大阪府堺市で女医の大腸内視鏡検査なら当院へ
専門医による麻酔の大腸内視鏡検査・胃カメラ
当院は、麻酔を使った痛くない大腸内視鏡検査・胃カメラを行っています。検査・治療は全て消化器病専門医・内視鏡専門医が行います。ご希望の方には女性医師が対応いたします。
麻酔を使った内視鏡検査には下剤を飲まない大腸内視鏡検査、胃カメラ、大腸内視鏡検査の3種類があります。
下剤を飲まない大腸内視鏡検査
ー下剤を飲まずに胃カメラ・大腸内視鏡検査が同時にできるー
従来、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるには腸をきれいにするための下剤を2L程度飲む必要がありました。
「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」では、胃カメラの時に下剤を腸へ直接送ることで下剤なしで腸をきれいにし、大腸内視鏡検査ができます
麻酔を使った痛くない胃カメラ
ー麻酔と超細径胃カメラによる痛くない内視鏡ー
胃カメラでは、胃だけでなく食道や十二指腸を直接観察することが可能です。
従来のバリウム検査では見つけることが困難な微細な病気を見つけることが可能です。
またバリウム検査では不可能な組織検査が胃カメラでは可能であり、さまざまな疾患の早期発見や確定診断に役立ちます。
早期のがんは自覚症状がほとんどありませんが、胃カメラで発見可能です。
通常、胃カメラの先端径は通常10mmですが、当院では先端径約5mmの超細径胃カメラを採用しており、麻酔(鎮静剤)と併用することで患者さんにとって負担の少ない「痛くない胃カメラ」になっています。
ピロリ菌検査・アニサキス症の検査・治療も行っていますのでお気軽にご相談ください。
がんリスクが上がる40歳になったら症状が現れる前に、一度カメラ検査を受けましょう。
主な症状
- 胸焼け・腹痛・吐き気が続く
- 胸がつかえる感じがする
- バリウム検査で異常が出た方
- 体重が減ってきた、増えてきた
麻酔を使った痛くない大腸内視鏡検査
ー麻酔と超細径大腸カメラによる痛くない内視鏡ー
大腸内視鏡検査は、大腸がんの発見と予防の双方において非常に重要な検査です。
便潜血反応が陽性の方はもちろん、陰性の方にも早期大腸がんが見つかることも少なくなく、誰もが40歳を過ぎたら一度はすべき検査です。
内容は、下剤で大腸をきれいにした後、内視鏡を肛門より挿入し、全大腸において、ポリープ・腫瘍・炎症・その他異常がないかを直接観察する検査です。
検査時間は検査目的や見つかったポリープの数や大きさにより異なりますが、10~30分程度です。
通常、大腸カメラの先端径は通常約13mmですが、当院では先端径約9mmの超 細径大腸カメラを採用しており、麻酔と併用することで患者さんにとって負担の少ない 「痛くない大腸内視鏡検査」になっています。
主な症状
- 便秘・下痢が続いている
- 便潜血検査で陽性反応が出た
- 痔を患った方
- 体重が減ってきた、増えてきた
麻酔(鎮静剤)を使った内視鏡
当院では、患者様のご要望に応じ、麻酔(鎮静剤)を使った検査、麻酔を使わない検査の両方に対応しています。
麻酔(鎮静剤)あり
麻酔(鎮静剤)を使った場合、自然に眠ったまま、検査を受けることができます。気づいたら終わっていた、とのお声をよく頂きます。
当院では今まで鎮静剤を使って入院を要する呼吸抑制などを経験したことはありませんが、安全性には十分配慮して検査を行っています。
麻酔(鎮静剤)を使用した場合、当日ご自身での車/バイク/自転車等の運転はできません。
電車の場合、当院は深井駅から徒歩10分のアクセスとなっています。お車でご来院される場合は、必ずご家族などに運転頂くようお願いいたします。
麻酔(鎮静剤)なし
麻酔(鎮静剤)を使わない場合、ご自身でお車を運転して来院が可能です。当院は18台分の駐車場を併設しています。
お車の場合、 当院は堺ICから車で5分のアクセスとなっています。当院では胃カメラ・大腸カメラともに超細径のカメラを採用しているため、麻酔なしでも比較的楽に検査を受けて頂けます。
ただし、やせ型の方や、以前検査で痛みがあった方、お腹の手術歴がある方、初めての検査で不安がある方、などは麻酔を使った検査をおススメします。
女性医師による大腸内視鏡検査
中村診療所・内視鏡内科は、常勤の女医が在籍しているクリニックです。
大腸内視鏡検査や胃カメラ検査を受けられる女性の患者さまで男性医師に検査をされるのは抵抗があるという方や女性医師の担当をご希望の方は、ご予約の際に遠慮なくお申し付けください。
若い女性の方でも安心して検査を受けて頂けます。
女性医師による女性のための内視鏡
女性医師による検査・個室専用トイレ
女性のがんによる死亡原因の1位は大腸がんということをご存知でしょうか。さらに、近年、女性の大腸がんは増加傾向にあります。
大腸がんの早期発見のためには大腸内視鏡検査が不可欠ですが、羞恥心が検査受診のハードルとなっているのが現状です。
そのため、中村診療所・内視鏡内科では、ご希望の患者さまには女性医師が検査を担当させて頂きます。トイレは全て個室になっており、検査中は検査の患者様専用となっておりますのでご安心ください。
女性医師をご希望の方は、ご予約の際に遠慮なくお申し付けください。生理中でも問題なく検査ができます。当院では使い捨ての検査着を用意しています。生理用品を着用しての大腸内視鏡検査も可能ですので遠慮なくスタッフにお伝え下さい。
なお、妊娠中の女性の内視鏡検査は、母子への刺激となるため当院では控えさせて頂いております。病気の疑いがあり、内視鏡検査が必要な場合には、産婦人科と消化器内科の両方の医師が勤務する総合病院に紹介させて頂きます。
一方、授乳中の方の内視鏡検査は可能です。ただし、麻酔(鎮静剤)や腸の動きを抑える鎮痙剤が乳児に影響を及ぼす可能性があるため、検査後1日程度の授乳の中止をしていただいております。
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内視鏡検査の費用と予約方法
下剤を飲まない大腸内視鏡検査
胃カメラ+大腸内視鏡検査の費用 | 1割負担 | 3割負担 |
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約5,000~12,000円 | 約15,000~39,000円※1 |
痛くない麻酔の胃カメラ
1割負担 | 3割負担 | |
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胃カメラのみ | 約2,000円 | 約6,000円 |
胃カメラ+病理検査 | 約3,000~4,000円 | 約10,000円 |
胃カメラ+胃ポリープ切除 | 約6,000円 | 約16,000~22,000円※2 |
痛くない麻酔大腸カメラ
1割負担 | 3割負担 | |
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大腸内視鏡検査のみ | 約2,500円 | 約7,500円 |
大腸内視鏡検査+病理検査 | 約3,000~5,000円 | 約10,000~16,000円※1 |
大腸内視鏡検査+大腸ポリープ切除 | 約7,000~10,000円 | 約20,000~29,000円※2,3 |
※1 病理検査をした部位の数により費用が変わります。当院では「内視鏡を使った下剤注入法」に関する費用は一切頂きませんのでご安心下さい。
※2 ポリープ切除をした部分の数と大きさにより費用が変わります。
※3 令和4年4月の診療報酬改定に伴い、当院では大腸ポリープ切除手術をより安全に行えるよう、短期滞在手術等基本料1の施設基準を近畿厚生局より正式に認定されました。令和5年4月1日より短期滞在手術等基本料1(2718点 1割:2,718円、3割:8,154円)が算定されます。
当院では【お支払いは全て現金】でお願いしております。クレジットカード対応はしておりません。ご理解の程よろしくお願いいたします。
■当院では患者様の全身状態を把握するために、内視鏡予約の患者様も、まずは診察予約をお願いしております。以下のボタンより診察のWEB予約をお願い致します。
診察予約はこちら
女性医師の便秘外来・下痢外来
ー便秘や下痢の悩みに女性医師が対応ー
妊娠・出産・産後やダイエットなどの影響で便秘や下痢・痔にかかりやすい女性の悩みに女性医師が対応します。また、若い女性がかかりやすい潰瘍性大腸炎やクローン病といった消化管の病気の相談にも対応します。
中村診療所・内視鏡内科の医師は難病指定医です。若い女性で「血便がある」「便に血が混じる」「腹痛がある」「大腸がんが気になる」「便秘がある」「下痢がある」などあればお気軽にご相談ください。
膵癌・肝癌予防の腹部エコー
膵臓癌は「癌の王様」ともよばれ、極めて悪性度の高い癌種です。日本でも年間死亡者数は3万人以上におよび、増加しつづけています。
膵癌の5年生存率(見つかってから5年の間、生きられる確率)は6%程度と極めて悪いですが、早期診断して早期切除できれば5年生存率が15%まで上昇することが知られています。
家族の方に癌がいる、検診で引っかかったなど、少しでも気になればお気軽にご相談ください。
腹部エコーによる膵癌・肝癌の早期発見
腹部超音波検査(腹部エコー)では、膵癌だけでなく、肝癌、胆嚢癌、胆管癌などを一度にチェックできます。
さらに腫瘍性病変だけでなく、胆石症や脂肪肝、肝硬変、慢性膵炎、腎結石、尿管結石などの良性疾患も診断できます。
当院では、超音波検査でお腹を見せるのが恥ずかしい、という女性の患者様には女性医師が対応させて頂きますので、恥ずかしさから受診を躊躇している方でも安心です。
消化器領域を専門としている医師が検査を担当させて頂きます。検査をご希望の方は、医師の診察の上で超音波検査を行いますので、まずは下記より診察予約をお願い致します。
診察予約はこちらから
Q&A よく頂くご質問
お支払い(クレジットカード対応について)
検査費用や診察費用としてクレジットカード支払いは可能ですか?
