【胆石はコーヒーで溶ける!?】症状もチェック!

突然ですが、「胆石にコーヒーが効く」という話を聞いたことはあるのでしょうか。

 

胆石は健康な日本人の5%の人が持っていると言われており、年齢とともに胆石保有率は上がります。

 

無症状の方もおられますが、胆石は時に激烈な症状を引き起こすことがあるので要チェックです。

 

健康診断や人間ドックの腹部超音波検査(腹部エコー)で胆石を指摘された方もおられますよね。

 

胆石というのは、胆汁という消化液の通り道である胆道にできる石の総称で、胆嚢結石が70%と最も多く、ついで胆汁の通る管である胆管にできる胆管結石15%と次に多くなっています。

 

頻度の高い胆石ですが、胆石の症状や治療はご存知ですか?

 

また、胆石にコーヒーが効果があるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、本当なのでしょうか。

 

今回のブログは、胆石の症状をチェックし、胆石の治療としてコーヒーが効果があるのかどうかを解説していきます!

それでは、早速どうぞ!

(本稿は消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)

「コーヒーが大好きな人は胆石はできないのでしょうか?」

 

【ブログ目次】


1.胆石がコーヒーで溶けるって本当?

2.胆石症状をチェック!

3.胆石の原因となる食事とは?

4.胆石症の検査と診断を教えて!

5.胆石発作の痛み止めはブスコパン?ロキソニン?

6.胆嚢炎の初期症状をチェック!

7.胆石の手術をわかりやすくブログ解説!

  

1.胆石がコーヒーで溶けるって本当?


「胆石はコーヒーで溶けるのですか?」と、先日、私が外来をしていると質問がありました。

 

胆石とコーヒーの関連を調べた研究報告があるので、それをご紹介します。

アメリカのハーバード大の博士らがアメリカ人4万6000人を対象に行った研究では、1日に2~3杯のコーヒーを飲むと、胆石症を発症する危険が4割も少なくなるという研究発表があります(JAMA, June 9, 1999;281:2106-2112)。

 

カフェインを減らしたコーヒーでは、胆石を予防する効果がなかったので、コーヒーに含まれるカフェインが胆石予防効果を持っていると考えられています。

 

このテーマに関する研究は少なく、完全に一般化することはできませんが、コーヒーが胆石予防に効果がある可能性はあります。

 

しかし、実はコーヒーより効果の高いお薬があります。

 

それは、「ウルソデオキシコール酸」という、通称「ウルソ」と呼ばれるお薬です。

 

ウルソデオキシコール酸は15mm以下の胆石に適応があり、1年間内服を続けると、最大38%溶解に成功すると報告されています。

 

では、そんな胆石ができると、どんな症状が出るのでしょうか?

 

早速みていきましょう!

 

2.胆石症状をチェック!


胆石症の初期症状は、食後に発生する右の肋骨の下からみぞおちの痛みです(右季肋部痛:みぎきろくぶつう、ともいいます)。

 

右の背中や右肩まで痛みが広がることもあります。

 

痛みは突発的に急に発生することが多く、痛みは数十分から数時間つづきます。

 

吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

 

健康診断や人間ドックの腹部超音波検査(腹部エコー)で「胆石があります」と言われた方で、右の肋骨の下の痛みを感じたら、胆石症をまず考えましょう。

 

 

3.胆石の原因となる食事とは?


胆石症はなぜか女性に多く、患者数は男性の1.5倍~2倍といわれています。

 

胆石症のリスクとしては、以下がわかっています。

 

①脂肪の多い食事

②肥満

③ストレス

④運動不足

⑤出産を経験した40歳以上の女性

 

胆石症の原因となる食事として、特にバターや肉の脂身などの動物性脂肪と、肉や魚の肝などのコレステロールの多い食べ物が挙げられます。

 

これらの食べ物を控えるとともに、糖分の多い食事や便秘も胆石症の原因となるので気を付けましょう。

  

4.胆石症の検査と診断を教えて!


胆石症の診断の基本は超音波検査(腹部エコー)と血液検査です。

 

胆石と一口に言っても、胆嚢の中に胆石がある「胆嚢結石」、胆汁という消化液の通り道である胆管に胆石が落ち込んだ「総胆管結石」、肝臓の中に石がある「肝内結石」の3つの場所に大きく分かれます。

 

腹部エコー検査は、胆石の診断をするだけでなく、場所や大きさなどを総合的に診断できます。

 

血液検査では、炎症反応(WBCやCRP)、肝・胆道系酵素(AST・ALT・ビリルビン・γGTPなど)、場合によっては腫瘍マーカー(CA19-9、CEA)などを測定します。

 

胆石が胆嚢の管(胆嚢管といいます)や胆管に詰まって、感染症を起こした状態を胆嚢炎や胆管炎と呼びますが、血液検査では、胆石が無症状なのか、これらの感染症を起こしているかの診断の助けになります。

 

また、胆嚢がんや胆管がんを合併しているときには、腫瘍マーカーが補助診断として使えます。

 

腹部エコー検査以外の画像診断の方法としては、CTやMRI(MRCPともいいます)などを用いることがあります。

  

5.胆石発作の痛み止めはブスコパン?ロキソニン?


