【検便で引っかかる原因は?】大腸がん検査でひっかかったら?
大腸がん検査(検便)でひっかかった方へ。
今まで、あまり大腸がん検査で引っかかったことがなかったのに、突然陽性になって要精密検査と言われて、びっくりされている方もおられるのではないでしょうか。
また、健康診断の検便で引っかかる原因・理由は何なのでしょうか?
実は、私も毎年、便潜血検査をしているのですが、この間、陽性となり大腸内視鏡検査を受けポリープをとってもらいました。
原因がわかって治療してもらえると安心しますよね。
この記事を読めば、大腸がん検査の検便のこと、精密検査の内視鏡のことを詳しく理解できます。
それではどうぞ!
(本稿は消化器病専門医の中村孝彦医師・中村玲佳医師が執筆しています)
「がんの1位の大腸がん!でもきちんと予防すれば怖くないのです!」
- 大腸がんは死亡数の1位の病気!
- 検便で引っかかった原因・理由!大腸がんの原因は?
- 大腸がん検査の検便(便潜血検査)とは?
- 便潜血検査で陽性なら大腸ポリープ、大腸癌の確率は?
- 大腸がん検査は検便をする?やり方・費用は?
- 大腸がん検査・健康診断の効果は?
- 大腸がん検査は痔は生理中は意味ない?
- 大腸がん検査・健康診断の便潜血で要精密検査とでたら?
- 大腸内視鏡検査が大腸CT検査より断然おススメ!
- 大腸がん検査・大腸内視鏡検査の費用は?
- まとめ
大腸がんは死亡数の1位の病気!
あなたは大腸がんと聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?
実は代表的な癌である、胃がんや肝臓がんが減少し続けているに対して、この20年で大腸がんによる死亡数は1.5倍に増加しているのです。
今や、年間のがん罹患数(1年間にがんと診断される数)で大腸がんは1位となり、男性はおよそ11人に1人、女性はおよそ13人に1人が、一生のうちに大腸がんと診断されています。
また、大腸がんは女性のがんによる死亡数の第1位で、男性は27,098人、女性は23,560人の方が毎年、大腸がんで亡くなっている、こわい病気なのです。
検便で引っかかる原因・理由は?大腸がん検査でひっかかったら
大腸がんの原因として、揚げ物やケーキなどの脂肪分の多い食事のとりすぎ、つまり生活習慣の欧米化が関係していると考えられています。
生活習慣の中の大腸がんのリスクとして、お酒とタバコ、運動不足、野菜や果物の摂取不足、太りすぎがあります。
また、お父さん・お母さん、おじいさん・おばあさんなどに、大腸がんの人がいる方は、あなたの大腸がんのリスクが増えるので必ず大腸がん検査を受けるべきです。
大腸がん検査の検便(便潜血検査)とは?
トイレで排泄時に出血が多ければ、便器の中を見たらすぐに出血していると判断ができます。
しかし、出血がごく少量では人間の目ではわかりません。
一般に、腸管内に50cc以上の出血があれば人間の目で見てわかりますが、それ以下では認識できません。
大腸がんが通過する便でこすれて、がんの表面がはがれることで少量の出血をきたすことがありますが、この少量の出血を(潜血<せんけつ>)を検出するのが便潜血検査なのです。
大腸がんは進行するまで、血便や便秘や腹痛などの症状が出ないため、より早期にがんを発見するために便潜血検査を行うのです。
便潜血検査は採取した便に専用の試薬を混ぜ、その変化で大腸に血液が混じているかを調べる検査です。
しかし、便潜血検査が陽性であったのにも関わらず、約30%の方が精密検査である大腸内視鏡検査を受診せずに放置してします。
自覚症状がないため、痔のせいだろう、生理の血が混じったのだろうと都合のいい解釈をしてしまい、放置してしまう人が一定数いるのは悲しい事実です。
しかし、自覚症状が出てからはすでに高度に進行して転移してしまっていることも多く、遅いのです。
大腸がん検査、便潜血検査で陽性判定されたとき、一番やってはいけないのは、精密検査である大腸内視鏡検査を受けずに放っておくことです。
大腸がんは、早期に発見できると90%以上が内視鏡治療できますが、進行すると開腹手術や抗がん剤治療が必要になるのです。
検便で引っかかると大腸ポリープ、大腸癌の確率は?
大腸がん検査や健康診断で便潜血陽性と診断された場合、どれくらいの確率で大腸ポリープや大腸癌が本当にあるのでしょうか?
大腸ポリープというのは、医学的には大腸腺腫<だいちょう-せんしゅ>とも言います。
大腸腺腫というのは放置すると大きくなって将来的に大腸癌になるリスクを持つものです。
検診で便潜血陽性と言われた方に大腸ポリープが見つかる確率は約50%、大腸がんが発見される確率は約2-3%と言われています。
大腸がん検査の検便のやり方は?