現在、当院ではクレジットカード決済対応はいたしておりません。大変申し訳ないのですが、現金のみのお支払いとなりますのでご準備のほど何卒宜しくお願い致します。
内視鏡検査について
内視鏡検査にはどのくらい時間がかかりますか?
通常、胃カメラの場合は、内視鏡での観察に5分程度かかります。 その前にのどの麻酔などの前処置があります。
検査後10~15分程度お休みの後、結果の説明も当日わかる範囲でおこないます。
鎮静剤を使用した場合には、検査後30分程度お休みいただいた後に、ご説明します。
大腸内視鏡検査は、検査時間としては通常15~30分程度かかるとお考えください。
挿入が困難な方やポリープ切除など処置の多い方では、それ以上時間がかかることもあります。
検査後は30分程度お休みの後、ご説明をいたします。
内視鏡検査をうけて、病気が感染したり、事故が起きたりすることはありますか。
当院は『消化器内視鏡機器洗浄・消毒法ガイドライン』に準拠した方法で洗浄消毒を行っておりますので、一般細菌やウイルスなどが感染することはまずないと考えてよいです。
偶発症についても細心の注意をして検査を行っていますが、内視鏡検査に使用する薬のアレルギーによる危険、内視鏡を挿入することに伴い消化管を損傷する危険、組織を採取する生検による出血などの危険、さらには、内視鏡でおこなう治療処置に伴う穿孔や出血などの危険があり、避けがたい場合があります。
最新の日本消化器内視鏡学会の偶発症の報告では、全体で見ると、内視鏡検査による死亡率は0.00084%、出血などの偶発症の頻度は0.018%、と報告されています。
鎮静剤(麻酔)は安全ですか?副作用はないですか?
当院では、古くから内視鏡の検査や手術で使用されている安全な鎮静剤(ミダゾラム・ペチジン)を使用しています。
鎮静剤を用いた検査の注意点は、呼吸が弱くなってしまう事や、血圧が下がってしまう事です。
当院で使用する鎮静剤の量は必要最低限の量のため比較的安全で、「意識下鎮静法」とよばれるものです。
意識下鎮静法は鎮静剤や鎮痛剤による静脈麻酔で熟睡するため、知らないうちに内視鏡検査が終わります。
しかし、全身麻酔ではないので呼びかければ目を覚まし、「あれ、もう終わったんですか?全然わかりませんでした。」と患者様はおっしゃいます。
患者さん個々の状況に合わせて、適切な麻酔量を使用し、検査中は呼吸状態などを常に観察することで、安全に検査を行います。
検査後は、30分程度院内でゆっくりしていただきますが、それでも眠気が生じることもありますので、検査後はお車の運転はできません。
内視鏡検査はどのくらいの頻度で受けるのが良いでしょうか?
患者さんの状況(飲酒や喫煙、家族歴など)、ピロリ菌感染の既往や大腸ポリープの有無などによって大きく変わります。がんの発育速度は臓器によって異なります。
一般的な胃がんは発生してから約2年、大腸がんでは発生してから約5年で進行がんに移行していくと言われています。
しかし、胃がんや大腸がんの中にも、進行の速いものが存在するため、胃カメラは1年毎、大腸カメラは最低でも3年毎に行うのが適当と思います。
大腸ポリープの種類や数によっては毎年検査を行った方が良いと思われる患者さんもいらっしゃいますので、当院に遠慮なくご相談ください。
胃カメラについてのQ&A
以前に胃カメラを受けて辛かったのですが、うまく検査を受けられるでしょうか?
胃の検査における苦痛の中で、内視鏡が喉の奥から食道に入るときのスコープを押し出そうとする嘔吐反射が最も辛いといわれる方が多いです。
当院では、嘔吐反射を抑え、検査に対する苦痛を軽減するため、外径約5mmの細径スコープ(通常約10mm)を用いて、ご希望に応じて鼻からもしくは口から検査を行っております。
また希望される方には、胃内視鏡検査の前処置に少し眠たくなる静脈注射をしてほとんど眠った状態で内視鏡検査を行うことも可能です。(胃カメラをしたことも覚えていない方もいらっしゃいます。)
胃カメラを受けないとダメでしょうか?バリウムの検査ではダメでしょうか?
「バリウムと胃カメラ、どちらがいいのでしょうか?」「バリウム検診を会社でやっているのですが、胃カメラは必要でしょうか?」といった質問をよく受ける事があります。
イメージとしては苦痛の点で胃カメラの方がバリウム検査よりも大きいと感じたり、検診の中に含まれているからバリウムの検査受ける方が多いように思います。
しかし、消化器を専門とする医師に、自分が受けるとしたらバリウム検査と胃カメラ検査のどちらを受けたいか?と聞いた場合、ほとんどの医師は「胃カメラ検査」と答えます。
理由は胃がんにおける「死亡率」は内視鏡検査の方が低いというデータがあります。
バリウムの検査では内視鏡検査と比べて早期がんの発見率が低く、見つかっても進行がんが多いという事になり、検診の目的である「がんによる死亡者を少なくする」という点では内視鏡検査の方が有用であると考えられます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)についてのQ&A
大腸がんの検診は便潜血だけで大丈夫でしょうか?
便潜血検査(2日法)は便中の出血の有無をみる検査で、大腸がんに対する感度(がんがある場合に陽性になる確率)は80%程度です が、簡便・低コストなこともあり、一般の検診において多く普及しています。
しかし、早期がんやポリープ(腺腫)に対しては感度が低く(10%~50%と研究によってばらつきがあります)、便潜血が陰性でも、内視鏡検査でポリープや早期がんが発見されることが多くあります。
一方、2年毎に大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けるようにすることで、いずれの病変も早期発見・治療ができる可能性が高いと考えられており、当院でも定期的な内視鏡検査を推奨しております。
最低限、便潜血検査で陽性になった場合には、必ず大腸の精密検査(大腸内視鏡検査(大腸カメラ))を受ける様にしてください。
大腸検査が辛いと聞いたんですが、大丈夫でしょうか?
大腸内視鏡検査はつらい、という声を耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。一般に大腸内視鏡検査のつらさは、以下が挙げられます。
1、2Lという大量の下剤を飲まないといけない
2、大腸カメラを腸に入れることで痛みやお腹の張りを伴うことがある
3、おしりを見られるので恥ずかしい
の大きく3つがあると思います。
当院では、この3つについてそれぞれ以下のような工夫を行うことで、幸いにして「検査がつらかった」との声はほとんど聞いておりません。
まず、1に対しては、「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」を導入し、下剤を飲まずに 大腸内視鏡検査が受けられる体制を整えました。
当院は「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」を大阪で初めて本格導入したクリニックです。
2に対しては、麻酔(鎮静剤)を使った内視鏡体制を整えました。
また、一般にカメラ(内視鏡)は細ければ細いほど腸への負担は軽く痛みも出にくいとされますが、当院の大腸内視鏡検査は約9mm(外径約13mm)と従来のものより30%以上も細いカメラを導入しています。
さらに、空気を入れて検査する代わりに、空気よりも約200倍体内に吸収されるのが早い二酸化炭素を使用することで検査中、検査後のお腹の張りを防いでいます。
最後に3に対してですが、当院では内視鏡の画面を見ながら直接腸へカメラを入れるため、おしりを見ることはないのでご安心ください。
また、女性の方で気になる方は、女性医師が対応しますので、お申し出ください。
痛くない挿入法「水浸法」を使った大腸内視鏡検査とは何でしょうか?
