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【ゲップが止まらない】原因はコロナ?逆流性食道炎?

ゲップが止まらない、胸焼けなどでお悩みの方へ。
新型コロナウイルスが猛威を振るっている昨今、コロナウイルスやストレスが原因かも、とお思いでしょうか。
確かに、コロナウイルスの症状のうち頻度は少ないですが、10%未満で吐き気などの症状がでることがあります。
(コロナウイルスを見分けるポイントは、以下の記事をご覧ください。➩関連記事:【胃腸炎】の症状は下痢?【コロナ】が原因?
しかし、その吐き気やゲップ、胸焼けの正体は「逆流性食道炎」かもしれません。
今回のブログでは逆流性食道炎について、また、コロナの症状との違いをわかりやすく説明したいと思います。
逆流性食道炎のことを知らなかった方、逆流性食道炎じゃないかと不安だったでも、正しく理解し明日からのご自身のご健康にお役立て頂けます。
それではどうぞ!
(本稿は消化器病専門医の中村孝彦医師が執筆しています)

「ピロリ菌は減ったけど、逆流性食道炎は増え続けているのです!」

逆流性食道炎とは?


逆流性食道炎とは、胃酸や胃の中身が食道に逆流することによって症状がおこる病気の総称です。
胃カメラ検査で粘膜に異常が見られる症候性逆流性食道炎と、胃カメラで粘膜に異常を認めない非びらん性胃食道逆流症(NERD:ナード)に分類されます。
そもそも胃と食道のつなぎ目には下部食道括約筋(LES)という食道内に胃酸が逆流することを防ぐ逆流防止システムが存在します。
しかし、例えば食道裂孔ヘルニアなどの何らかの病気でこの逆流防止システムが崩壊した場合に、逆流をおこしやすくなります。

食の欧米化により逆流性食道炎は急増している


昨今、学会などでは胃潰瘍などに代わって逆流性食道炎への関心が高まっています。
なぜ今、逆流性食道炎なのでしょうか? 
このひとつの答えは、食生活の欧米化により逆流性食道炎の頻度が増えていることにあります。
また、ピロリ菌除菌治療などの普及によりピロリ菌に感染している方が減っていることも逆流性食道炎の増加に影響しています。
実際、1970年代の報告では逆流性食道炎の頻度は2%程度であったのに対して、1990年代の報告では16%程度にまで頻度が増加しています。
内視鏡検査で異常を認めないが症状がある「NERD(ナード)」も通常の逆流性食道炎と同じように存在し、NERDは30%前後の頻度で存在すると考えられています。

下痢が続くのはコロナか過敏性腸症候群かチェック


逆流性食道炎が昨今、注目されている2番目の理由は、逆流性食道炎が生活の質(QOL)を著しく落とす病気である点です。
未治療の逆流性食道炎は狭心症よりも生活の質を落とす病気と考えられているのです。
逆流性食道炎の診断は、臨床現場では内視鏡を用いて行われています。
内視鏡検査は逆流性食道炎の診断ができると同時に食道裂孔ヘルニアの合併の有無や、他の胃の病気や十二指腸の病気も同時に観察できるので有用といえます。

【ゲップが止まらない・胸焼け】原因はコロナ?逆流性食道炎?


逆流性食道炎の最も多い症状は、胸やけです。
逆流性食道炎の他によくある症状としては、ゲップが止まらない・胃もたれ・胸痛・お腹の張り・のどの違和感などがあります。
胃がもたれたり、胃がむかむかしたら嫌ですよね。
逆流性食道炎の胸やけは食後や、前かがみの姿勢で増強することが多く、PPI(ピーピーアイ)と呼ばれる胃酸を抑える胃薬で改善するかどうかをみることが診断の助けとなります。
ただし、新型コロナウイルスでも約10%に消化器症状(胸焼け・吐き気・ゲップが止まらないなど)があるため、過去2週間にコロナ陽性者との暴露歴がある方や、同時に呼吸器症状(せき、息苦しさ、痰など)がある方は、PCR検査などを受けた方がよいでしょう。

逆流性食道炎の原因はストレス?生活習慣は?


逆流性食道炎をおこしやすい食物としては、脂肪分の多い食事やアルコール、コーヒー、炭酸飲料、香辛料などの刺激物です。
たばこも逆流性食道炎を悪化させます。
逆流性食道炎の食事療法としては、上述の食事を避けることが大切です。
また、腹圧が上がることが逆流を悪くすることから、食べ過ぎに注意する、前かがみの姿勢を避けること、食べてすぐ横にならないことが大切になります。
特に逆流症状がひどい方は、寝る時に上半身を少し起こすと逆流を防止できるので効果的です。

逆流性食道炎の治療は?


逆流性食道炎の治療については下記のようなものがあります。
まず、胃酸の分泌を抑える目的で胃薬が用いられます。代表的な胃薬としてはタケプロンやネキシウムといったPPIと呼ばれる薬があります。
また、ファモチジンといったH2(エイチツー)ブロッカーと呼ばれる薬もPPIと同様な作用があり有効です。
他には胃の中身の逆流を防ぎ、食道の動きを促進することを目的にガスモチンなどの消化管運動改善薬と呼ばれるお薬が用いられることがあります。
食道粘膜を直接保護するアルロイドGなどのお薬を用いることもあります。
PPIにより多くの症例で症状のコントロールが可能となり、外科的な治療を選択することは少なくなりました。
もし、薬物治療などでコントロールできない場合には、最近では内視鏡手術も行われるようになってきています。

まとめ


今回のコラムでは逆流性食道炎についてご紹介しました。
逆流性食道炎およびNERDは、生活様式の欧米化により、また萎縮性胃炎の減少により、近年急激に増加している病気です。
高血圧症、糖尿病、気管支喘息、耳鼻科疾患、肥満などとも深く関わっており、胸焼け以外にも様々な症状が出る病気です。
重篤な場合は日常生活を著しく障害するため治療が必要となりますが、再発しやすい病気でもあり、治療困難な場合も多く認められます。
その上、食道がんの増加も想定され、検査・治療・定期的なフォローが必要と考えられる疾患です。
胸焼けなどの症状が見られたり、NERDが心配される場合は早めに受診して下さい。
大阪の堺なかむら総合クリニックでは、当日予約・当日胃カメラ検査ができる「クイック内視鏡」を行っています。逆流性食道炎が気になる方は、お気軽にご相談ください。

堺なかむら総合クリニック
の楽な内視鏡

「日本人の5人に1人が逆流性食道炎の胸焼け症状を感じていると言われているくらい頻度が高い病気です。
逆流性食道炎を疑ったらお気軽にご相談ください」