吐き気が続く、吐き気があるけど吐かない
食べ過ぎた時、飲み過ぎた時、車酔いをした時などに吐き気を感じた、という経験は誰もがあるのではないかと思います。明らかな原因があり、その原因を取り除けば吐き気がすぐに治まったという場合には、それほど心配する必要はありません。
しかし、なぜか分からないけれど吐き気が続く、一時的な吐き気だが繰り返される、吐き気以外にも症状があるといった場合には注意が必要です。また、実際に吐いてしまうケースだけでなく、吐くには至らないけれど吐き気が続くといったケースも同様です。
いずれかに該当する場合には、お早めに当院にご相談ください。
吐き気の原因は?ストレスとの関係は?
食べ過ぎや飲み過ぎを原因とする場合には通常、消化が進めば解消します。ただし、暴飲暴食によって胃炎を起こしたりすることもあるため、「食べ過ぎ・飲み過ぎが原因だから大丈夫」というものではありません。
胃炎だけでなく、逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、胃・十二指腸潰瘍など、さまざまな疾患が吐き気を引き起こします。
過度なストレスで胃酸過多に
「ストレスによって吐き気をもよおす」という経験をしたことがある方も少なくないのではないかと思います。
ストレスは、自律神経のバランスを乱し、胃酸の分泌を促進します。これに加え、胃の血管の収縮、血流の低下、口腔の渇きを招くことから、吐き気を引き起こすきっかけになることがあります。
胃・十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシアなどは、ストレスを原因の1つとして吐き気などの症状が出る代表的な病気です。
吐き気がある場合に考えられる病気
吐き気がある場合には、以下のような病気の可能性を考える必要があります。
逆流性食道炎
下部食道括約筋の緩みや、食べ過ぎ・刺激物の摂り過ぎによる胃酸過多などを原因として、胃酸が繰り返し逆流し、食道粘膜を傷つけてしまう病気です。
胸やけ、ゲップ、呑酸、吐き気、声枯れ、喉の違和感、食後のお腹の張りなどの症状が見られます。また、前屈みになった時に症状が悪化するという特徴を持ちます。
機能性ディスペプシア
胃カメラ検査などで器質的な異常が認められないにも関わらず、胃もたれ、吐き気、ゲップなどの不快な症状が続く状態です。
主な原因に、ストレスが挙げられます。その他、飲酒、喫煙、コーヒーなどの刺激物の摂り過ぎなども、発症・悪化に影響するものと考えられます。
急性胃炎
暴飲暴食、ストレス、薬の副作用などによって起こる急性の胃炎です。慢性胃炎と異なり、ピロリ菌感染が原因となるケースは稀です。
胃の痛み、吐き気・嘔吐、胸やけ、ゲップなどの症状が見られます。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染、暴飲暴食・刺激物の摂り過ぎ、ストレス、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の長期服用などを原因として、胃や十二指腸粘膜にびらんや潰瘍が形成される病気です。
胃やみぞおちの痛み、吐き気、呑酸、ゲップ、食欲不振、体重減少などの症状を伴います。また病変から出血した場合には、吐血、下血、黒色便、貧血などの症状も現れます。
感染性胃腸炎
ノロウイルスやロタウイルス、病原性大腸菌(O-157など)、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などのウイルス・細菌に感染することによって引き起こされる胃腸炎です。
病原体によって症状は異なりますが、激しい下痢、腹痛、発熱、吐き気・嘔吐などが見られることが多くなります。
腸閉塞
腸管の一部が詰まり、便が送り出せない状態です。吐き気・嘔吐、腹部の張り・痛みなどの症状を伴います。
腸が破裂すると、腹膜炎という危険な状態になるため、早急な治療が必要です。
虫垂炎
みぞおちで発生した痛みが、1日前後をかけて右下腹部へと移動するという特徴的な症状を持ちます。その後、吐き気や嘔吐、微熱などの症状が続きます。
重症化すると、虫垂穿孔を起こし、危険な状態になります。手術が必要になることもあります。
糖尿病性ケトアシドーシス
糖尿病が進行し、血液の酸性度が高くなった状態です。
吐き気、疲労感、意識低下、昏睡などの症状が見られます。糖尿病のある方は、吐き気を感じた時にはすぐに医療機関を受診してください。
良性発作性頭位めまい症
視界がグルグルと回るようなめまい、吐き気を伴う病気です。めまいは短時間ではありますが、頭の位置を動かした時に繰り返されるため、日常生活に支障をきたし、不安感も強くなります。
片頭痛
鋭い光が視界に現れるなどの前兆現象の後、激しい頭痛、吐き気が生じます。
吐き気が強くために薬の内服が困難になり、症状が長引くケースも少なくありません。症状の軽いうちに治療を受けることが大切です。
くも膜下出血
突然の激しい頭痛、吐き気・嘔吐などの症状に見舞われます。
脳静脈瘤破裂などを疑い、ただちに専門医療機関を受診する必要があります。
髄膜炎
ウイルスや細菌の感染、薬品などを原因として、脳・脊髄を包む髄膜に炎症が起こる病気です。
強い頭痛、吐き気、発熱、痙攣などの症状を伴います。重症化し、命が危険にさらされることもあります。
当院で行う吐き気の検査
問診では、症状、最近の食生活、服用中の薬などについてお伺いします。
その上で、食道・胃・十二指腸の病気が疑われる場合など、必要に応じて胃カメラ検査を行います。当院では、経鼻内視鏡、麻酔(鎮静剤)を用いた、楽に受けられる胃カメラ検査をご用意しております。
その他、血液検査、超音波検査などを行うこともあります。
吐き気の治し方・対処法
病気を原因とする場合には、その病気に応じた薬物療法・生活習慣指導を行います。より高度な治療、手術などが必要になった場合には、速やかに提携する病院をご紹介します。
病気ではないけれど食習慣を含む生活習慣に問題があるといった場合には、病気の予防のためにも、その改善のための指導を行います。