大腸内視鏡検査は技術レベルの比較的高い手技で、検査医により技量の差が出る検査です。
残念ながら、不慣れな医師に検査を受けると痛みが出るのが現状です。
「水浸法」とは、痛みを出さずに大腸内視鏡を挿入する方法です。大腸内視鏡から水を注入しながら大腸の奥へと内視鏡を進めていく方法です。
水浸法では、なぜ痛くないのでしょうか。この方法では、空気を注入する代わりに、約100mlの少量の水を大腸に注入します。透明な水を大腸に注入し、進むべき方向をわかりやすくします。
注入された水によって、大腸と大腸内視鏡との摩擦や抵抗は低くなります。すなわち、大腸内視鏡は滑りやすくなります。このため大腸内視鏡は大腸を伸ばすことなく、スルスルと終点(盲腸)まで到達します。
外科や婦人科などの術後や、大腸憩室(けいしつ)などで癒着したり、硬くなったりした、挿入の難しい大腸にも有効な挿入法です。水浸法による大腸内視鏡は、痛みを感じることが少ないために、麻酔(鎮静剤)なしで行われることもあります。
ポリープ切除後に生活で注意することはありますか?
内視鏡治療の術後合併症として切除した部分から出血したり、穿孔といって腸に穴があいたりすることがあります。
実際には外来での処置では、少量の出血を認めることはありますが、穿孔することはほとんどありません。
ただし、ポリープの形状・大きさによっては、合併症を予防するために、ポリープ切除後およそ1週間はアルコールや腹圧のかかる運動は避けていただく場合があります。
胃カメラの楽な姿勢とは?
少しでも患者様に楽に検査を受けていただけるよう、胃カメラの楽な姿勢についてお伝えいたします。
1.胃カメラの楽な姿勢とは?
大阪の中村診療所・内視鏡内科では胃カメラを入れる前に、まず、患者さんの姿勢を整えることにこだわっています。
「前回の検査はとても大変だった」という患者さんには共通した姿勢があります。
患者さんは検査のときに力を入れてしまい、無意識に身構えてしまいがちです。
力が入ると誰でも下あごを自然と引いてしまうものです。
しかし下あごを引いてしまうと、胃カメラが咽頭で強いカーブを描くように入ることになり、しんどくなってしまうのです。
中村診療所・内視鏡内科では看護師さんにも協力してもらって、患者さんに下あごを突き出すような姿勢を保ってもらうよう説明してもらいます。
そして胃カメラを挿入する直前に、同じ内容を再度医師から説明させて頂いております。
さらに、患者さんにとって一番の難関となるのは、胃カメラがのどを越えるときの「えづき」です。
このえづきは咽喉頭反射(いんこうとうはんしゃ)とも呼ばれます。
実はこのえづきは、胃カメラが喉頭蓋(こうとうがい)という、のどの突起物に触れることで発生します。
この喉頭蓋(こうとうがい)に触れないようにするために、患者さんに下あごを突き出した姿勢をお願いしています。
さらに、中村診療所・内視鏡内科では胃カメラを挿入する際に、咽頭後壁(のどの裏側)にそわせるようにしてやさしく画面を見ながらカメラを挿入することで、限りなくこの「えづき」がおこることなく胃カメラを入れていくことができます。
2. 全身麻酔(静脈麻酔)を使った胃カメラって楽?
当院では、麻酔(鎮静剤)を使った胃カメラを行っています。麻酔(鎮静剤)をつかって胃カメラをすると、痛みや苦痛なく、楽に検査を受けることができます。
多くの方が誤解されるのですが、厳密にいうとこの麻酔は「全身麻酔」ではなく、「静脈麻酔」という呼び方になります。
一般に、医療界では、全身麻酔という言葉は、手術室やICUなどで人工呼吸器を使って麻酔を行うことを指します。
静脈麻酔は、人工呼吸器は使わず、酸素モニターなどをつけて安全を確かめながら行う麻酔です。
静脈麻酔では、全身麻酔に使う麻酔と使うお薬の種類が違っていたり、麻酔の量も静脈麻酔の方が全身麻酔より格段に少ないです。
しかし、静脈麻酔でも効果は十分です。
静脈麻酔を行うには腕から点滴をとって、その点滴から麻酔のお薬を投与します。
大体、投与から数分以内には意識がなくなり、気づいた時には「〇〇さん、終わりましたよ」という声で目が覚めます。
検査中の意識がないので、当然、しんどいえづきや反射といった苦痛も感じずにすみます。
ほとんどの方は「え、もう終わったの?」とおっしゃります。検査を受けたこと自体を忘れる方もいます。
特にあまり胃カメラを受けたことのない方は、この麻酔を使った胃カメラを強くおススメします。
麻酔を使用するメリットについて説明します。
1つ目は 苦痛を感じず楽に検査が受けられるということです。
眠ったような意識のレベルで検査を受けることが出来るため、胃カメラの吐きそうな感覚や大腸カメラの痛みのような苦痛はほぼ感じることなく検査を受けることができます。
2つ目は見逃しのないきちんとした検査を受けられることがあげられます。
患者さんが苦しくないことで、検査医もあわてる必要がなくなります。時間をかけてより小さな病変も見逃さないように丁寧な検査を進めることが可能です。
次に、麻酔を使用するデメリットですが、検査後すぐに帰宅する事ができません。
胃カメラの検査自体は、10分から15分で終わります。麻酔を使った場合、検査が終わった直後は麻酔の影響で眠気が残ったりふらついたりするので、30分ほど院内で休憩して頂きます。
ただし、麻酔(鎮静剤)を使った胃カメラを希望される方は、ご自身で車を運転することができないのでご注意ください。
麻酔を使った検査をご希望の方はご家族の方に送迎してもらうか、公共交通機関でのご来院をお願い致します。
ちなみに麻酔(鎮静剤)を使わない場合は、ご自身で車を運転してのご来院が可能です。当院にはクリニック併設の18台の駐車場を完備しているのでご安心くだ
3.細い胃カメラを使うと楽!
おかげさまで、大阪の中村診療所・内視鏡内科の胃カメラは楽と言って頂けるのですが、そのもう一つの理由は細いカメラを使っていることです。
一般的に使われている胃カメラは太さが10mm程度のものが一般的ですが、当院では太さが5mm程度の細径カメラを採用しており、従来のものの半分程度の細さです。
それによって、口からだけでなく、鼻から胃カメラを入れることもできます。さらにのどを通る時の違和感、検査中の違和感など、全てが通常の胃カメラより楽になり、患者さんの負担を減らしています。
さらに、患者さんに力を抜いてもらうことも非常に大切なので、中村診療所・内視鏡内科では声かけも意識しています。
患者さんに力をぬいてくださいとお伝えしても、胃カメラを入れた状態では無意識のうちに力が入ってしまうものです。
すなわち胃カメラ中にいかに力を抜いて頂くかが重要になります。
中村診療所・内視鏡内科の工夫としては、患者さんが力を抜きやすくなるように、「鼻から息を吸って、口からため息をつくように息を吐き出してくださいね」とやさしく声かけをさせて頂いています。
また、患者さんは胃カメラ中に顔をあお向きに上げてしまいがちですが、顔を上に向けると唾液が気管に入りむせやすくなるため、左ほほを枕にべったりつけた姿勢を保つことも大切です。
胃カメラは鼻からと口から、どっちが楽?
1. 胃カメラは鼻から?口から?楽なのはどっち?違いは?