胆石発作とは、胆石が狭い場所に詰まることで起こる発作的な痛みです。

 

脂質が多く含まれた食事などをした後に、胆のうが収縮することで、胆のう管という、胆のうと胆管をつなぐ狭い管に詰まり胆石発作をおこします。

 

胆石発作の痛みは、数十分から3、4時間ほど続き、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

 

ストレスや過労によって胆石発作を起こすこともあります。

 

胆石発作の痛みには、まずNSAIDsといわれる薬を使います。いわゆる「ロキソニン」ですね。

 

ロキソニン(ロキソプロフェン)は痛みを抑える作用と、炎症を抑える作用の2つの働きがあるお薬です。

 

ロキソニンでも痛みが治まらないときは、ブスコパン(ブチルスコポラミン)というお薬を使います。

 

ブスコパンは、抗コリン薬という種類の薬で、胆のうの収縮を抑える働きがあるので、胆石発作には有効なのです。

 

胆石発作は、基本的には一時的に細い場所に詰まることで起こる痛みですが、完全に詰まってしまうと胆嚢炎という状態になります。

  

6.胆嚢炎の初期症状をチェック!


胆嚢炎は、胆石が完全に細い場所に詰まった状態です。

 

症状は、右の肋骨の下の痛み(右季肋部痛)と発熱、吐き気です。

 

発熱は、ほぼ必発といえます。

 

胆嚢炎の診断に使える簡単なチェックに「マーフィー徴候(ちょうこう)」があります。

 

マーフィー徴候は、右の肋骨の下を軽く抑えた状態で息を大きく吸います。

 

もし、痛みのために、いきを吸うのが途中で止まってしまったら、胆嚢炎の可能性が高いといえます。

 

治療は、抗生剤の投与と、次の項で述べる、手術が必要になります。

7.胆石・胆嚢炎の手術をわかりやすくブログ解説!


胆石、胆嚢炎の治療は、胆石のある場所により異なります。

 

まず、一番頻度の高い胆嚢結石についてお話します。

 

胆嚢結石の治療

 

胆嚢結石は、無症状の場合は経過観察になります。

 

多くの場合、腹部エコー検査などで、石が大きくなってないかなどを定期的にチェックする形になります。

 

胆石発作や胆嚢炎を起こしたことがある人など、症状のある方は手術になります。

 

胆嚢結石の手術は、腹腔鏡を使った外科手術を行うことが多いです。

 

腹腔鏡を使った外科手術の場合、比較的、手術の傷は小さくて済みます。

 

総胆管結石の治療

 

胆管という細い管に胆石が落ち込んでしまった場合は、将来的に胆管炎という細菌感染をおこしやすいことが分かっているので、症状の有無に関わらず治療を行います。

 

実際、胆嚢結石が炎症をおこした胆嚢炎の死亡率は1%未満ですが、胆管結石の場合の死亡率は2.7~10%というデータがあります。

 

胆石発作がなくても、胆管結石の場合は治療をした方がいいというわけですね。

 

ただし、治療は胃カメラを使った内視鏡手術になるので、お腹に傷がつかなくても治療できます。

 

肝内結石の治療

肝臓の中に結石ができた場合も、原則、治療が必要です。

 

この場合、胆道鏡という特殊な内視鏡をつかった治療をしたり、外科的な肝臓切除術が必要になることもあります。

【 まとめ 】


いかがでしたでしょうか。

今回のブログでは胆石症について解説しました。

 

大阪の中村診療所・内視鏡内科では、超音波検査をつかった胆石症の早期発見と、ウルソデオキシコール酸などを使った治療に積極的に取り組んでいます。

 

健康診断や人間ドックなどで胆石症を指摘された方は定期的に血液検査と腹部エコーでのチェックが必要です。

 

指摘されたり、気になっている方はぜひお気軽にご相談ください。

↓↓

 中村診療所・内視鏡内科の腹部エコー

 

また、胆石症がある人は、大腸がんの発症リスクが最大2倍ほど高くなるという報告(Gastroenterology(2017; 152: 1965-1974. e1))があり、大腸がんのチェックも必要です。

↓↓

 麻酔を使った楽な大腸カメラ

お気軽にご相談ください!

「胆石と言われた方はお気軽にご相談を」

この記事を書いた人

Dr.Taka|中村 孝彦 医師
Dr.Taka|中村 孝彦 医師中村診療所・内視鏡内科 副院長
消化器病専門医|消化器内視鏡専門医|認定内科医

大阪大学医学部卒。住友病院、JCHO大阪病院を経て、大阪国際がんセンターで消化器癌の内視鏡手術を担当。現在、下剤を飲まない大腸検査・無痛内視鏡を行う中村診療所副院長。「抗血栓薬の特徴と内視鏡時の対応:エキスパートに学ぶ安全で楽な外来内視鏡」など著書・論文多数。

『女性医師が常勤の当院は女性の方でも安心です。以下の地球マークのHPリンクから、お気軽にHPをご覧下さい!』