大腸がん検査の便潜血検査は、便に潜む血液の有無を調べるため、いわゆる検便を行います。
便の採取は自宅で行う事が出来ます。
便潜血検査のやり方は、まず便の表面を採便用の棒でまんべんなくこすり、専用のキットに入れて通常2日間分の便を採取します。
便潜血検査は特に食事制限の必要もなく、非常に簡単な検査なのです。
大腸がん検査・健康診断の検便の効果は?
大腸がん検査・健康診断の便潜血検査を毎年受診した場合には、大腸がん死亡率が約33%、2年に1度受診した場合でも大腸がん死亡率が13~21%減少することが分かっています。
毎年一回の大腸がん検査を受けるだけで非常に効果がある検査と言えます。
大腸がん検査は痔や生理中は意味ない?
痔の場合、痔に便がこすれることで便潜血検査が陽性となることもありますが、痔の方が必ず陽性になるわけではありません。
また、もし痔の方が大腸がん検査を受けて便潜血検査陽性となった場合でも、「痔だから検便が陽性になったのだ」と思い込まずに、必ず精密検査を受ける必要があります。
実際、私も診療していて、痔の方で大腸ポリープや大腸がんを発見することがよくあります。
また、女性の方で生理中の場合、大腸からの出血か便潜血検査では判別がつかない可能性があります。
その場合、生理期間は大腸がん検査をずらした方がよいかもしれません。
大腸がん検査の検便で要精密検査と引っかかったら?
大腸がん検査の検便で陽性、要精密検査と出たら大腸内視鏡検査を受診するのが一般的です。
大腸内視鏡検査では、肛門から内視鏡を挿入して大腸を詳細に調べます。検査は20分程度で終わり、多くの場合大きな苦痛もありません。
ポリープ等の病変が見つかれば、悪性か良性かどうかを調べるために病変の一部を採取して、悪性度を調べることもあります。
大阪の堺なかむら総合クリニックでは、見つかったポリープや早期大腸がんは、その場で切除する日帰り大腸ポリープ切除を行っており、1回の大腸内視鏡検査で完結するようにしています。
大腸がんは、早期であれば90%以上が完治する病気のため、要精密検査となった場合には、必ず検査を受診しないと非常にもったいない事になります。
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大腸がん検査で陽性で引っかかったら、大腸内視鏡検査を受ける必要があるのですが、「大腸CT検査ってどうなんですか?」と患者さんから聞かれることがあります。
大腸CT検査とは、大腸に炭酸ガスを注入し腸管を膨らませた状態でCT撮影を行い、3次元画像を作成し大腸の病気を診断する検査です。
大腸内視鏡(大腸カメラ)検査に比べ飲用する下剤量が少なく実際に内視鏡を入れる必要がないという利点がある一方、以下のような多くのデメリットがあります。
デメリット①:大腸内視鏡検査のように組織を採取したり大腸ポリープを切除したりする治療ができず、大腸CT検査で異常を指摘されたら、再度大腸内視鏡検査を受ける必要があり、二度手間になる。
デメリット②:平坦な病変や5mm以下のポリープは検出しにくく、診断精度が大腸内視鏡検査に比べて劣る。
デメリット③:レントゲンを使用するため被爆があり、妊娠の可能性のある若い女性受けることができない。
以上のような理由から、私はあまり大腸CTをおススメしていません。
大阪の堺なかむら総合クリニックでは、麻酔を使った「下剤を飲まない大腸内視鏡検査」を行っているため、「下剤を飲まないといけないのが心配」「大腸カメラは痛いんじゃない?」という方でも安心して検査を受けて頂けます。
大腸がん検査・大腸内視鏡検査の費用は?
大腸がん検査の便潜血検査は各地方自治体により補助対象となる検査で、自己負担額は無料から、有料の場合でも500円~1,000円程度です。
大腸がん検査で「精密検査」と診断された場合は、大腸内視鏡検査が必要となりますが、精密検査に関わる費用は医療保険が適応となります。費用の目安としては以下の通りです。
・大腸内視鏡検査で観察のみの場合:5,000円~7,000円程度
・大腸内視鏡検査+病理組織検査:5,000円~15,000円程度
・大腸内視鏡検査+大腸ポリープ切除術:20,000円~30,000円程度
まとめ
いかがだったでしょうか。
今回のブログでは大腸がん検査の検便についてご紹介しました。
大腸がんは、がん年間罹患数1位の頻度の高い病気です。
便潜血陽性となってしまった方は、自分勝手な解釈はせず、精密検査である大腸内視鏡検査を受診しましょう。
特に、①40歳以上、②お酒・たばこを嗜む方、③大腸がんや大腸ポリープが父母・祖父母にいる、④脂肪食をよく食べるまたは太っている、に当てはまる方は大腸がんの危険因子ですので、心当たりがある方は必ず大腸カメラを受けましょう。
「ちゃんと検査を受けることが“大人のたしなみ”かもしれません」