皆さんは胃カメラには「鼻から入れる胃カメラ」と「口から入れる胃カメラ」の2種類があるのをご存知でしょうか。
この「鼻から入れる胃カメラ」をことを私たちは「経鼻内視鏡(けいびないしきょう)」、「口から入れる胃カメラ」のことを「経口内視鏡(けいこうないしきょう)」と呼んでいます。
経鼻内視鏡は直径5mmという鉛筆よりも細いそのカメラの細さのため検査の苦痛が少なく、近年非常に広まってきています。
経鼻内視鏡は、鼻からカメラが入っていくので、のどの奥の「おえっ」となる咽頭反射をおこす部分に触れることなくカメラが入っていけるのです。
経鼻内視鏡は鼻から胃カメラを入れる点で、口から入れる従来の経口内視鏡と大きな違いがあります。
まずはカメラの太さについてです。
経鼻内視鏡の直径は約5mmであり、通常径の経口内視鏡の直径約10mmと比較して約半分の細さとなります。
現在、この経鼻内視鏡はオリンパス社、フジフイルム社、ペンタックス社の3社から発売されています。
この半分の細さの経鼻内視鏡でも、経口内視鏡と同様にCCDカメラ、ライトガイド、送気孔、吸引孔を有しており、内視鏡観察において同等の性能です。
以前の経鼻内視鏡は、左右アングルが無いものであったり、ライトガイドが1つしかなかったり、多くの問題がありました。
また、経口内視鏡に比べて画質が劣るのが欠点でした。
しかし、技術の進歩とともに近年の経鼻内視鏡は改良がすすみ、経口内視鏡と同等の性能となり画質も全く遜色ないようになってきています。
2.鼻からの胃カメラは、口からの胃カメラに劣る点はあるの?
内視鏡の基本性能は経口内視鏡と同等ですが、個々のスペックは経口内視鏡に比べやや劣る点もあります。
通常の胃などの観察をする際には特に大きな差は感じませんが、内視鏡手術の場合は経鼻内視鏡では処置具を通す鉗子孔などが小さく手術用処置具の通過が難しく使用しないのが一般的です。
また、経口内視鏡の一部の機種には光学100倍ズームができる拡大観察機能がついたものがありますが、経鼻内視鏡には拡大観察機能がついていないのが一般的です。
拡大観察機能がついていると微小な血管や表面の構造を観察することができ、早期がんの精密精査に有用です。
しかし、拡大観察機能がついている胃カメラは概して太いことが多いのが欠点です。
そのため、大阪の中村診療所・内視鏡内科では、スクリーニングの内視鏡検査は「麻酔を使って楽な経鼻内視鏡」で検査を行い、そこで異常があった場合は「拡大観察機能の内視鏡」を麻酔を使って行っています。
そうすることで、楽に、かつ精度の高い検査を可能にしています。
3.鼻からの胃カメラの方が喉の病気を見つけやすい!
実は経鼻内視鏡には経口内視鏡にはないメリットがあります。
それは、「のどの病気を観察しやすい」ことです。
「のど」は医学用語で言うと、咽頭(いんとう)や喉頭(こうとう)と言います。
簡単に説明すると、咽頭は食事の通り道、喉頭は息をする空気の通り道と考えて頂いて結構です。
咽頭は細かく分類すると上咽頭・中咽頭・下咽頭の3つの部位に分かれます。
経鼻内視鏡は、鼻からカメラを挿入するので上咽頭・中咽頭・下咽頭の全てを観察できるのに対し、経口内視鏡は中咽頭・下咽頭の2か所しか観察できません。
さらに鼻から内視鏡を入れる方が喉の奥に接触しないので「おえっ」という咽頭反射が起こりにくいのと、内視鏡自体が直径5mmと細くのどの壁に触れにくいので、のどの観察は経鼻内視鏡の方が見やすいことが多いのです。
4.胃カメラが絶対無理な人は「麻酔で鼻から」がおススメ!
胃カメラなんて絶対無理だ!嘔吐反射が強く出て検査できない!と思っている方は、鼻からの胃カメラ(経鼻内視鏡)がおススメです。
経口内視鏡(口から胃カメラ)に比べて経鼻内視鏡(鼻から胃カメラ)は、内視鏡本体が舌の根元に接触しないために嘔吐反射が少なくすみ、カメラの径が細いため検査中も比較的スコープを気にせずにすみます。
検査中の身体への負担に関しては経口内視鏡はカメラの径が太い分、検査中に心拍数が高くなったり、血圧が上がることが多いので身体への負担は増加する傾向にあります。
その点、経鼻内視鏡は検査中も心拍数や血圧もそれほど変わらないため、体への負担も少なくて済みます。
身体に酸素を取り込めている指標である酸素飽和度は、経鼻内視鏡では口で呼吸が可能なために著変ありませんが、経口内視鏡では口がふさがれてしまうため鼻で呼吸することになり、経鼻よりも酸素飽和度が低下する傾向にあります。
つまり、経鼻内視鏡の方が経口内視鏡より楽で身体への負担も少ないといえます。
それでもやっぱり不安な方は、経鼻内視鏡に加えて、麻酔(鎮静剤)を使って胃カメラを受けると、眠ったまま検査を終えることができます。
実際に当院、大阪の中村診療所・内視鏡内科でも、「胃カメラは絶対無理」という方でも、鎮静剤を使って鼻から胃カメラを行い、100%問題なく完遂できています。
ほとんどの方は「もう、終わったんですか?」とびっくりされるので、胃カメラが絶対無理、と思っている方でも、お気軽にご相談ください。
5.大阪の中村診療所・内視鏡内科の経鼻内視鏡が楽な理由①「右手は添えるだけ」
鼻から入れる胃カメラのことを経鼻内視鏡(けいびないしきょう)といいます。
経鼻内視鏡は一般に、鼻から先端5mm程度の細径内視鏡を挿入することをいいます。
経鼻内視鏡は一般的には経口内視鏡よりも楽だとされますが、中村診療所・内視鏡内科では、さらにいくつかのポイントにこだわることで、さらに楽で質の高い検査を追求しています。
鼻から内視鏡を入れるときに一番注意すべきなのは、鼻腔内は非常にデリケートな部分だということを理解することです。
すこしこすれたりするだけで簡単に鼻血がおきます。
鼻血はなかなか止まらない方もおり、抗血栓薬を飲んでいる方は経鼻内視鏡を控えている施設もあるほどです。
患者さんが鼻血が出てつらいのはもちろんですが、鼻出血が咽頭・食道・胃に垂れ込んで内視鏡観察を阻害し、癌のスクリーニングという意味でも患者さんに不利益が出ます。
中村診療所・内視鏡内科では、絶対に鼻出血を起こさないように、内視鏡に加える力を極限まで0に近づけています。
内視鏡は主に右手で出し入れしているのですが、その右手を「添えるだけ」にすることを意識しています。
右手は文字通り添えるだけで、わずかに内視鏡を前後する動作だけに集中し、あとは左手による管腔とスコープの軸合わせだけで内視鏡をすすめていきます。
鼻腔と内視鏡の摩擦で進まない時だけ、わずかに送水したりして内視鏡を進めるようにしています。
6. ②「アングルをかけすぎない」
これは経鼻内視鏡に限らないことですが、一般に内視鏡検査というものは、胃であれ腸であれ、くねくねの柔らかい臓器の中を進んでいく検査になります。
「くねくね」ということは、言い換えると「屈曲」が多いということになります。
この屈曲をこえるために、内視鏡には「アングル」という機能がついており、左手のダイヤルを回すことで内視鏡先端を上下左右に自由に動かせるような仕組みになっています。
この便利な「アングル」機能ですが、患者さんに負担の少ない「やさしい」内視鏡をするためには、アングルを必要以上に強くかけすぎない方が良いのです。
つまり、あまりアングルをかけすぎると内視鏡の曲がりが強くなり、患者さんが苦痛を感じてしまうのです。
さて、一般的に内視鏡においては屈曲を前にしたとき、屈曲に近づけば近づくほど、強くアングルをかけないと屈曲を超えづらくなります。
これは、車の運転などと同様の理屈です。
そのため屈曲が見えれば、近づくのではなく、まずは遠めで屈曲をとらえて、そこから徐々にアングルをかけていくのが正しいアングルの使い方といえます。
近くでアングルをかけると、アングルが強くなるだけでなく、内視鏡のPush操作のエネルギーが前方に伝わりづらくなる、全体像がとらえられなくなる、などのデメリットもあります。
ちなみに、初めに鼻腔内へ挿入するときは、鼻毛があって視野がとりづらくなりますが、ここで私はアングルをかけずにカメラを直線にした状態で、内視鏡画面を見ずに直接内視鏡の先端を見ながら挿入するようにしています。
ここでもやはり、アングルをかけすぎないことを原則として考えています。
7. ③「レンズを汚さない」
経鼻内視鏡は、先端径が約5mmの超細径内視鏡です。
しかし、レンズの大きさは従来の胃カメラとそれほど変わりませんし、鉗子チャネルの口径も2mmほどで従来の胃カメラよりわずかに細い程度です。
