肝硬変・肝がんへと進行するおそれがあります。
症状はほぼなく、健康診断・人間ドックの血液検査をきっかけに見つかるケースが多くなります。
医療の進歩により、抗ウイルス薬の投与で100%に近い確率でウイルスを排除することが可能です。ただし、ウイルス排除後も肝がんを発症する可能性は残りますので、定期的な検査は欠かせません。
脂肪肝
食べ過ぎ・飲み過ぎ、糖尿病や脂質異常症といった生活習慣病、肥満、運動不足などを原因として、肝臓に多くの脂肪が蓄積した状態です。日本人の3~5人に1人に見られる、身近な病気です。
初期にはほとんど無症状ですが、ある程度進行すると倦怠感や疲れやすさ、腹部膨満感、足のむくみ、食欲不振などの症状を引き起こします。
放置していると、慢性肝炎、さらには肝硬変・肝がんへと進行することがあります。
アルコール性肝障害
長年の飲酒、過度の飲酒によって起こる肝臓の障害の総称です。肝臓疾患全体の約10~15%を、このアルコール性肝障害が占めています。
症状に乏しく、疲労感、腹部膨満感、食欲不振などの症状が現れるケースは稀です。
慢性化すると、アルコール性肝炎へと進行します。また、肝硬変・肝がんのリスクも高くなります。
治療では、断酒が必須です。加えて、補助的な薬物療法が必要になります。
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
飲酒の習慣がまったく・ほとんどないのに脂肪肝がある人に発症します。近年、患者数が増加傾向にあります。主に食べ過ぎ、運動不足を原因とし、高血圧・糖尿病・脂質異常症を合併しているケースも少なくありません。
初期にはほぼ無症状ですが、ある程度進行すると倦怠感、腹部膨満感、右上腹部痛、黄疸といった症状を伴うことがあります。
自己免疫性肝疾患
本来であれば外敵から身体を守ってくれるはずの「免疫」に異常が起こり、自身の肝臓を攻撃する病気です。肝細胞を障害する自己免疫性肝炎と、肝臓の細い胆管を障害する原発性胆汁性胆管炎、肝臓の太い胆管を障害する原発性硬化性胆管炎に分けられます。
症状としては倦怠感、食欲不振などが挙げられますが、無症状であるケースも少なくありません。進行すると、肝硬変や肝不全などのリスクが高くなります。
肝硬変
B型肝炎やC型肝炎などを放置したことで、肝細胞が線維化し、肝臓自体も硬くなってしまう病気です。長期にわたる飲酒、脂肪肝、自己免疫疾患が原因になることもあります。
初期には無症状で、ある程度進行すると倦怠感、黄疸、腹水といった症状が現れます。肝硬変になると、肝がん、肝不全のリスクは非常に高くなります。一刻も早くの治療が必要です。
肝がん
肝臓で直接発生する原発性肝がんの原因の約9割を、ウイルス性肝疾患が占めます。またその内、約8割をC型肝炎、1~2割をB型肝炎が占めます。ただ、近年はB型・C型肝炎に対する抗ウイルス薬の開発によりウイルス性肝炎を原因とする肝がんは減少傾向にあります。相対的に増えているのが、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を原因とする肝がんです。
転移性の肝がんの主な原因としては、大腸がんが挙げられます。当院では、鎮静剤を用いた大腸カメラ検査を行っており、大腸がんやその前段階である大腸ポリープの早期発見が可能です。
肝がん自体には特異的な症状がなく、早期発見のためには定期的な検査が欠かせません。
血液検査で肝機能の数値の異常を指摘されたら
健康診断や人間ドックの血液検査で肝機能の異常を指摘された時、「少し飲み過ぎただけだから」「症状がないから」と放置することがいかに危険であるか、お分かりいただけましたでしょうか。
無症状のまま肝炎や脂肪肝、肝硬変、あるいは肝がんになるというのは、十分に起こり得ることです。肝臓の病気の早期発見・早期治療のためには、肝機能の数値に異常があった時に、速やかに肝臓内科などを受診することが大切になります。
再検査や精密検査が必要になった場合には、お早めに当院の肝臓内科にご相談ください。
肝炎ウイルス検査にも対応します
当院では、堺市が執り行う「肝炎ウイルス検査(B型・C型)」に対応しています。
肝炎の放置は、肝硬変・肝がんのリスクを高めます。対象となる方は、無料で肝炎ウイルス検査を受けていただけますので、お気軽にお問い合わせください。
肝炎ウイルス検査の対象となる方
以下の1・2のいずれかに該当する方が対象になります。
- 20歳以上、40歳未満の堺市民の方
- 40歳以上で、他に職場検診などで肝炎ウイルス検査を受ける機会のない堺市民の方
※いずれの場合も、過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがある方は対象外となります。
費用
費用(税込) | |
肝炎ウイルス検査 | 無料 |
検査内容
B型肝炎検査(HBs抗原検査)、C型肝炎検査(HCV抗体検査)を行います。
※C型肝炎検査について、判定によっては追加でHCV抗原検査、HCV核酸増幅検査が必要になることがあります。
検査方法
採取した血液から、肝炎ウイルスに感染しているかどうかを判定します。
検査結果は、採血から数週間後にお知らせします。
※感染してから3ヶ月ほどたたないと陽性にならないことがあります。