つまり、通常の胃カメラと比べると内視鏡の辺縁とレンズ面との距離が近いといえます。
この距離が近いとレンズ面が汚染されやすいのです。
また、送水力や吸引力も弱いため、汚れたレンズを洗浄しにくくなります。
中村診療所・内視鏡内科では、経鼻内視鏡検査の時は、粘調度の高い唾液などを無理に吸引しようとせず、なるべく触れないように観察しています。
もし、触れてしまった場合でも、粘膜に近接してガスコン水(洗浄液)を流すことで画面をクリアにします。
常にレンズをきれいに保つことで、高い精度の内視鏡検査を行うことができるのです。
8. ④「無理をしない」
経鼻内視鏡の第一選択となるルートは、中鼻甲介ルートです。
スティック法を用いて麻酔した際に鼻の通りのよかった方の鼻を選択します。
選んだ方の鼻の中鼻甲介ルート→下鼻甲介ルート(中鼻甲介ルートの下の側道)、それが難しければ反対側の鼻の中鼻甲介ルート→下鼻甲介ルート→経口ルートという風に選択します。
私の経験では、対側の鼻もしくは経口ルートを選択せざるをえない患者さんはほとんどいませんが、本当に鼻が狭い方も一定数いるので、無理をせずに柔軟にルートを変えていくのが重要です。
9. ⑤「空気を抜く」
経鼻内視鏡は細い分、通常の胃カメラと比べてコシがなく、たわみやすいといえます。
内視鏡がたわんでしまうと、その分、胃を圧迫して患者さんは苦しくなってしまいます。
では、経鼻内視鏡でたわまずに挿入するためにはどうすればよいのでしょうか。
たわまずに挿入するコツは胃の中の空気量を減らすことです。
具体的には、食道を過ぎて胃の中に入ったら、まず胃内を脱気します。
そして、内視鏡の先端を前庭部方面(十二指腸の方向)に向けて、行先が分かる程度の最小限の送気をします。
10. ⑥「呼吸を使う」
胃角部大弯(胃の中央部)に内視鏡の先端が達したら、息を吐いてもらい(呼気)、胃が平たくなっている状態で幽門輪(胃の出口方面)にすすむと内視鏡がたわまずに幽門輪に到達できます。
経鼻内視鏡は細いため幽門輪の突破は容易ですが、上記のように胃内を丁寧に進めないと、十二指腸で内視鏡の長さが足りなくなることがあるので要注意です。
内視鏡は一般に、十二指腸に到達した後に、たわんだ内視鏡を短縮する「ストレッチ操作」というのを行います。
このストレッチ操作が気持ち悪いと感じる患者さんもおられますが、ここでも息を吐いてもらう(呼気)ことで気持ち悪さを感じずに内視鏡検査を行うことが可能になります。
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受けるメリットは?
1.胃カメラと大腸カメラを同時に受けるメリットとは?
胃カメラと大腸カメラを同時に受けるメリットは、手軽さと時間短縮、身体への負担軽減です。
胃カメラと大腸カメラをそれぞれ個別に受ける場合は、当然ですが、外来の受診回数も増える上に、検査を受ける日も2日に増えます。
検査の前後には食事制限があったりしますし、麻酔を使った場合は検査後も少しぼーっとするということがあるので、実際に検査を受けている以外の時間もあります。
それが1回で済むのと、2回しなければならないのとでは、やはり負担が違いますよね。
また、麻酔を使って胃カメラと大腸カメラを同時に受ける場合は、1回の麻酔で両方の検査ができるので使用する麻酔の総量を減らせるというメリットもあります。
ちなみに胃カメラと大腸カメラを同時に受診する場合は、どっちが先なのでしょうか。
その前に、まず事前の準備について説明します。
一般的な方法では、胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受ける場合でもまず通常の大腸内視鏡検査の前処置と同じようにモビプレップやマグコロールP、ニフレックといった下剤(腸管洗浄液)を飲んで腸をきれいにします。
家で腸の中の便を外に出して腸の中をきれいに空っぽにした後に病院やクリニックにいきます。
胃カメラと大腸内視鏡検査を両方麻酔で受けたいという方はクリニックについた後に麻酔用の点滴をとります。内視鏡で使う麻酔は「静脈麻酔」という麻酔です。
ではいよいよ検査の説明です。
検査の準備ができると検査室に案内されます。検査の順番ですが、一般的には大腸内視鏡検査を先に行う施設が多いと思われます。
その理由ですが、検査の時には腸や胃の中をしっかり見るために、ある程度、空気や二酸化炭素を入れて腸や胃を膨らませて観察します。もし胃カメラを先に、つまり胃を先に観察すると、胃を観察するために入れた空気が腸の方に流れてしまうのです。
大腸内視鏡検査は、おしりから内視鏡(大腸カメラ)をいれて盲腸という小腸と大腸のつなぎめの一番奥の大腸まで挿入して観察します。この時に胃に入った空気が大腸の方に流れていくと大腸は胃と違って、蛇腹(じゃばら)のような臓器なので、挿入のときに空気が入った状態だと、アコーディオンのように伸びるのです。
大腸は空気を入れない状態だと80cmくらいなのですが、空気が入って拡張すると倍の150cmくらいまで伸びてしまうのです。
そのため、胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に行う場合は胃カメラを先にするのです。
2.胃カメラと大腸カメラを両方麻酔でするなら2回麻酔をかけるの?
最近、やはり胃カメラも大腸カメラも楽に受けられる方がよいので、胃カメラも大腸カメラも両方、麻酔で受けたいという方が増えています。
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時にする場合は、2回麻酔を使わないといけないのでしょうか?
その場合、麻酔が深くなって、なんだか麻酔の副作用が出やすくなるんじゃないかと不安になる方もおられるのではないでしょうか。
安心してください。胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受ける場合は、麻酔を使うのは1回ですみます。
どういうことでしょうか。
実は、大腸カメラはおしりから、胃カメラは口から内視鏡を挿入するのですが、当然入れる方向は逆になります。
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に行える施設は、移動できるベッドを備えており、大腸内視鏡検査をまず行ったあとに180度ベッドを反転させて、連続して胃カメラを行います。
その場合、1回麻酔を行っただけで、連続して2つの検査を行えるので、麻酔は1回ですむのです。
3.下剤を飲まずに胃カメラと大腸カメラを同時にできる究極の「スマート内視鏡」
実は、胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受診できて、かつ大腸内視鏡検査の前処置である下剤内服をしなくていい究極の「スマート内視鏡」があるのをご存知でしょうか。
大腸内視鏡検査は、直接腸の中を人間の目で見るため精度が高く、ポリープや癌(がん)などがあった場合は検査と同時に治療ができるので優れた方法なのですが、その検査前に1.5L~2Lもの大量の下剤を飲まないといけないのが高いハードルとなっていました。
「スマート内視鏡」別名「下剤を飲まない胃大腸内視鏡検査」では、この悩みを一気に解決できます。
この方法では、朝ごはんを抜いて頂いた状態(絶食)で来院頂いた後、まず胃カメラを受けて頂きます。胃カメラで胃の中を一通り観察し終わった後に胃の先にある十二指腸に胃カメラを使って本来口から飲むのと同じ下剤を1.2Lほど注入する方法です。
下剤の注入が終わった後は30分ほどしてお通じが始まり、お通じがきれいになったら大腸内視鏡検査を行います。
大阪の中村診療所・内視鏡内科では、この「下剤を飲まない胃・大腸内視鏡検査(スマート内視鏡)」を行っているのですが、下剤を飲まずに麻酔で胃カメラと大腸内視鏡検査を同時にできるので、大変好評を頂いております。
当院では、概ね院内の滞在時間は3時間程度で、下剤を口からの飲むことなしに初めの胃カメラ開始から大腸内視鏡検査の終了まで完了いたします。
また、この方法のメリットとしては、通常の2Lの下剤を口から飲む方法だとお通じが10回ほど出て綺麗になるのに3時間程度かかるのに対して、スマート内視鏡の場合お通じが出るのが5回ほどですみ、半分の1時間半ほどでお通じがきれいになります。
4.胃カメラと大腸カメラを同時に受ける場合の費用は?
胃カメラと大腸内視鏡検査を同時に受けた場合の費用はどれくらいになるのでしょうか。
結論から申し上げますと、同時に受診した場合でも(胃カメラ)+(大腸内視鏡検査)の費用がかかるだけで、個別に受けた場合と費用は原則的に変わりません。
費用は概ね、3割負担の方で約15,000~40,000円、1割負担の方で約5,000~12,000円となります。
ただし、病理組織検査をした場合その部位の数により費用が変わり、ポリープ切除をした場合もその部位の数と大きさにより費用が変わるので上記はあくまで目安です。
なお、大阪の中村診療所・内視鏡内科では「下剤を飲まない胃・大腸内視鏡検査(スマート内視鏡)」の下剤注入法に関する特別なコストは取っていませんので、スマート内視鏡の場合でも通常の(胃カメラ)+(大腸内視鏡検査)の費用となります。
糖尿病のある人は大腸癌になりやすいので要注意!
糖尿病の方は癌になりやすいことをご存知でしょうか。
日本糖尿病学会が2001~2010年に行った糖尿病の方の死因の調査によると、死因の1位が癌(38.3%)だったのです。
これは、死因の2位の感染症(17.0%)、死因の3位の脳梗塞や心筋梗塞(14.9%)を2倍以上、上回っており、ダントツ1位です。
さらに、2013年に日本糖尿病学会と日本癌学会が合同で行った10年間の調査によると、糖尿病の方は、糖尿病でない方と比べて大腸がんが1.4倍、膵臓癌が1.85倍、肝臓癌が1.97倍、癌を発症するリスクが高いということが判明しました。
糖尿病が癌のリスクになる理由はどうしてでしょうか。
これは、糖尿病による血糖値上昇の状態自体が、細胞の酸化ストレスとなってDNAを損傷し、細胞の癌化を引き起こす理由となることが挙げられます。
また、肥満や、運動不足、肉類の多い乱れた食生活などが、糖尿病と癌に共通したリスク因子であることが関係していると考えられています。
特に、今まで大丈夫だったのに初めて糖尿病と指摘された方、急な血糖値の悪化などがあった場合は、癌の合併を疑って精密検査を行う必要があります。
大腸内視鏡検査の挿入方法
少し専門的な内容にはなってしまいますが、大腸内視鏡検査がどういう検査方法なのかを詳しく説明させて頂きます。
1.大腸内視鏡検査(大腸カメラ)とは?
大腸内視鏡検査とはどういう検査なのでしょうか。
一言でいうと、先端にレンズ(カメラ)がついている直径1cmほどの柔らかい管をおしりの穴から通して、大腸と小腸の一部を観察したりする検査です。
この先端にカメラがついている細い管のことを「大腸カメラ」と呼んでいます。
大腸や小腸の病気の診断ができるのはもちろんですが、検査と同時に治療ができる非常に優れた検査です。
実はこの直径1cmほどの細い管には、さらに直径3mmほどの小さな穴がついており、その細い穴から処置具を出します。
処置具には生検鉗子(上図左)といって大腸ポリープや大腸癌の組織の一部をとってきて診断ができるものや、大腸ポリープや大腸癌の切除を行うことができる細いワイヤー(上図右)や電気メスがあります。
大腸内視鏡検査は、大腸や小腸を観察するわけですから、あらかじめ腸管をきれいにしておく必要があります。
実際に検査を受けるときには、2リットル程の下剤を飲んで10回ほどお通じを出して(ほとんど水のような排泄液になります)腸管をきれいにしてから、検査を行います。
通常は、この2リットルの下剤を口から2時間ほどかけて頑張って飲まなければならず、コレが大腸内視鏡検査の一つのハードルになっていたのですが、大阪の中村診療所・内視鏡内科では、この2Lの下剤を口から飲まない「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」をおこなっています。
下剤を飲まない大腸内視鏡検査では、まず、麻酔を使って胃カメラを行い、胃カメラの先から直接、腸管に下剤を注入することで、腸管をキレイにする方法です。
大腸内視鏡検査は、検査前の前処置や、検査中の大腸ポリープの手術の介助などの複数の手順があるため、腹部エコーなどと違って医師が1人ですることは不可能なため、看護師さんの力を借りながら、まさに看護師さんと二人三脚でやっていく検査・治療なのです。
さて、次の項からは具体的に、どうやって、クネクネの腸に大腸カメラを通していくのかを詳しく解説していきます!
2.大腸内視鏡検査の挿入法とは?
大腸内視鏡検査は、おしりの穴から(上図の6時方向)大腸カメラをいれて、直腸(上図8時方向)まで挿入します。
上図では簡略化して描いていますが、実際の腸はもっとクネクネしています。
上図は、実際の腸をCTスキャンしたものですが、相当屈曲していて、ヘアピンカーブのような場所もありますよね。
たとえば、こんな曲がりくねった道を車で運転することを考えると、それだけでも難しそうですよね。
そんなクネクネしている腸管に大腸カメラを入れていくのは難しいだろうな、というのは直感的にお分かりいただけるかと思います。
事実、大腸癌が死因の1位になって大腸内視鏡検査の需要が高まっているのにも関わらず、その検査手技の難しさから大腸内視鏡検査ができるクリニックは限られています。
胃カメラを行っている内科クリニックは多いのですが、内科を標榜しているクリニックでも大腸内視鏡検査ができる医師はわずかで、実際は消化器領域を専門とする医師に限られます。
では大腸内視鏡検査ができる医師はどういった医師なのでしょうか。
一般的に医学部で6年勉強して医師国家試験に合格し2年の研修医生活を終えた後、消化器内科を専攻した医師は、そこから内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)の修練に入ります。
内視鏡はまず全員、胃カメラの修練から始めます。
胃カメラは、半年ほどの修練で問題なく挿入できるようになり、1年あれば1人だちして検査ができるようになります。
もちろん、診断や治療となると奥が深く、例えば胃カメラを使った最高難度の内視鏡手術である「ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術」の場合、5年から10年の修練が必要になります。
それに対して、大腸内視鏡検査(以下、大腸カメラ)の場合は挿入自体の難易度が胃カメラに対して、かなり高くなります。
大腸カメラが挿入できるようになるまでの時間は、早い医師でも1年ほどかかり、自信を持ってできるようになるまでは3年ほどかかります。
さらに「上手い」もしくは「達人」と呼ばれる領域になるには、年数も関係がありますが、それ以上に生まれ持ったセンスや器用さ、さらに圧倒的な努力が必要になります。
このように、大腸カメラは挿入自体の難易度が高いので、医師個人間の技能の差が大きく、「大腸カメラができる先生」と「大腸カメラが上手い先生」とはかなりの隔たりがあります。
では、このように胃カメラと大腸カメラでこれほど挿入の難易度の差が出るのは、なぜでしょうか。
それは、「固定されている臓器」か「固定されていない臓器(ぶらんぶらんの臓器)」かに関係があります。
胃カメラで観察するのは、主に食道・胃・十二指腸の3つの臓器です。
このうちの大部分(食道と十二指腸、胃の一部)は、背骨の周囲の組織に固定されていて動かない臓器です。
固定されている臓器に内視鏡を通していくのは、ある程度の修練を積めば、どんな医師でもできるようになります。
固定された真っ直ぐのホースに針金を通していくのを想像すると、それほど難しくないのがイメージできるのではないでしょうか。
では、大腸カメラの場合はどうでしょうか。
大腸カメラで観察するのは、盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸の主に6つの臓器です。
このうち、横行結腸とS状結腸の2つの臓器が、背骨の周囲の組織に固定されていない「ぶらんぶらんの臓器」です。
さらにやっかいなのが、この「ぶらんぶらんの臓器」の長さが長いことです。
横行結腸の長さは約50cm、S状結腸も同じく約50cmあるため、合計100cmほどの長さが、ぶらんぶらんで固定されていない臓器(下図の赤丸)になるのです。
また、大腸は胃と違って柔らかく、クネクネ曲がった臓器のため、挿入を難しくします。
100cmほどの空気が抜けたクエクネの柔らかいホースに針金を通していくのを想像すると、かなり難しいことがイメージできるのではないでしょうか。
この、くねくねの大腸に大腸内視鏡をスムーズに挿入する、患者さん側からすると「楽に検査が受けられる」ためのポイントは、くねくねのS状結腸と横行結腸をどう攻略するかにかかっています。
では、早速、このクネクネの腸をどう攻略すればスムーズに検査できるのか、を解説していきます。
ちなみに、一般的に「大腸内視鏡検査が問題なくこなせる」レベルの基準としては盲腸到達率98%、無痛率80%、平均挿入時間は10分ですが、このブログを書いているDr. Takaは、盲腸到達率99.9%、無痛率99%、平均挿入時間4分、なので、挿入術について参考にして頂ける部分はあるかと思います。
私Dr. Takaの大腸内視鏡の挿入法は「EZ(Easy;イージー)メソッド」と名付けています。
この挿入法のポイントは、難しそうに見える大腸内視鏡挿入法を極限まで単純化して、パターン化することで医師の判断を早くしていくことで、患者さんにとって楽でかつ、挿入時間を早くしていきます。
EZメソッドは、S状結腸で2パターン、横行結腸で2パターンの2×2=4パターンしか存在しません。
この4パターンさえ覚えれば、誰でも簡単に大腸内視鏡を挿入できるようになります。
固定されていないクネクネの腸を通過する方法は、クネクネの腸を整復して真っ直ぐにしてから挿入するか(軸保持短縮法ともいいます)、クネクネのまま挿入して出来た輪を解除するか(ループ法ともいいます)の2択になります。
この選択がS状結腸で1回、横行結腸で1回あり、それがクリアできると盲腸まで到達できるというわけです。
具体的に説明します。
どんな場面でも、まずはクネクネの腸を整復して真っ直ぐにしてから挿入するのをTryし、無理だった場合に、そのまま腸管に沿って挿入し、奥まで入れてからループを解除します。
このとき、重要なのは、「なんとかして頑張って整復しよう」という気持ちで長時間、粘って整復しようとしないことです。
全ての患者さんでこの整復ができるわけではなく、生まれつきS状結腸や横行結腸が非常に長く、整復できない方もおられます。
そのため、まずは整復を試みるのですが、整復できない時はループ法に速やかに切り替えます。
S状結腸の軸保持短縮法は、S状結腸をゆるやかな右らせんを描く形状に整復して挿入することを目指します。
整復するためのポイントは、極限まで脱気することと、ひねり(トルクともいいます)の動きです。
S状結腸を通過中は、少しアップアングルをかけた状態で、常にややスコープに引き気味のテンションをかけるイメージです。
スコープの先は少し曲がっている状態になりますが、スコープの先端を左に曲がっているクネクネの腸にひっかけて少し時計回り回転させ、ゆるやかな右らせんカーブにして挿入していきます。
S状結腸の実際の内視鏡画面をお示しします。
外からお腹の中を透視して見れるわけではないので、スコープの先が曲がっているのを見ることはできませんが、実際の内視鏡画面では、屈曲の向きを3時~6時方向(上図の3時方向が次の管腔です)に持ってくるようにして、右アングルもしくはダウンアングルで屈曲を越える形になります。
ここまで解説した軸保持短縮法を目指して挿入していくわけですが、実際に軸保持短縮法が上手く成功する方は6-7割程度な印象です。
3-4割の方は、ループ法が必要になります。
ループ法の場合は、原則として、スコープの先端を脾わん曲まで進めた上で、スコープに時計回転を加えてループを解除します。
このときに、スコープのアングルを使いながら、なるべく最短距離で脾湾曲に到達するのがポイントで、ループの大きさが小さいと、ループの解除もし易くなります。
次に横行結腸です。
横行結腸もS状結腸と同様に、軸保持短縮法とループ法に分かれます。
横行結腸は、S状結腸と異なり走行に個人差は少ないため、シンプルな挿入法でクリアできます。
屈曲の内側を6時方向に持ってきて(上図の6時方向が次の管腔です)、ダウンアングルをかけながら引くことで、横行結腸中央部が頭側に引き上げられて横行結腸が直線化してスコープがたわまずに挿入することが可能になります。
横行結腸を直線化して進むと、肝湾曲に到達します。
肝湾曲の屈曲は、通常3時方向に出現し、脱気して屈曲を近づけて右アングルで通過します。
肝湾曲の屈曲が強い、または肝湾曲の位置が頭側にある方では、スコープをたわませながら、肝湾曲に到達させ、上行結腸にスコープの頭が入ったら、たわんだループを短縮してループを解除します。
これが横行結腸のループ法です。
このように、S状結腸と横行結腸でそれぞれ、軸保持短縮法とループ法の2パターン、計2×2の4パターンの挿入法が存在します。
軸保持短縮法をまず試みるのが基本ですが、困難な場合は、挿入法を切り替える早めの判断が重要です。
3.大腸内視鏡検査の挿入困難例の対応
前項で説明した、4パターンの挿入が基本ですが、大腸の形には個人差があり、千差万別のため、どうしても大腸カメラの挿入が難しい方が一定数おられます。
挿入困難例には、挿入を補助するテクニックが必要となります。ここで看護師さんの出番です。
挿入を補助するテクニックには、大きく分けて、体位変換(たいい-へんかん)と腹部圧迫(ふくぶ-あっぱく)の2つがあります。
いずれも、看護師さんの介助が必要なテクニックになります。
大腸内視鏡検査中に、例えば「すこしお腹を押さえますね」と言われてお腹を軽く圧迫する動作が入ったり、「体ごと右に向きますね」と体位変換する動作が入ったら、大腸カメラを挿入しやすくするために工夫しているんだな、と思って頂ければ結構です。
4.大腸内視鏡検査の体位変換と看護師さんの介助
大腸カメラの挿入困難例の挿入の工夫としてまず、体位変換について解説します。
体位変換は、クネクネに曲がった大腸の中を大腸カメラが進んでいく上で、患者さんの体勢を変えることで、腸管に対してかかる重力方向を変えて挿入しやすくします。
大腸内視鏡検査は、初め、左側臥位(さそく-がい)で始まります。
左側臥位というのは、患者さんから見て左側に体ごと向いている体位で、検査を行う医師に対しては背中を向けている体勢です。
大腸内視鏡検査の基本的な挿入法では、直腸から始まって下行結腸までの前半戦(S状結腸の攻略)と、下行結腸から盲腸までの後半戦(横行結腸の攻略)に分けて挿入を組み立てていきます。
このとき、体位は前半戦が左側臥位、後半戦は仰臥位(あおむけ:下図)になるのが基本です。
左側臥位から仰臥位になると、S状結腸と下行結腸の屈曲(S-Dジャンクションといいます)、下行結腸と横行結腸の屈曲(脾弯曲<ひわんきょく>といいます)が緩やかになります。
左側臥位と仰臥位の2つが基本の体位になるのですが、S-Dジャンクションや脾弯曲の屈曲が非常に強い方では、右側臥位<うそくがい>を用います。
右側臥位では、左側臥位に対して腸管にかかる重力方向が真逆になるため、S-Dジャンクションと脾弯曲の屈曲がさらに緩やかになります(下図の赤丸)。
横行結腸が非常に長い太鼓腹の方には、腹臥位(ふくがい)を用いる場合もあります。これは、ベッドにお腹の下の方をつけるのを意識してもらって腹這いの姿勢になってもらい、自分の体重で腹部圧迫するような形です。
腹臥位を用いるのは非常に稀で頻度としては1%以下だとは思いますが、こういった体位を用いることがあるということは頭に入れておいた方がよいでしょう。
●体位変換における看護師さんの役割
体位変換のときの看護師さんの動きのポイントは、患者さんの足から動かしていくということです。
左側臥位のときは、患者さんの足がスコープに対して、患者さんからみて左側にあるのですが、ここから仰臥位(あおむけ)になると、患者さんの足の間(股の間)に内視鏡のスコープがくる形になります。
そのため、左側臥位から仰臥位に体位変換するときは、患者さんの右足がスコープをまたぐ形になります。
また、仰臥位から右側臥位に体位変換するときは、反対に患者さんの左足がスコープをまたぐ形になります。
このように体位変換の時には必ず患者さんの足がスコープをまたぐ形になるので、体位変換のときには、患者さんの足から動かしていく形になります。
まず足から動かして、スコープをまたいだ状態を作ってから、上半身を動かすと患者さんの足から引っかからずにスムーズに体位変換が可能になります。
5.大腸内視鏡検査の腹部圧迫と看護師さんの介助
大腸カメラの挿入困難例の挿入の工夫として次に、腹部圧迫について解説します。
●腹部圧迫
腹部圧迫とは、患者さんのお腹の外から介助者が圧迫を加えることで、内視鏡のスコープを進みやすくする手技です。
基本的には、お腹の上から垂直に圧迫するシチュエーションが多いため、腹部圧迫をするときは、仰臥位(あおむけ)の体位を選択することが多いです。
腹部圧迫と相性のいいのは、軸保持短縮法>ループ法です。
腹部圧迫が有効であるかの効果判定は、内視鏡の画面をみて判断します。
お腹を圧迫したときに下図のように少し内視鏡画面が近づけば、圧迫が効いているという判定になります。
↓圧迫すると
↓わずかに内視鏡画面が近づく
医師がお腹を抑えて「ココを圧迫して下さい」という場所を圧迫するのが基本ですが、頻度の高い腹部圧迫の部位が存在するので、その部位と腹部圧迫の考え方をおさえておくと、もっと内視鏡のことが理解しやすくなると思います。
・恥骨上部圧迫(下図の青丸を圧迫)
腹部圧迫も奥が深いのですが、まず覚えて欲しい腹部圧迫部位は「恥骨上部圧迫(上図)」です。
お腹の下腹部には骨がないので、体表からは腹筋を触るのみですが、尾側に移動していくと、硬い骨を触ります。
この硬い骨が恥骨で、恥骨のすぐ頭側の柔らかいお腹の場所を圧迫するのが「恥骨上部圧迫」になります。
この恥骨上部圧迫は、S状結腸を軸保持短縮法で通過するときに、内視鏡のスコープが頭側にタワむのを防ぐことができます。
また、スコープが横行結腸より先に進むときに、一度まっすぐになったS状結腸が再びタワむことがありますが、恥骨上部圧迫は、それも防ぐことができます。
ただし、恥骨上部圧迫は、まっすぐなスコープがタワまないようにするのには有効ですが、すでにタワんでしまったスコープには無効なので、その点は注意が必要です。
・右季肋部圧迫(下図の青丸を圧迫)
次に頻度が高いのは右季肋部圧迫です。
右季肋部圧迫は、スコープの先端が肝弯曲(上行結腸と横行結腸の繋ぎめ)に存在するときに使用します。
右季肋部圧迫は、内視鏡画面を見ながら腸管が近づく部位を指先で軽く圧迫します。
基本的には、恥骨上部圧迫、右季肋部圧迫の2つをおさえておけばOKです。
細かくいうと、他にも腹部圧迫のテクニックはあるのですが、上記2つだけおさえておいて、あとは医師が「ココを押さえて下さい」という場所を圧迫するというのが看護師さんの介助のポイントです。
6. 大腸内視鏡の検査前後の流れ
大腸内視鏡検査前には、大腸ポリープや大腸がんの見逃しをなくすために、腸管をきれいにする薬を内服します。
クリニックや病院では、看護師さんが、内服薬の説明をしたり、お通じがキレイになっているか(観便といいます)をチェックします。
当院、大阪の中村診療所・内視鏡内科では、検査前日にマグコロール散、センノシドを、検査当日にモサプリドというお薬を飲んでもらってから、モビプレップという腸管洗浄液を飲んで頂いてもらっています。
モビプレップが飲みづらい方には、胃カメラから下剤を腸に直接注入することで2リットルのモビプレップを飲まずにすむ「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」をお勧めさせていただいています。
また、検査中に麻酔(鎮静剤)を使った場合は、検査後に30分程度休んでから帰るのですが、血圧が下がってしまう方や、気分が悪くなった方などがおられた場合は、医師の指示で看護師さんが血圧を上げる点滴を行ったり、麻酔を覚めさせるお薬(拮抗薬といいます)を使います。
大腸ポリープや大腸がんの切除を行った場合は、検査後の出血リスクの説明や、食事指導を行います。
当院では、検査後1週間は消化の良い食事をとってもらったり、激しい運動をしないように説明しております。
以上、少し専門的な内容となりましたが、大腸内視鏡検査について、より深く知りたい方にとって参考になれば幸いです。
食道がんの初期症状をチェック
家族が癌になったり、お酒やタバコが好きで食道がんのことが気になっている方へ。「胸焼け」や「咳」があり、食道がんの初期症状ではないかと不安でしょうか?お酒やタバコが好きな方は、症状を照らし合わせてセルフチェックすることが大切です。
1. 食道がんとは?
食道がんとは、食道の内側をおおっている粘膜の表面から発生する癌のことをいいます。がんが粘膜下層という場所までしか広がっていないがんを表在型食道がんといいます。
一方、それより深い層まで広がっているがんを進行食道がんと呼びます。
一般的な食道がんは「扁平上皮がん」というタイプのがんで、ほとんどが、お酒やタバコが関係するタイプです。
しかし、お酒やタバコと関係なく発生する「バレット食道がん(バレット食道腺癌)」という特殊な食道がんもあります。
2. 食道がんの症状は?
結論から申し上げますと、食道がんは、ごく初期には症状が出ないのが一般的です。
そのため、検診の胃カメラなどで偶然発見され、早期に「表在型食道がん」と診断されることがほとんどです。
しかし、食道がんはタバコやお酒が好きな方に多く、食道がんに合併した「逆流性食道炎」や「タバコの吸い過ぎによる咳や痰」によって「胸焼け」や「咳」が出ている可能性もあるので、医師に相談してみるのが一番でしょう。
ごく初期には症状があまり出ない食道がんですが、表在型食道がんから進行がんへと、がんが進行するに従って、症状が出てきます。
良く出る症状としては、飲んだり食べたりする時の胸のあたりの違和感があります。
また胸のあたりで食べ物がつっかえる感じや、背中や胸のあたりの痛みを訴える方もいます。
咳や声のかすれなどの症状や体重減少も要注意です。
3. 食道がんの治療方法には、どんな種類があるの?
食道がんの治療方法は、がんの進行具合い(ステージ)や体の状態(体力)などを考慮し決定します。
がんの進行具合いは、ステージとして分類します。
ステージは、がんが縦方向にどれだけ広がっているか、つまり食道の壁のどの深さまで広がっているかを示すT因子、どれくらいリンパ節に転移しているかを示すN因子、他の臓器へ転移しているかを示すM因子を組み合わせて治療方針を決定します。
食道がんの治療には、大きく分けて内視鏡的切除、手術、放射線治療、化学療法の4つがありますが、それぞれの治療法を単独もしくは組み合わせて治療を行います。
治療法は主にステージで決まりますが、患者さんの希望や体の全体的な状態を考慮して治療を決めていきます。
4. 食道がんの内視鏡手術について具体的に教えて!
食道粘膜にとどまった食道がんはステージが0期とよびます。
このステージでは食道を取ることなく温存できる内視鏡的切除術が標準治療として推奨されています。
しかし、病変の範囲が広かったり、食道の上の方(頸部食道)であったりする場合には、内視鏡的切除後に食道が狭くなる可能性が高く、放射線治療や手術、化学療法を行う場合もあります。
内視鏡治療は、上部消化管内視鏡を用いて食道の内側からがんを切除する治療法です。
切除方法には、大きく分けてEMR(イーエムアール:内視鏡的粘膜切除術)とESD(イーエスディー:内視鏡的粘膜下層剥離術)があります。
内視鏡治療の対象は、リンパ節転移のない0期の表在型食道がんです。
EMRは食道がんの下の粘膜下層という組織に生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどの液体を注射して病変を持ち上げ、輪っか型の電気メスでしばった後、通電して切除する方法です。
EMRは比較的簡便で小さな病変に対しては良い適応となります。
しかし、欠点としては病変が大きくなると一度にまとめて切除(一括切除とよびます)できなくなる可能性が高くなります。その結果として癌を取り残す可能性があります。
一方ESDは、病変を含めた組織を電気メスを使って切開および剥離していく治療法です。
病変の大きさにかかわらず、病変を一括切除することができます。
癌を取り残す可能性は低くなり、一括切除した病変を詳細に組織検査することによって、がんの深さや転移のしやすさを正確に診断することができます。
5. 食道がんの内視鏡手術はこわいの?
内視鏡手術の合併症として代表的なものは、治療中の出血と穿孔(食道の壁に穴があくこと)です。
また食道は狭い管のような形をした臓器のため、3/4周以上ある範囲の広い病変を治療すると治療後に管腔が狭くなることがあります。
切除された食道がんを含む組織は、細かく切り出して切片とし、顕微鏡検査で詳しく調べます。
内視鏡治療後の部位にがんが残っている可能性や、治療後にリンパ節転移の可能性が高いと考えられるときは、手術や化学放射線療法などを追加することもあります。